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ちょっと気になったデザイン 2023年2月

こんにちは、ちょっと株式会社の久保田です。

え、もう月末??と誰もが思ってしまう、そんな2月が終わります。
今月はChatGPTなどのAIサービスが大きな話題になっていたり、Adobe社のFigma買収に不穏な気配が漂ってくるなどなど、気になるニュースが多かったように感じます。
そんな2月の気になったデザインをピックアップしてみました。


京都競馬場のグランドオープンロゴマーク

コントレイルとデアリングタクトが牡牝同時に三冠馬が誕生したのが2年半前くらい。それから長い改修期間に入り競馬場が閉鎖していましたが、遂に再来月の4月下旬にグランドオープンします。

学生時代に電車で行ける距離圏に住んでいて、ほぼ毎週のように通っていた京都競馬場には強い思い入れがあります。
忘れられないの興奮を味わったナリタブライアンの菊花賞、競走馬の儚さを痛感したライスシャワーの宝塚記念、ピカピカに輝いてたグラスワンダーとか憎らしいほど強かったテイエムオペラオーなどなど、思い起こせば数多くの記憶が蘇る京都競馬場。(現地でライブ観戦してるって自慢です)

そんな競馬場が新しくなってしまうことに少し寂しさも感じつつ、フルリニューアルのワクワク感の方が強くて心待ちにしていました。

そして今回のグランドオープンの告知と一緒に発表されていたロゴマークがあります。

京都の伝統を表現する「襲(かさね)の衣」をまとった馬。新緑の緑、熱戦の赤、そして三冠レースの終着点となる菊花賞につなげる菊色と、京都競馬場の特徴である池の水を表現した4色で、扇の形を表現しています。
軽やかで柔和なロゴタイプには、中央に「菊結び(長寿を願う組み紐)」をあわせ、シンボルとの繋がりを持たせました。
季節のうつろいを競馬で感じられる「京都らしさ」も取り入れながら、これからの京都競馬場を感じさせるモダンなデザインとしています。
2022年12月12日のJRAの公式ニュースより)

ロゴデザインをじっくり観察してデザイン意図を推察するのが大好物なんですが、競馬場自体に強い思い入れがあることもあって、菊色?菊結び??京都らしさ???って言葉がしっくりこない・・・

そしてこのロゴの立ち位置がよく分からなかったです。
プレスリリースには「グランドオープンロゴマーク」との表記があるので、その言葉通りに受け取るとグランドオープン関連のイベントや告知で使われるためだけのロゴなのか?
この先、京都競馬場が長期的に使用する施設ロゴなのか? どっちなんだろう??

ロゴだけじゃなくて「センテニアル・パーク」って呼び名も使われ続けるのか分かりません。
この洗練イメージの使い方などなど、解けない謎が多くて気になったデザインでした。


アヲハタ『Spoon Free』

ふとスーパーのジャム売り場で見つけました。(商品サイト

美しいツートーンカラーだなぁ、フルーツ部分のシンボリックな表現が上手いなぁって眺めていましたが、そこから「これってデザインの本質だよなぁ」と発展していった商品でした。
気になったので色々調べてみたら、昨年の夏頃から店頭に並んでいるようです。

ジャムを使う時のイメージにあるのがベトベトになったスプーン。(もちろん舐めますが)
置き場所に困ったり、しつこい洗い物が増えたりします。このイメージって結構強い。
時間がない朝、このベトベトスプーンってすごく面倒なやつ。この存在はジャムを避ける理由になっているし、実際に私も一人暮らしの時にジャムは買いませんでした。

そんなベトベトスプーンから解放されます。
小さなことかもしれませんが、これを大きく感じる人も少なくないと思いました。

デザインは課題解決の手段。この至極当然のことを強く認識させられました。
この商品に対するユーザーの反応や実際の売れ行きまでは調べられませんでしたが、きっと幅広い支持を得られているはずです。

