悪魔的なSNS-Clubhouseを使って感じた5つのこと
今日は、話題沸騰中のclubhouseを使った感想を。
半年以上前からwiredでは取り上げられていたりして、個人的にもいつ日本に来るのか?と心待ちにしていました。そして、実際に使ってみて、これは革命的なソーシャルメディアだなと。
久しぶりにヤバい波が来たと感じています。
手探り感が否めませんが、最初の一週間にイチユーザーとして感じたことを書き残しておき、半年後、1年後に答え合わせをできたらなと思います。
このnoteでは、下記について取り上げていきます。
・なぜclubhouseがここまで盛り上がるのか?
・いつまでこの盛り上がりは続くのか?
・clubhouseはマーケティング、ビジネス拡大に使えるのか?
・clubhouseの悪魔的なデザイン
・clubhouseのご利用は計画的に
五月雨式に書いていくので、とくにまとまりはありませんのでご了承を。
Clubhouseが満たした2つのニーズと高速PDCA
まずは、clubhouseがこれだけ盛り上がった仮説から。
clubhouseは「同窓会」と「オフ会(立食パーティー)」を兼ね備えたサービスゆえにここまで大ヒットしたとみます。
どういうことかというと、なかなか会えていなかったリアル友人と気軽に話す場をネット空間に用意したこと、さらに互いのことを認識していたものの喋ったことがないような人とも話せる、この2つのありそうでなかった機能が、人々のニーズを満たしているなと。
とくに、コロナ渦&緊急事態宣言で、この1年間気軽に人と会う機会がなくなり、溜まりに溜まっていた鬱憤の受け皿にうまくハマった形です。(zoom飲みが微妙だったことを考えると、clubhouseのUIUXは素晴らしいと言わざるを得ません....!!!)
さらにさらに、ネットの特性を活かし、普通の飲み会や講演会の「地理的制約」を解消しつつ「回転率」を上げて、イベントをネット化したことが新しい価値だと思います。
一言でまとめると、clubhouseやべー!です。
余談1:
余談ですが、clubhouseは、ほかの革新的なネットサービス同様に経済を縮小させる方向に動いているなと思います。数ヶ月かけて講演会の準備をするスタッフの労力や人件費をカットしたり、立食パーティなら1万円かかっていた予算が缶ビール1本になるなど、お金をかけずに楽しめるPFになってしまっています。長い目でみると、経済インパクトと言う意味で、負の作用は非常に大きそうです。
Clubhouseが落ち着く2つのタイミング
とは言え、この盛り上がりも近いうちに落ち着く気がしています。
Clubhouseブームが一旦落ち着きそうなポイントは2つですね。
ひとつは、緊急事態宣言およびコロナの収束です。というのも、今Clubhouseを盛り上げているのは、間違いなく事業家やインフルエンサーたちです。(少なくとも、ビジネス界隈において)
そんな彼らが夜の時間帯に力を入れているのが「会食」です。
トップ同士の会合をフルオープンにするメリットはほとんどありません。緊急事態宣言があけ、お店が20時以降も開くようになると、著名ビジネス芸人のClubhouseへの流入は一気に減ると思います。
Clubhouseは箱を提供しているだけで、ユーザー自身のコンテンツによって成り立っています。インフルエンサーの部屋が減ると、お客さんも自ずと減っていくのではないでしょうか。
2つ目が「ゆるいつながり」が消えるタイミングです。
いま、Clubhouseがスピーカーさんに提供している価値は、「お互いに面識はなかったけど、話したことはない」ゆるい繋がりを、強いつながりに変換しているところにあります。
これは僕自身も体感しておりまして、twitter上で相互フォローでたまにやりとりしていた方々と実際に話す機会が生まれました。
この体験がメッチャ楽しいんですね。なにより有益な情報が手に入ってきます。
ただし、このような「お互い知っていて、いつか話してみたい」関係性の数は有限です。いま多くのユーザーは、「前から知っていたあの人や相互フォローさんと実際に話せて楽しい!」と楽しんでいますが、この出会いの候補もいずれ枯渇していきます。
さらに、会話から得る情報にも限界効用逓減の法則が働くので、同じ人たちと短期間に10回も20回も話すことは、よっぽどのことがない限りないでしょう。
なので、時間が経つにつれてゆるい繋がりがなくなると、Clubhouseを使う便益も減って、過度なブームも落ち着いていくと思います
Clubhouseはマーケティングに使えるのか?
企業やメディア人からすると、「またひとつ厄介なメディアが生まれた」というのが、率直な感想ではないでしょうか?
