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夢の形を見失わないように~ル・コフレ・ドゥ・クーフゥ~

やりたいことは分かってる。
なりたい姿も知っている。

でも、色んなことを言い訳にして、立ち止まって俯いて泣いて泣いて泣いて。変われない苦しさの沼で感じる痛みにいつしか癒しすら求めている。
踏み出す勇気の先にある見えない恐怖よりも、慣れ親しんだ息苦しさの纏う安心の方が心地良いのだ。

それでも、私はまだ期待してしまっている。
未来の自分に。

「期待」という言葉を安易に使うべきではないのだろう。
未来の自分への期待は、今の自分への諦めだ。
そして期待が外れた時、責任は今の自分が願った未来の自分にあるのだ。
無責任も甚だしい。

この、弱さと汚さで塗り固めた自分の為だけの防御壁をどうやって打ち破るのか、全然分からない。

ただ、手を伸ばしたい先だけは見失わないようにしたい。

やりたいことは分かってる。
なりたい姿は知っている。

それすらも見えなくなったら、きっと私は今の息苦しさを痛いとも思わなくなるのだろう。そういうことが、もしかすると「大人になる」ってことなのかもしれないけれど。でも、なんか、嫌だ。

せめて「理想」を思い描き続けられるように、何度でも夢を見て、ちょっと恥ずかしいけれど言葉にしたいと思う。

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ル・コフレ・ドゥ・クーフゥ

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は?
いきなり飛んだね。
カフェの話。

いいや、そんなに飛んでない。
カフェ巡りは私の夢の形のひとつなのだから。

それにしても「ル・コフレ・ドゥ・クーフゥ」って名前、めちゃムズだよね。超有名パティスリーのひとつであるという認識はあるのだけれど、ちょっとソラで言う自信は無い。今もコピペした。

「好きなスイーツのお店は?」そんな話題になった時、私は職場の中で最も知識が深いと思う。だって好きだから。
でもSNSを見たりしてるとさ、この「ル・コフレ・ドゥ・クーフゥ」だって常識中の常識店だし、知らないお店もたくさん当たり前のように登場する。
そんな比較に何の意味もないことは理解しつつも、やっぱり思っちゃうんだよ。

「スイーツ好きとか自称しながら、ニワカにも程があるってばよ~~~!!!」
尽きない自己嫌悪。
自分でも流石と拍手を贈りたくなるレベル。
褒めてない。

知識をひけらかしたいとか、相手よりも優位に立ちたいとか。
そういう願望がゼロかといえば嘘になるかもしれないけれど、優先順位としては高くないと思ってる。
私はただ「自分がスイーツ好きである」と豪語したい。
それはもう、名刺に書けるくらいの自信で。
そうでないと、その界隈の人との会話に混ざる資格がないとか考えちゃうんだよね。そんなこと、きっと無いはずなのに。
...ない、よね?

あぁ、ところで話は行ったり来たりだけど、とても良いお店だった。

「半生ピスタチオクリームブリュレケーキ」

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押し寄せる香りの良い甘さはピスタチオか抹茶か。

「味」と「色」の関係って深いもので、緑色という共通項から、味わいの馴染みも凄い。
感じる刺激のどこがピスタチオなのか、抹茶なのか、分からなくなってくる。

食感の芸術も特筆すべき点!
間に生クリームが入っているわけでは無いのに、その舌触りときたらもう、凄い。

しっとり、ふんわり、とろん。
中心にあるのは「しっとり」が強いだろうか。
そこを軸に、様々な食感に驚き癒される。

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上に乗るナッツやイチジクも、見た目の可愛らしさだけに終わらない。
噛み締める度に、深みの増す味わい。
食感的なアクセント。
良い存在感を放つものだ。

おまけ?に添えられたクッキーでも、幸せは跳ね上がる。
しっとりケーキに対して、ザクザク。
歯を立てる度に、甘くてほろ苦いココアが口の中にボッと広がるんだ。

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ビジュアルの可愛らしさに惹かれて、ブルーハワイのクリームソーダも購入。可愛い。

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飴やアイスを、どのくらいマルっと食べて、あるいは沈めるか、悩みながらスプーンを入れていく。

思い描く理想の湖ブルー。
次々と生まれては消えゆく気泡たちの一瞬の切なさは、美しい。

爽やかに喉を潤す、涼しげな味わい。

**

とまあ、毎日noteやtwitterを通してスイーツの感想を書いているわけだけれど。形の持たない「感動」を誰かに伝える言葉にするのは、難しい。

難しいけれど、いつか言われた「あなたのオススメが美味しそうで買いました」が嬉しくて。
一体何があんなに嬉しかったのか。
「私が褒められて」とは少し違う。

「好きの共有」という仲間意識か。
あるいは、好きだと思ったお店に貢献できて、お客さんになった人の幸せにもわずかながらも貢献できて。そんな「皆幸せ」状態に関われたことに対する達成感か。

いずれにせよ、もっと上手く、好きを語りたい。
語り合いたい。

「食に詳しくなって、美味しいものを食べて、好きな気持ちを誰かと共有したい」

これが、私の確かにやりたいことのひとつの形。

もう1つ、あるいは2つ、明確にやりたいと思っていることがあるのだけれど。長くなりそうなので、それはまた別の話。

**

県内トップの高校。
大学は県内の国立を選んで欲しいけれど、上京を希望するのなら最低でもMARCHの中で偏差値が高いとされる明治。
就職するなら、一部上場企業の正社員。

そんなに優秀では無かったものの、とりあえず親が当然とする基準はクリアして無難な幸せの中で生きてきた。
やりたい事よりも、いるべき場所を優先した。

けれど最近になって、先のまだ長いであろう一度きりの人生の中での「今」を考えた。
考えてしまった。
ゾッとした。

私を悩ませる「比較」をしてしまえば、「やりたくない仕事」を生きる為に仕方なくこなしている人と比べれば、今の環境は幸せだ。
だから、動けない。
だから、「今」でなく「未来」の自分に期待する。

それはすぐには破れない呪縛かもしれないけれど。
とりあえず。
とりあえず!!!

今日は定休合わせのための平日休暇。
私の夢の材料のひとかけらであるカフェ巡りを全力で楽しむ。
悩むのはそれからでも、きっと遅くない。

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