世界のプレートを生む神秘の国・アイスランドで、地球の息吹を感じる旅
おはようございます。
ドイツ・ミュンヘンで留学生活を送る大学生、桜です。
アイスランド旅行、首都のレイキャビクに到着して三日目の朝です。
前回のオーロラクルーズ編はこちらから↓
朝いちで出発してツアー開始
一日中船に乗っていた昨日と打って変わり、今日はアイスランドの広大な陸地のほんの一部を楽しむバスツアー。
参加したのは、ゴールデンサークルをまわるアイスランド観光の王道ツアー。
今日はこのバスに乗って、巨大な滝や間欠泉、そしてプレートの裂け目である”ギャオ”などを有するシンクヴェトリル国立公園を、丸一日かけて回ってきます。
昨日は極寒の海の上で一日中冷たい風に吹かれていたので、暖かいバスで移動できるのは非常に助かる。
ツアーが始まり連山を越えるや否や、壮大で圧倒的な景色に息をのみます。
溶岩でできた山を雪が覆い、それが果てしなく続く景色。
トイレ&朝ごはん休憩で立ち寄ったサービスエリアには、アイスランド南部の地図。
今日はこのあたりに広がるゴールデンサークルをぐるっと一周します。
スーパーにも立ち寄り、中心部では規格外に高かったビール(一本1300円)が安く売っていたので買っておきました。
巨大な火口跡
まずバスが停まったのは、アイスランドの国旗がはためくここ。
ケリズの火口跡(Kerið Crater)と呼ばれる、かつての噴火でつくられた火口跡。
個人で行くと入場料がかかるのですが、私たちのはバスツアー代金に含まれているのでそのまま入場。
火口と言うからにはそこそこ登山するのかなと思いきや、なだらかな丘をのぼっていくと言う感じ。
そしてこちらが、ケリズの火口跡。
綺麗な真ん丸というよりは楕円形の火口で、コケ植物と雪に覆われた褐色の山肌と、中央には凍った湖が見えます。
約6500年前にできたこの火口ではコンサートが行われたこともあり、また夏には湖が解けて赤い山肌があらわになってとても綺麗だそう。
振り返れば、果てしなく広がる溶岩台地とそれを覆うコケ類や灌木。
アイスランド特有の植生が限りなく広がる人生で初めての景色に、長らく魅入ってしまいました。
見渡せど見渡せど人工物がひとつも見えないこの土地、人間が支配しきれない自然というものへの畏敬の念を感じざるを得ません。
寄り道がてら馬さんと触れ合い
さて、暖かいバスに戻って次のポイントへ向かいます。
どうやらガイドさんイチ押しの寄り道スポットがあるらしく、行きたい人~??と聞かれ、皆で声をそろえて「whoo~~~~!」と返事。
ヨーロッパ人のそんな陽気さが好きです。
寄り道先はなんと、馬の居る草原。
ガイドさん、上手に馬たちを手懐けていて感心。
人間に興味津々の彼ら、私が柵越しに近寄ると頭をこちらにもたげてくれて、くりくりなお目目がとても可愛かった。
こんな場所、個人でレンタカーだと絶対に見つけられない所なので、ツアーも悪くないなと思いました。
雄大な滝を臨む絶景
そして次なる目的地へ。
おそらく先ほどよりも標高が高くなったのか、一面が雪に覆われ植物もほとんど見えない場所で降ろされました。
少し歩いた先、階段を下りているあたりから、何やらドドドド、、、と空気を揺らす音が聞こえてきます。
やってきたのはグトルフォスの滝(Gullfoss)。
Gull=金、foss=滝、つまり黄金の滝を意味するこのグトルフォスはシンクヴェトリル屈指の巨大な滝で、冬と夏で違った姿を見せてくれる、ゴールデンサークルの中でも代表的な観光スポットであり、アイスランド随一の規模を誇ります。
2段構造のこの滝の最大幅は70メートルほど、最大落差は1段目で15メートル、2段目で30メートル。
唸るように水が落ちてゆくその雄大さと、大地の裂け目から天に響くその轟々とした音に、数十秒は何も言えないまま立ちすくんでいました。
特に2段目の滝は、水飛沫がこちらまで届くんじゃないかというほど近くに感じました。
この美しい滝ですが、実は一度危機に瀕したことがあるそう。
20世紀初め、イギリスの企業がこの大規模な滝を利用し水力発電所を作ろうとしました。
