ご飯は、食べれてますか?
いつからだっただろう。
普通に食べられなくなったのは。
食べることが好きだった。
唐揚げ一つでお茶碗三杯は平気で食べたし、
スイーツブュッフェで動けなくなるくらい食べることもよくあった。
おかげさまで幸運にも、
僕はふくよかだった。
ふくよかで、
幸せだった。とても。
いつからだっただろう。
「普通」に食べられなくなったのは。
高校に入ってしばらくして僕は、
食べなくなった。
半年で、30kg分の僕が、
なくなった。
高校を卒業して僕は、
お酒を飲むようになった。たくさん。
いつしかあんまりにも酔っ払って、
吐くことを覚えた。
次の日には、
体重が減っていた。
そして僕は、
食べるようになった。たくさん。
とても、たくさん。
吐くようになった。たくさん。
全部、なくなるまで。
いつからだっただろう。
普通に食べられなくなったのは。
「ご飯は、食べれてますか?」
たぶん、
「食べれていない。」
ずいぶん長いこと。
「普通に食べる」ということを、
僕はもう、ずいぶん長いこと、
していない。