広告コミュニケーションは「人の交通量が多い場所に広告をおいて、態度変容を目指す」というのが鉄則です。
いま実際にみなさんが体感しているように、Clubhouseには相当な可処分時間が投入されていると思います。なので、基本はここに広告を入れておきたいところなのですが、音声は人を動かす難易度がメチャクチャ高いんですね。
日本の広告費をみるとわかりますが、ラジオ市場というのは全体の1.8%と非常に小さいマーケットになっています。
人が直感的に「これは良さそう」「これが試したい」と思ってモノを買うのですが、その欲望を駆り立てるのはほぼほぼ視覚情報なんですね。つまり、音声ベースのclubhouseはなかなか購買に繋がりにくい、そんなメディアだと見ています。
もうひとつ、Clubhouseには最大の難点がありまして、それが新しいリーチを得られないことです。
アメリカのネットサービスは、フィルターバブルがトレンドでして、「自分が見たいものしか見れない」世界観を良しとしています。(とくにZ世代)
フィルターバブル (filter bubble) とは、「インターネットの検索サイトが提供するアルゴリズムが、各ユーザーが見たくないような情報を遮断する機能」(フィルター)のせいで、まるで「泡」(バブル)の中に包まれたように、自分が見たい情報しか見えなくなること。
Wikipediaより引用
サービス全体にフィルターバブルがかかっていると、新しいお客さんとの出会いがほぼなくなります。新規ユーザーと出会ったつもりでも、それは潜在層であったり、既にあなたのプロダクトを知っている方である可能性が非常に高いんです。
逆に、twitterであれば拡散機能、instagramであればハッシュタグ検索、tiktokであればトップ表示など、未リーチユーザーとの接触する機会がありますよね。
clubhouseは、「自分が見たいものを見る、趣味嗜好を強化する」色が非常に強いので、ビジネスをスケールさせるチャネルにはそもそも向いていないんじゃないか?というのが、ここ数日間使ってみての率直な感想です。
CRM領域やリテンション、ファンマーケティングにはうまく活用できると思いますが、マーケティングの一部でしかなく、ほかのチャネルと比べるとROIは相対的に低いはず。
ということで、clubhouseはマーケティングに活用できるか?というと、音声広告を使って購買に結びつけるのは難しいし、なによりマーケティングの肝である新規層へのアプローチには役立たないというのが、僕個人の意見です。
余談2
Clubhouse、BtoBマーケや採用活動であれば、有効に使えそうな気がしております。理由はここにツイートしてます。(あ、経営者の方がたくさん参加している理由も、ここにあるかもしれませんね.....)
Clubhouseの悪魔的なデザイン(UIUX)
ClubhouseのUIUXは非常に斬新で、メチャクチャ評価が高いです。
引き算の発想でサービスが作られていて、ひとつひとつのUIにメッセージが込められているのはデザイン素人の僕でもわかります。
全体のサービス構造とその意味については、このnoteを読むと分かりやすいです。
で、僕がここで語っておきたいのは、「可処分時間を獲得するために、いたるところに散りばめられている仕掛け」です。みなさんもご存知のとおり、Clubhouseではいつのまにか大量の時間を溶かしていますw
たとえば、ぼくがいま感じている点だと、
・roomが立ち上がった時間を載せない
・オーディエンスに意思表示機能を与えない
この2点は、スピーカーに時間を忘れさせる効能や、オーディエンスの盛り上がりを可視化しないことで、延々と無駄話をさせることに役立っていると思います。
また、あなたがオーディエンスなら、始まってまだ5分の講演会と、すでに4時間話し続けている講演会、どちらに入りたいですか?
普通は前者ですよね?。ただ、この進行状況がわかってしまうとユーザーの流入が鈍ります。なので、clubhouse側はあえて参加者数しか出していないと勝手に分析しています。いやー、実にせこいサービスです。
最後に
僕は、clubhouseは非常に危険なモノだと思っています。(サービス自体は大好きで、僕自身ハマってますが)
このは、強い者をより強くさせるようデザインされていて、しかも、自分が見たいものしか見えない、ノイズが入りにくい仕掛けになっていて、実に宗教的な設計になっているんですね。
さらに「リアルタイム×音声インプット」という構造上、有益な情報を聞き逃さないようにしようという心理を働かせやすく、変化報酬型の設計になっています。これが、みんながハマり、かつclubhouse疲れが起きる原因だと思います。
(みなさん、あまり認識していないと思いますが、clubhouseを延々と楽しむのは、ソシャゲのガチャを引き続けているのとまったく同じですからね。
お気をつけください。変化報酬のワナについては、こちらのnoteにまとめています。常時接続型SNSというのは、その最強版です!
ということで、clubhouseの使い方には気をつけながら、うまく活用していくといいねって話で、このnoteを締めたいと思います。
clubhouseを活用するにあたって、個人的にこの3冊の本が非常にオススメです。
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