項目応答理論とは?

項目応答理論って難しいですよね.
私もまだまだ勉強不足でわからないことが多いですが,私なりに項目応答理論 についてわかりやすくまとめてみました.
もしよろしければ^ ^

 「(学生)の英語の能力ってどうやって測定するの?」

これには,英語の能力を測定する試験の問題の難易度や学生の能力が影響してきます.

項目応答理論とは,「試験の特性(問題の難易度)と学生の能力の間に,ある種の確率的な関係を仮定すれば,英語の能力の絶対値を測れるというアイデア」のことです.

ちなみに,項目応答理論 は,かの有名な英語試験のTOEICにも導入されています.

項目応答理論の代表的なモデルとして,1PLM,2PLM,3PLM 1)があります.

1PLM:1パラメタロジステッィックモデル.数学的にはラッシュモデルと同等だが,1PLMとラッシュモデルは考え方や理念が異なるとされている.1PLMを導入する場合は,最小標本数100-200必要と言われている.
2PLM:2パラメタロジステッィックモデル.2PLMの最小標本数200-400.
3PLM:3パラメタロジステッィックモデル.3PLMの最小標本数1000-2000.
ラッシュモデルと項目応答理論の違い 2)
ラッシュモデル :「客観的な測定結果が得られるようにデータを整備して,意味のある構成概念を作り出すこと」
項目応答理論:「手元にあるデータを最大限に忠実に描写するモデルを作り出すこと」


ここで,「合コン」を例に項目応答理論のイメージをつけていきましょう(笑)


5名の女性(A,B,C,D,E)と7名の男性(F,G,H,I,J,K,L)がいたとします.

ある日,Fくんはふと思いました.
「女性に告白した時の成功確率って計算できないかなあ…」と(アホ…ですね).

そこで,Fくんは「女性が値札のついた商品で,男性が価格を上回るお金(男性の魅力値)を持っていればゲットできると 仮定したモデル」を思いつきました.

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・・・実際には,魅力値を算出するのは難しいんですけどね(苦笑).
ただ,上記のモデルでは,
・単純すぎる.確率が1か0だけかい??
・少し無理めの女性でも運がよければ落とせるし,その逆もあるんじゃない?
・単調に増加する関数にしたらどうかな. といった意見が聞かれました.

そこで...Fくんは,男性と女性の魅力差が0なら告白の成功率は50%となるようにモデルを修正しました.

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しかし,このモデルに対しても,
・確率は最大で1だけど,魅力差は無限大にもなりうるよ.点線の箇所においてグラフが急に不自然じゃない??
・ある程度以上の努力は,急速に報われなくなっていくんだけど…
・魅力が10倍になっても,落とせる確率が10倍になるわけじゃない(天井効果)
といった意見が聞かれました.
そこで,

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最終的にこのようなモデルになったようです(ロジスティック曲線).

以下の表は,7名の男性陣がそれぞれの女性に告白したときの実際の成功率を示しています.
…現実には1人の男性が複数の女性に告白するのはよくないですからね(笑)‼︎

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詳細は割愛しますが,男性と女性の魅力差を計算して,先ほどのロジスティック曲線に当てはめる事で下記のような告白の成功率を計算できました.

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つまり,男性陣の中ではFくんとGくんが一番のモテ男になりますね(魅力度が1.74).
また女性陣の中ではAさんが一番のモテ女と言えそうです(魅力度が1.57).

リハビリ 業界の中では様々な検査方法(尺度)が使用されていますが,全ての検査において項目応答理論が適用できるわけではありません.

なぜなら,項目応答理論を使用するには,ある種の仮定が必要となるためです.

その仮定とは・・・
①一次元性の確保:
 難しい項目より易しい項目において高得点をとる.
 難易度の高い課題より低い課題の方が高得点をとる.
 能力の高いものは低いものよりも高得点をとる.

②当て推量が最小 (偶然正解できる事はない.)
③局所独立(課題同士で影響し合っていない.) 
④信頼できる結果を得るには100‐200人程度は必要(IPLMの場合) などです

もし項目応答理論やラッシュモデルに興味のある方は,この仮定を考慮してくださいね.

最後までお読みいただきありがとうございました.

文献
1)加藤健太郎,山田剛史,他:Rによる項目応答理論.Ohmsha,東京,2014
2)靜 哲人:基礎から深く理解するラッシュモデリング―項目応答理論とは似て非なる測定のパラダイム.関西大学出版部,大阪,2007


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