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そのパフェに偏愛を感じたので、愛を込めて感動をお返しする〜小笠原伯爵邸〜

ほんの先日、小笠原伯爵邸には行ったばかりである。

最近、たった2日間限定のパフェを時々開催したりして。
パフェ専門のお店ではないものの、力を入れ出したなあ、感はあった。

しかし。
これは、やり過ぎじゃない???

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3回分のパフェ、一気に予約受付し始めた!!!

ズルくない?
しかもやっぱり開催期間は、ほんの数日。
迷っているうちに、枠は埋まってしまう。

そんな横暴なことやるお店嫌い!
お客さん舐めやがって!!!

...なんてことは、微塵も無い。
めっちゃ嬉しい。

というかどのパフェも、定番の型があるわけでもなくて多分そのフルーツに合うようにイチからのメニュー構成。
シェフ、大丈夫???

6弾の栗と柿のパフェだけは、どうしても予定が合わなかった。

実家から久しぶりに母が会いに来てくれる予定で、勝手に土日の食事の予定を埋めちゃえないのよね。
母は、パフェがあまり得意ではない。
というか好き嫌いが多いから、色々を詰め込んだパフェの中には食べられないものが大抵入っていて苦手意識が強いのだ。

本当は好きなものを共有できたら嬉しいのだけれど、苦手なものを好きになれ、なんて強制はできない。

だから今、私がパフェで母がケーキセットにできないか、とか調整中なのだけれど。とりあえず好き勝手に行ける4弾、5弾は即刻申し込んだ。

ビオレソリエスと国産イチジクのパフェ

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さ、サイコ~!!!
最初に構成を解説してくれるのだけれど、ちょっとハイレベル過ぎて、あれ録音したい。必死に覚えていようとするのだけれど、無理。
とりあえず「ほほぅ」と感動して、近くの席で披露されている同様の解説に聞き耳を立ててメモしたりする。

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トップを飾るフレッシュイチジクは、「ビオレソリエス」と「ネグローネ」。
他の方のコメントを見ると中間に入るフレッシュが「とよみつひめ」らしい。口頭での解説では一度も聞かなかったので、もしかしたら投稿者様が気になって聞いたのかもね。そういう積極性が欲しい。

どのイチジクも、ドイツの「マリエンホーフ」というリキュールやレモン等でマリネされていて、皮まで柔らかくいただける。
柔らかながら、粒々とした食感も絶妙に残っていて、丸ごと果実を楽しめている贅沢感。主人公は品種にまでこだわったイチジクであるのに、フルーツパーラー系のごり押し感でなく、フルーツをより美味しくするためのシェフの技が光り輝く。

イチジクのグラニテが、シャリッとホロっと繊細に崩れていく。
と思ったら今度はカシスのソルベとイチジクのソルベ。
構成表には「ソルベテ」という記載。
スペイン語の表記らしい。そういうところにまで、こだわりが行き届いている。
もはや偏愛である。

フレッシュ以上にねっとり濃厚な味わいと舌触り。
この段階でもう、イチジクの表現の多彩さとこだわりの強さに鳥肌が立った。凄い。

さて、丁度よい頃にくる、切り替えのアクセント、メレンゲ。
ピンクペッパー、と聞こえたのだけれど、構成表での記載は「ティムットペッパー」。ううん、難しい。山椒のような味わいで彩ったメレンゲは、いかにも粉雪のようにホロリと崩れそうながらも、カリカリと心地良い音を響かせる。

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このメレンゲの存在は想像以上にユニークで、単体で食べるのか、クリームと合わせるのか。はたまたフレッシュと一緒に…。そういう組み合わせによるものなのかは分からないけれど、フッと感じられる味わいが甘かったり、ミントみたいに爽やかだったり、独特なスパイス香だったり。色々な顔を見せてくれる。

予想の出来ない、パフェの複雑さ。面白さ。そういうところ全部含めて、魅力が爆発している。

トップと似ているものの全く異なる構成が、中層に繰り返される。マリネされたフレッシュのイチジクに、カシスソースの海。

それに、今度の変化球はイチジクと白ワインのクリーム。マリネにも使用している、ドイツのリキュールを使用しているんだとか。

こういう節々にセンスが輝く。
同じ素材を別の形で利用する。良いパフェの定番な手法でありながら、なかなか出来ることでは無い。

下層の赤はシンプルにカシスソース、に見えるのだけれど、実は似た色で、イチジクのゼリーやイチジクの赤ワインコンポートが潜んでいる。それと最早聞き取れないほどの様々なスパイスやらなにやらが使われていて。単純に「カシスソース」の6文字にはとても収まらない。


はぁ、凄い。
パフェの評判が良かったから、急に増やしてきた?
まあ、それもある程度はあるのだろうけれど、そういう打算だけであるのなら、段々と創意工夫は薄れ、主役のフルーツが違うだけの画一化されたパフェになりがちだと思う。

真実はどうか分からない。
食べた一人のファンの感じた単なるひとつの感想なのだけれど、シェフ、パフェ作るの好き過ぎじゃない?

作るのが、新たなレシピを生み出すのが楽しい。
そんな愛が詰まっているのを感じたのは、気のせいだろうか。


ペアリングのドリンクにもこだわるよね〜。
でも残念!金木犀は既に売り切れだった。

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代わりに注文したのはボタニカルのノンアルコールカクテル。

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綺麗。

透き通る爽やかな味わいに、フワリと良い香りが色づく。何の味、とはとても表現しにくいのだけれど、良い味だった。心が、フッと安らぐ。庭園で風に乗って鼻をくすぐる花の香りが液体となって、身を潤していく感覚に、沈む。


ふぅ…ここまで書いて、読み返してみる。
私もパフェ、好きだよなあ。
決して上手い文章では無いけれど、我ながら好きの気持ちはいっぱいに乗せられていると思う。

テキトーなパフェであるなら、きっと感想だってここまで広がらない。「美味しい、好きだ」と書いたところで、それはなんだか軽薄な嘘っぽい言葉になってしまう。

愛の込められた全力のパフェだからこそ、お客さんとしても全力の愛で真剣に向き合えるのだと思う。
そうして、ファンになる。

ドリンクをつけたら3,000円を超える。
何も考えずに支払える程安い買い物ではないけれど、それでも3回分、一気に予約をした人は多いだろう。

私も今後、小笠原伯爵邸のパフェがどんな道を進んでいくのか、楽しみでたまらない。






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