そしてド直球な商品名。
『スプーンフリー』と聞いただけならジャムを想像することはないでしょうが、ジャムと知ってから聞けば「なるほど!」と分かりる商品名。

商品企画の段階から明確なコンセプトがあり、商品名からパッケージに至るまでブレない軸を貫き通した「これぞデザイン!」って言える商品だと思います。
改めてデザインに対する考え方を教えてくれた。そんな気がします。

ちなみにデザインの話からは逸れますが、この商品は「ジャム」ではなくて「スプレッド」です。
糖度が40度以上のものをジャムと呼ぶらしいです。これも勉強になりました。


『WHISKY 100th SUNTORY』の全面広告

今月の初旬に主要な全国紙で展開された全面広告です。
新聞以外で目立ったプロモーション展開が無さそうですが、SNSで軽く話題になっていたように思います。
私もTwitterで流れてきたので知り、このビジュアルの美しさに心を奪われ、速攻で画像を保存してしまいました。

「ウイスキーが、好きだから。」
100年を訴求するコピーではなく、どこかストーリーを感じさせるコピーをメインキャッチにしています。
これがフックになって全文読んでしまう。そして100年の歴史を語ってくれているストーリーに感動し、ウイスキーが飲みたくなる。そんな広告でした。

コピーについてもう1つ。
メインキャッチの次に「これや!」ってワードが大きくなっています。
「これだ!」ではなく関西弁。
創業者の鳥井信治郎氏が発した言葉であることがイメージされ、そして発見や自信を感じさせる勢いとパワーがある言葉が「これや!」です。
これを大きくデザインしている意味は深い。

そして何よりも美しい写真に惹かれます。
ほんの数分間の時間しかないゴールデンアワー、曇りも水滴もないグラス、綺麗に中心に浮かぶ氷・・・
シンプルな絵柄ですが、相当な計算と労力が込められた一枚だと思います。本当に美しい。

調べてみるとカメラマンは瀧本幹也さん。なるほど納得でした。
しかも写っている手はご本人の手だとか。ってことは結構キツい体制で撮ってる?
数年前、是枝監督の『三度目の殺人』を観た際、その美しい情景(特に夕景の鉄塔)に感動して、エンディングのスタッフロールに「撮影:瀧本幹也」のクレジットに納得したことがありました。それと同じ感動。

このプロモーションって特設サイトなどが見当たらないんです。
おそらく相当な広告費を投下していそうだけどWEBでの展開が見当たりません。サイトTOPのバナーだけ?
ほぼほぼ新聞広告のみ。
時代に逆行しているような気もしますが、ウイスキーだから・・・など深い意味がありそうな。

これ、可能ならポスターをちゃんと額装して飾りたい。


『どうする家康』フォント??

もう完全に『どうする家康』ウォッチャーとなってしまった感があります。
そして今月、ごくごく細かいところで気付いたものが・・・

ドラマ本編後に流れる紀行パートです。(2月26日放送分)
大河ドラマではお馴染みのコーナーで、この余韻に浸れる時間までが大河ドラマの楽しさだったりします。

さて、お気付きいただけたでしょうか?

このテキスト!
もしかしてフォントまで作ってるのか???

さすがに独自の和文フォントを作っているとは考えにくく、必要な文字だけ作字しているんだと思います。
でも今年は革新的なチャレンジが多く見られる大河ドラマだけにもしかして・・・って気になりました。

劇中に出てくる図版でも同じようにデザインされた文字がチラホラと。
一瞬しか映らない細かい箇所までこだわりが行き届いてます。


・・・


以上です。
今まで以上に今月は個人的な趣味に走っちゃったような。

ありがたいことに多くのプロジェクトに携わらせていただきながら、22日には弊社主催のイベントの準備など、いつもに増して忙しい1ヶ月でした。
そのイベントレポートはこちら

そんな多忙な時こそ、時間を作ってインプットするように心掛けていて、それがモチベーションとメンタルケアに繋がっている気がしています。
グッドデザインと出会うと心が和みます。

それでは。

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