協業/協働関係とは collaboration?

作業療法士(OT)とクライアント(CL)との関係は,作業療法の成功または失敗の重要な決定要因であると認識されています1).

皆さんはCLとの関係性を意識したことはあるでしょうか?

病院では,OTの上司(管理者)が医師の処方箋をもとにCLと担当OTをマッチングさせていると思うのですが,どのようにしているでしょうか?
 ①処方箋 and/or 申し送りの情報 での判断
 ②①+担当OTの意向を踏まえて 
 ③上司がまずCLと顔合わせをし,合いそうだなと思う担当OTを決める
  などでしょうか.

もし,どの場合においても,介入を始めてから担当OTとCLが合わなかったらどうしますか?

当然ながら,OTも人間ですので性格的に合う/合わないがありますよね(苦笑)

しかし,冒頭でも述べましたが,OTとCLとの関係は作業療法の成功または失敗の重要な決定要因になるのです.

そのため,やはり両者の関係性を意識することはとても大事ですよね...

ちなみに先行研究では,以下のように協業関係が位置付けられています.

・協働的アプローチ2)とは,それぞれが別々の役割を持ちながらも,協力して共通の目標を達成するために,それぞれの得意な部分を活かして取り組んでいくというやり方.
補足)Collaborationは,協業と訳す人もいるが,「共に取り組む(work with)」という表現もあることから,本書では「働(work)」という漢字を用いている.
・協業3)は,説明と同意をさらに推進し,治療を提供する側と受ける側が協力して治療計画を作成し,受け手の治療への参加を求めるものである.そして協業は患者とセラピストの真の相互交流が必要である.

現在まで,CLと関係性がとれているかどうかは,OTの主観によって判断されています.

そこで,私たちは,

「協業関係4)とは,CLの立場から捉えたCL中心の実践に基づくCLとOTの意思決定時における権限の共有度合いのこと」と定義し,

CLとOTの協業関係尺度(Collaborative relationship scale between clients and occupational therapists ,CRS」を開発しました.

CRSは,①CLとOTの協業関係を客観的に評価できる,②CL中心の実践が促進できる,③短時間で評価できる などのメリットがあります.

協業関係に興味のある方は,是非,使用してみてくださいね^ ^
ただ,CRSはまだ試作版しか開示できておりませぬww

予定では「第54回日本作業療法学会(web開催)」と「作業行動研究」でお披露目する予定でいますので,しばしお待ちを〜

最後までお読みいただきありがとうございました.
さーて,明日のonline授業の準備進めるかな(苦笑)

1)Palmadottir Gudrun(2006).Client-Therapist Relationships:Experiences of
Occupational TherapyClients in Rehabilitation.British Journal of Occupational Therapy,69,pp394-401
2)吉川ひろみ:作業療法がわかるCOPM・AMPSスターティングガイド.医学書院,東京,2008,
3)山田孝:協業 Collaboration とは何か.作業行動研究 6(1): 1-6, 2002.
4)Choji Y, Kobayashi R:Development of a Japanese Version of a Collaborative Relationship Scale between Clients and Occupational Therapists .Progress in Rehabilitation Medicine (5) 20200001 2020年1月




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