当時のこの滝の所有者の娘であるシグリットという少女は、滝に身を投げようとすることでこの計画を阻止し、美しい自然を護った者として石碑が建てられ、現在もこの滝を見守っています。
景色に圧倒されていると、でっかいカメラを持ったお姉さんに日本語で話しかけられました。
驚いて振り返ると、どうやら写真を勉強する学生らが卒業旅行でアメリカから来ているらしく、日本人に会えたから一枚写真を撮らせて欲しいとのことでした。
そんな良いカメラで恐れ多い…と思いながらも嬉しくて快諾。
このような思わぬ出会いも、外国を旅する楽しみの一つです。
そしてこれは、私のiPhoneで撮ったお気に入りの写真。
ちなみに滝の周りはほんっっとうに何にも無く、ただ果てしなく続く真っ白な大地。
夏よりも冬の方が異世界に来たみたいな気持ちが味わえるような気がします。
間欠泉・地球が息をする場所
さて、時刻は昼下がり。
続いてやってきたのは、グトルフォスと並んでゴールデンサークル屈指の観光地である、ゲイシール間欠泉(Geysir)。
そもそも間欠泉とは、一定周期で熱湯を噴き出す温泉のようなもので、ここアイスランドの他に有名なものではアメリカ・イエローストーン国立公園のジャイアント間欠泉などがあります。
日本にも、北海道の羅臼や登別、栃木の川俣温泉ほか、さまざまな温泉地に間欠泉は存在します。
去年、1週間大学を休んで北海道の自然を廻る一人旅に出た時に、羅臼温泉へ行って間欠泉に感動したので今回もわくわく。
羅臼町は、日本の中でも世界で見ても、今まで訪れた中で群を抜いて大好きな町のひとつです。
そしてここゲイシール間欠泉、そもそもゲイシール(Geysir)がアイスランド語の“間欠泉”という言葉で、この固有名詞が英語のガイザー:「geyser=間欠泉」という普通名詞になったのだと、ガイドのお兄さんが教えてくれました。
そういえば、私もよく飲むあのお水にも使われている単語ですね↓
間欠泉の近くに行ってみると、ツンとした硫黄の匂いが鼻をつき、地面に空いた沢山の穴から湯気がもくもくと立っています。
といっても肝心のゲイシール間欠泉は現在活動しておらず、隣のストロックル間欠泉が、この一帯で最も活発に活動しているものだそう。
10分くらいに1回熱湯が吹き出す様子を目にしようとたくさんの人が周りを取り囲んでいたので、私も待ってみることに。
ちなみに、動画にも残したくてこの目でも見たくてもう20分(2回分)ここにいました笑
普段、星としての動きを私たちに見せることのない地球の息吹き、生命活動を目の当たりにしてしまったという感覚。
何気なく暮らしている私たちの地球は内にとんでもない生命力を秘めていて、この大きな星もちゃんと“生きている”んだよ、と見せつけられた瞬間でした。
他にも可愛らしい小さな間欠泉たちがいたので載せておきます。
ちなみに、間欠泉の前の道路にあった標識、青白ではなく青黄だったので雪国だからかな?思い写真を撮っておいたのですが、
どうやらヨーロッパ内の他の国でも黄色が使われているようで、単に国によって違うということかもです。
なんでも疑問に思ったら調べるって結構大事だし、何より楽しい。
さて、硫黄の匂いを十分体に纏わせたところで、最後のポイントへと向かいます。
朝の天気から比べると、いつのまにか青空が出て綺麗な晴れになっていて、車窓からの景色もより一層素晴らしいものに。
プレート誕生の場所
到着しました。
ここはシンクヴェトリル国立公園。
アイスランドに3つある国立公園のうち、唯一ユネスコの世界文化遺産に登録されている国立公園です。
国立公園へ入る前にまず、地球の動きとアイスランドという島について。
地球はその表面を14〜15枚のプレートに覆われており、そのプレートは随時動き続けて(新しく生まれ、そして地中へ再び沈んでいって)います。
日本で言うと、ユーラシア、北米、太平洋、そしてフィリピン海という4枚のプレートの境目に位置し、
たとえば糸魚川から静岡にかけての地域では、北米プレートとユーラシアプレートが押し合いへし合いし、日本列島は年に1cmのペースで東西に縮んでいます。
そのぶつかり合う2つのプレートはどこから来ているのか、どこで生まれているのか、
