丁子雄希

新潟リハビリテーション大学(准教授,認定作業療法士,公認心理師).石川県出身.新潟医療…

丁子雄希

新潟リハビリテーション大学(准教授,認定作業療法士,公認心理師).石川県出身.新潟医療福祉大学作業療法学科卒業後,12年間の臨床経験,5年間の専門学校の教育経験を経て,2022年より現職.https://researchmap.jp/mbus/

最近の記事

項目応答理論の困難度と識別度って何??

暑い日が続きますが,皆様いかがお過ごしでしょうか? なかなかアップしない日が続いていましたね. 今日は久々の投稿になります. 知人の院生より項目応答理論って何だ? 論文を見ていると,困難度とか識別度とかって用語がでてくるけど,よくわからん・・・ といったお問い合わせがきましたので,以下単的にお伝えさせていただきます. 作業療法の分野では,ROM,MMT,HDS-R,等 様々な尺度を使用しますよね. ただこれらの尺度を使用するときに,注意する点があります. それは,その

    • シングルケースデザイン(C統計の求め方,実践編)

      久々の投稿となります.なかなか継続力がないものですいません(苦笑). 今回はシングルケースデザインの解析方法の一つである「TryonのC統計」についてまとめていきます. C統計は,山田先生の報告でも紹介されているように1), 少ないサンプル数かつ容易な計算式で 各デザイン(ABデザイン等)の効果判定ができるため,臨床家にとって使いやすい手法の一つと思われます. TryonのC統計とは,時系列データのtrendの有無を,そのデータの分散の大きさとの比から推定する方法である(t

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      • クライエントと作業療法士の協業関係尺度(Collaborative relationship scale between clients and occupational therapists, CRS)の利用について

        このたび,ようやくCRSをお披露目することが可能となりました. 本尺度は ①クライエントと作業療法士間の協業関係の度合いを客観的に評価できる. ②クライエント中心の実践が促進できる. ③短時間で簡便に実施できる. などのメリットがあります. もしよろしければ,臨床現場で使用してみてくださいね^ ^ もちろん研究等でご活用してくださっても結構です. 「①CRSの評価用紙」,「②CRSの使用マニュアル」,「③CRSの採点時に使用する解析用データ」の3点セットがあります

        • 協業/協働関係とは collaboration?

          作業療法士(OT)とクライアント(CL)との関係は,作業療法の成功または失敗の重要な決定要因であると認識されています1). 皆さんはCLとの関係性を意識したことはあるでしょうか? 病院では,OTの上司(管理者)が医師の処方箋をもとにCLと担当OTをマッチングさせていると思うのですが,どのようにしているでしょうか?  ①処方箋 and/or 申し送りの情報 での判断  ②①+担当OTの意向を踏まえて   ③上司がまずCLと顔合わせをし,合いそうだなと思う担当OTを決める

        項目応答理論の困難度と識別度って何??

        • シングルケースデザイン(C統計の求め方,実践編)

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          欠損値の取り扱い

          苦労してデータを取り溜めて,いざ解析作業に移るとき・・・ 「あれ・・・,欠損値があるんだけど・・・」 このような場合,みなさんはどのようにして欠損値を取り扱っていますか? 以下,欠損値の取り扱い方についてまとめてみました. こうみてみると,欠損値の取り扱いだけでもかなり奥が深いですね(苦笑) なお,近年は消去法や単一代入法よりも,多重代入法が主流となっています. <欠損値の種類と対処法> ①「missing completely at random(MCAR)」:

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          Minimal Clinically Important Difference (MCID)とは?

          MCIDとは,患者立脚型質問票において,治療前後における変化が有益であると解釈できる最小の変化値のこと 1). MCIDの 2 つの算出方法. 1)アンカーとなる質問票に基づいて算出する方法(Anchor-based Method)  元の患者立脚型質問票に似た概念の質問をアンカーとして利用する.   例)アンカー;1.改善 2.やや改善 3.改善なし 4.やや悪化 5.悪化) 「改善」群と「改善なし」群に注目し,それぞれの群で治療前後における 患者立脚型質問票 の変化値

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          作業のトランザクショナルモデル

          2020年2月15日・16日に「第1回作業遂行セミナー」が開催されました. そこで,AMPSやOTIPMを開発したFisher先生のご講演がありました. テーマは「新OTIPMとトランザクショナルモデル」についてでした. 真のトップダウンアプローチと言われるOTIPMがどのようにバージョンアップしたのか,気になる方も多いのではないでしょうか? 詳細は,「POWERFUL PRACTICE」をご参照ください. USD $79.95(日本円で,約 8,899 円) POW

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          ラッシュ分析の適合基準,信頼性,1次元性

          以下に,ラッシュ分析の適合基準と信頼性,1次元性の基準を記載しました. ラッシュ分析に興味のある方は是非参考にしてみてください^ ^ なお,以下の基準はあくまで一例ですので,絶対的な基準ではないことにご注意ください.

