D2Cブームが起きている本質的な理由
今日は、D2Cブームについて考えてみます。
D2Cとは、Direct to Consumer の略。いわゆる直販のビジネスモデルです。
直接お客さまと取り引きができる効率の良さ、距離感の近さ(温かさ)が、いま注目を集めています。
昨年はこのようなD2C本も出ました。
D2C本より転載
D2Cのビジネスモデルは、チャネルがなによりのポイント。直接取り引きを行うため、コストがかからず、生の声が届きやすいなど、店舗型の商売にはないメリットがあります。
普通に考えると、この直販ビジネスへの参入ハードルを下げた要因はネットの普及でしょう。でも「ネットの普及がD2Cブーム!を巻き起こした」と言うのも、つまらない話なので、もう少しD2Cについて深堀りしてみます。
というのも、僕はつねづね「D2Cは、なにも今さら始まったビジネスではない」と思っているからです。
D2Cはただの通信販売
誤解を恐れずに言うと、D2Cはただの通信販売です。
通信販売は、小売業態のうちの無店舗販売の一つで、店舗ではなく、メディアを利用して商品又は役務を展示し、メディアにアクセスした消費者から通信手段で注文を受け、商品の販売をする方法。通販と略称される。
wikipedia より引用
投資情報を発信している梅木雄平さんも、D2CはただのECですと言い切っています。
こちらの記事、D2Cバブルをファクトで知る興味深いnoteなので一読をオススメ。
実際、D2Cは今に始まったモノではありません。
たとえば、「ブルブルブル、ブルベリアイ」のCMで有名なわかさ生活のブルベリアイを覚えていますか?
ブルベリアイは、商品を小売りに卸すことなく、直接TVCMや新聞広告で消費者とコミュニケーションをとり、商品をお届けしていました。
この直販スタイルを、もう20年前からやっていたわけです。
最近で言うと、青汁王子で有名になった某健康食品も、立派な直販のビジネスモデルに乗っかって商売をしていましたね。あれもD2Cです。
「D2C」と「通販」は何が違うのか?
D2Cも通販も、同じ直販モデルという意味で、まったく同じビジネスモデルに見えます。それでは、この2つは何が異なるのでしょうか?
ぼくは、『コトバが身に纏っている空気感が違う』と考えます。
これ、どうでも良さそうに見えますが、のちのちに大きな差を生んでいきます。
以下、僕の主観になりますが、
通販=怪しいモノ、何を売ってくるか分からない
D2C=売り主の顔が見える、直接やりとりできる、温かい
といったコトバに対するイメージ差があるのではないでしょうか?
そもそも、なぜD2Cはポジティブイメージなのか?
通販はちょっと怪しい、一方のD2Cはポジティブな雰囲気をまとっている、この差を生み出しているのは、ズバリ『SNS警察の存在』です。
通販=怪しいと思われがちな理由は、実際に悪徳商売が横行したから。悪徳商売ではなくても、ほかに商品情報を調べる手立てがない。だから、どうしても怪しく見える、昔はそんな構造でした。
一方のD2C。これが、デジタルネイティブ世代では、SNSの登場によって環境が一変します。
ソーシャルメディアは、顧客とのコミュニケーション機能だけではなく、ビジネスの監視機能も持ち合わせているんです(笑)
今の時代、よく分からない商品を押し売りされたり、オススメされた機能がついていなかったり(いわゆる詐欺)すると、ユーザーは会社に訴える前に、まずSNSにその実態を告白します。
さらに、消費者もSNS上での口コミを見てモノを買うように変化してきているので、悪評が立っているD2Cブランドは淘汰されやすくなります。
結果として、「消費者と直接コミュニケーションをとり、温度感を感じられ、信頼のおける」D2Cブランドだけが生き残る。
昔の通販と、ネットを起点としたD2Cビジネスでは、同じようで違う、以外な差があるんです。
ここから少し話を飛ばします。
時流に合ったコトバの言い換えは巨大市場を作り出す
昨今のD2Cブームに限った話ではなく、新しい市場ができるときはある法則が存在します。
■認識のイノベーション
これまで怪しさにつつまれていた商品・サービスも、その周辺環境が変わるり、「怪しさ<<<経済合理性」となり、さらにネーミングの言い換え(パラフレーズ)されることで、新たなマーケットが出来上がる。
僕はこの法則を、認識(パーセプション)のイノベーションと勝手に言っています。
たとえば、マッチングアプリ(≒旧出会い系サイト)。
いま考えると、マッチングアプリは、普段の生活圏以外で異性と出会いのチャンスが生まれる点で、あきらかに経済合理的です。しかし、「マッチングアプリ」というコピーが生まれるまでは、出会い系サービスも怪しいモノと見られていました。
これが、環境変化とコトバの言い換えで、大きくマーケットが変わったのは、みなさんもご存じの通りだと思います。
noteも似た側面がありますね。「情報商材=悪」とされがちですが、noteというポジティブな場で有料コンテンツを販売していれば、なかなか怪しいとは思われません。
このように、今回のD2Cブームに限らず、ほんのすこし見え方が変わるだけで、同じモノやサービスに対する認識が変わり、マーケットが急拡大することも、時として起こる得るんですね。
※本質的には同じサービスなのに、です。
まとめ D2Cブームはホンモノなのか?
D2Cブームを一歩引いた目で見ると、コトバの言い換えでマーケットが急拡大してきた、というのが僕の仮説です。
SNS警察のおかげもあって、直販モデルへの信頼性もあがり、10年20年前に比べてD2Cへのニーズが高まっていることは間違いないと思います。
とはいえ、D2Cというビジネスモデルが最近生まれたモノではなく、その本質は通販、ECであることもまだ事実です。
今起きているD2Cブームが、一過性のモノなのか、まだまだブームであり続けるのかは、数年後のお楽しみというところでしょうか。。
以下、余談。。。
※個人的には、直販モデルは小規模組織ほど有利なので、個人の時代にはマッチしているかなと思っています。
しかし、ユニクロがこの安値でブランド商品を出してきているのを見ると、直販だからと言って、必ずしも個人に有利かというと、そうでもないな・・というのが本音です。
個人が戦いやすいジャンルを選べというのが、小規模マーケの身も蓋もない真実だと思います。
ということで、本日はここまで。
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