その答えは、大西洋の海底でゆっくりとプレートを作り続ける中央海嶺であり、その中央海嶺が唯一地表に現れた部分こそが、いま私が立っているアイスランドという島なのです。
そんな、世界の地表を這って動き続けるプレートの誕生を目の当たりにできる場所、シンクヴェトリル国立公園。
シンクヴェトリルを一望できる展望台にやってきました。
美しく広がる平野の奥に見える二つの隆起。
左側が北米プレート、右側がユーラシアプレート、
ちょうどここから二つの巨大プレートが東西へ広がる様子をこの目で見ることができました。
右奥に立っていればいつか日本にたどり着くかなーなんて考えたり。
みなさん、この雄大な景色をひたすら眺めていました。
さて、中央海嶺が地表に露出した裂け目の部分を歩いてみようと思います。
展望台からも左を向けば、上から裂け目を見ることができました。
ギャオ(ギャウ)と呼ばれるこの裂け目が、地殻活動や火山活動によって年間2.5cmずつ広がっている、唯一地表に露出した大地の境目。
独特な岩肌が両側にそりたち、これまた「地球って生きてるんだ」と実感させられる生々しくて美しい光景。
このギャウは奥までずーっと続いていて、ほんの一部ですが歩いてみました。
道の脇に展望台らしき場所を発見。
教会や家がぽつぽつと建つシンクヴェトリルの集落を一望しました。
ちなみにシンクヴェトリルとは、アイスランド語で“議会の場所”と言う意味。
9世紀にノルウェーからこの島に移住した最初のアイスランド人は、930年にここで「アルシンギ」という議会を始め、現在もこの「アルシンギ」は首都レイキャビクに場所を移して続いていることから、
現在も続く最古の議会としてユネスコの世界文化遺産に登録されました。
歴史とか、遺産とか、普段は気にかけて意識していることが全てどうでもよくなるこの景色。
歴史を知って「そっか〜」と感心する事もすごく大切にしている私ですが、
生きた地球を前にすると、もっと大規模な星としての“歴史”を目の当たりにすると、
そんな人間のちっぽけな活動なんてもうどうだっていいじゃないかと放り投げたい。
ただただ果てしなく広がる大自然の中に今この瞬間だけは溶けていたい。
地球が生きてる、
シンクヴェトリルはそんな言葉がぴったりな場所でした。
体の芯から感動に震えたゴールデンサークルツアーもここでおしまい。
体が疲れた昨日とは打って変わり、心が動かされ続けて良い意味で疲弊する、そんな1日でした。
少しだけお土産を見て、
ぱぱっと夜ご飯を済ませて、
昨日と同じく下の階でタピオカを買って、ホテルへ。
おまけ:オーロラ再び・・・?
番外編。
時刻は深夜。
昼間のツアー中に買ったビールでも飲むか〜と、波の音がよく聞こえる夜の静かな海に行きました。
街の光が波のない海に反射してとても綺麗。
寒いながらも海を眺めてビールを飲んでいると、正面の空に何やらそれらしきものが。
最初は雲かと思っていたのですが、明らかに揺れながら光っている、れっきとしたオーロラでした。
ちなみにこの日の指数は10分の1。
こんな日にオーロラを、しかも陸から見れるなんて想像もしてなかったので拍子抜けしました。
ゆらゆらと形を変えながらものの5分ほどで消えてしまいましたが、1日の終わりにいいものを見れたな〜と幸せな気分。
お酒の後はラーメンということで、カップラーメン(あんまり好みじゃなかった)を載せておきます。
ゴールデンサークルツアー、たった半日があまりにも多くの感動に溢れて語りきれない部分ばかりです。
私たちを生かしてくれている地球ですが、それ以前に地球自身も生きているんだ、そう思わされた日でした。
生きた地球に会いに、あと何度でもここに来たい。
他の国立公園も見てみたいし、夏の大自然も見てみたい。
私が旅に求めるものはこの気持ちなんだ、これこそが私がしたい旅なんだとわかったし、
色んな国に行き尽くした旅人が皆アイスランドを勧める理由がわかりました。
アイスランドの国立公園を制覇する、自然を見尽くす知り尽くす、
新しい夢がまた一つできました。
次回、クジラに会うリベンジ。
アイスランド旅、あともう少しだけ続きます。
それではまた!
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