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          ラッシュ分析の適合基準,信頼性,1次元性

          Winstepsの使い方

          現在,私はラッシュ分析を使用した尺度開発を行っております. 皆様は「ラッシュ分析」という解析手法をご存知でしょうか? ラッシュ分析は,順序尺度を間隔尺度に変換できる特性をもち,作業療法や理学療法分野でもちらほらみられてきています. <リハビリテーション領域におけるラッシュモデルを使用した論文一覧> 1)Yuki Choji, Ryuji Kobayashi.Development of a Japanese Version of a Collaborative Relati

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          項目応答理論とは?

          項目応答理論って難しいですよね. 私もまだまだ勉強不足でわからないことが多いですが,私なりに項目応答理論 についてわかりやすくまとめてみました. もしよろしければ^ ^  「(学生)の英語の能力ってどうやって測定するの?」 これには,英語の能力を測定する試験の問題の難易度や学生の能力が影響してきます. 項目応答理論とは,「試験の特性(問題の難易度)と学生の能力の間に,ある種の確率的な関係を仮定すれば,英語の能力の絶対値を測れるというアイデア」のことです. ちなみに,項

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          尺度の信頼性

          尺度開発において,尺度の「信頼性」と「妥当性」の検証は必須となります. 例えば・・・  私が学生の計算能力を調べるテストを作成したとします.  もしそのテストに国語の問題が含まれていた場合,正確に計算能力を調べることができませんよね.これは「妥当性の低い」テストとなります. 他方,同レベルの計算能力の学生に対して,私がテストを配布した場合と他の先生が配布した場合とでテストの点数が違えば,それは「信頼性の低い」テストとなります. 通常,信頼性は0〜1の値をとり,通常0.7

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          カテゴリカル確証的因子分析の求め方

          因子分析にも探索的と確証的とあるんですね. 今回は,確証的因子分析について述べたいと思います. <サンプルデータ> 7個の質問に対して4件法で回答を得たとします. 以下のようにExcelにデータを入力し,ファイル名を「sample.xlsx」として保存.A列は「ID」,B-H列は「各質問ごとに対する回答」を示しています. install.packages("readxl ")library(readxl)dat <- read_excel("sample.xlsx", c

          カテゴリカル確証的因子分析の求め方

          カテゴリカル探索的因子分析の求め方

          尺度開発において,後に尺度の因子構造を調べるために因子分析を行う必要があります. しかし,質問紙の回答形式を何件法を用いるかによって,因子分析の導入にちょっと注意が必要です. 5件法以上であれば通常の因子分析で良いのですが,2件法の場合はカテゴリカル因子分析という手法を用いた方が良いそうです(3〜4件法はグレー)(1). カテゴリカル因子分析になじみのない方も多いと思いますので,以下,mirt関数を用いたカテゴリカル因子分析の方法について記載します. (mirt関数では

          カテゴリカル探索的因子分析の求め方

          因子数の求め方

          記念すべき第2回目の記事です. 今回は,因子数の求め方です. ご参考に〜^ ^ <サンプルデータ> 7個の質問に対して7件法で回答したサンプルデータがあります. Excelに以下のように入力し,ファイル名を「sample2.xlsx」として保存します. RstudioのConsole画面に以下のように入力します. install.packages("readxl")library(readxl)x<-read_excel("sample2.xlsx") 1行目は,r

          因子数の求め方

          収束的妥当性と弁別的妥当性の求め方

          現在私は作業療法の養成校の教鞭をとる傍ら,大学院で尺度開発を行っています. 院生のなかでも尺度開発に取り組む人が多いかと思われますが,なんのせ統計学や研究の知識がかなり求められますよね... 今や,尺度開発においては国際基準Consensus-based standards for the selection of health measurement instruments(COSMIN)が設けられ, 高度な研究の知識が必須となりました. 私は29歳のときから大学院に行

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          収束的妥当性と弁別的妥当性の求め方