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「可愛い」を助ける語彙たちよ早く!〜ルワンジュ東京〜

【可愛い】
①小さいもの、弱いものなどに心引かれる気持ちを抱くさま。
②ほかと比べて小さいさま。
③無邪気で、憎めない。すれてなく、子供っぽい。
④かわいそうだ。ふびんである。
<goo国語辞書より>

違う、そうじゃないよ私が言いたいのは。
だが、どう表現したらいいのか。
私のもてる語彙力の手札は「可愛い」「尊い」「最高」せいぜいこのくらい。ああぁ…語彙力の詰まった左脳を置いてけぼりに、感情で動く右脳だけが全速力で突き進んでしまったみたいだ。語彙力早く来て…。

可愛いな〜〜〜。

ルワンジュ東京

希望が欲しかった。
明日を頑張る、明後日を頑張る、今を懸命に生き抜く希望が欲しかった。
それは必ずしもお金で手に入れるものではないのかもしれない。でもお金をかければ手に入る希望だってあるのだ。

だから時には、高級スイーツの予約を入れておく。

ルワンジュ東京のスイーツは食べたことがある。
よく覚えている。
職場で「バ」の付く日にチョコを渡した中で一番偉い人から「ホ」の付く日でのお返しだった。

ギモーブショコラ

パリッとチョコに、ギモーヴとパートドフリュイの二重構造。
ギモーヴって不思議。
フニッとした柔らかさで、かつ歯切れ良い。スッと口の中からいつの間にか消える。パートドフリュイの瑞々しいキレある味わいがギモーヴから染み出して。食感は消えるのに、そこに余韻が広がる。

お店が銀座にあることは知っていた、はずなのに。
絶対好き系なお店であることは明らかなのに。
どうして行ったことがなかったのか。

今になって考えると、不思議だ。

どれをとっても明らかに行きたいが過ぎる。
そして、予約を入れた。

銀座はよく行くのに、行ってみるとその道は通ったことがない。
「知らない」はきっとまだまだあるんだなと、今後の街散策がまた楽しみになった。

お店に着くと、そこはまるでジュエリーショップ。
注文は予約してあるので、あとは飲み物。

なんか凄いやつ持ってきてくれた。かっこいい。
実際に香りを確かめて飲みたいものを決めてくれ、という嬉しすぎるサービス。
とはいえこういうのは、なんとなく気恥ずかしくて気になる2、3種試してみて決めてしまう事が多い。
だというのに、どれもこれもあんまり素敵な香りなものだから、全部クンクンくんくんしてしまった。
もうその時間にお金払ってもいい。


そして決めたお茶が……

なんか凄いので出てきた。
横から撮った方が分かりやすかったかな。カップを包み込むかのようなとんでもない新しい発想のソーサー?である。未知の世界。

CRYSTAL FRAISE

どう見てもパフェではあるのだけれど、どう見ても芸術だ。
なんだ…これは。
赤と黄緑が入り混じる感じが可愛い。
グラスの微妙に丸みを帯びた感じが可愛い。
底にタプンと溜まる透明なジュレっぽいのが可愛い。
グラスの口から少しはみ出るくらいの絶妙な長さの橋渡しミルフィーユが可愛い。そしてその上に乗ったクマちゃんが…可愛い。可愛過ぎる。

言葉の持ち札が足りないのだから、それを存分に使いまくるしかない。
あぁ、可愛い。

上から見ても可愛い。
グラスの入口からちょっと見えるリアルの中身が可愛い。
横から見るよりも白が入り混じる、可愛い。

というように存分に外見を楽しんだ後。
クマちゃんにはパイ生地の橋と一緒に降りてもらう。

後でちゃんと食べるからね。

さてさて「可愛い」の後には「美味しい」の時間がやってくる。

シャンパーニュ・ロゼでマリネされた苺あまおう。オレンジとアールグレイのジュレ、ロイヤルミルクティーのわらび餅、ピスタチオ、炭と紅茶のクランブル。

…は?……っはああぁぁぁ・・・・
何、それ。パーツのひとつひとつが凝っている。手間もそうだし、発想が凝っている。

層構造でもないので、食べるのに順序はない。
そして勿論ひとつひとつをじっくりと味わうのも楽しみの在り方としてアリではあろうが、やはり大きくグワッとすくい取るのが正解に近い気がする。
勿体ないけど!!!

甘酸っぱさと甘さと、まろやかなコクと。とろける舌触り、チュルンとした潤い。カリッと、フワッと、トロンと。

あああぁ、語彙力が。
様々な食感と舌触り、味の方向性と温度帯と、様々な様々が一同に口の中で踊り出す。
それはしっかり、軸があって世界観が成立していて、まとまりのある美味しさに集約しているのだ。
それをこんな抽象的な表現でなく、言い表せないものか。

もっと早く書けば良かったのだろうか。
食べながらその場で書いていたのなら、もっと書けたこともあったかもしれないのに。

けれど「文章に残すこと」が 目的ではなかった。
あの時は、ただひたすらにその幸せに浸っていただけなのだから、それは正解の道だったはずだ。

キャラメリゼされたパイ生地は本当に理想を超えるサクッサクで。赤すぐりの甘酸っぱさもピスタチオのコク甘も、そのパフェの主張を集約したような感じ。とんでもなく美味しくて、端から端からどんどんつまんでいくと、あっという間にくまちゃんだけが取り残された。


てっきりくまちゃんは生チョコのような感じかとおもったら、非常にかための固形チョコ。
一口で食べられるようなサイズ感ではないので、頭から…ボキンと。ボリッゴリッ…ごめんっ、ゴメンなさい……。

可愛いけれど、最後にちょっとリアルで怖かった。怖かったけど、可愛い。


noteで毎日スイーツのことを書いて460日以上も経ったのに、まだ「可愛い」を「可愛い」しか言えなくてもどかしい。この言葉を助けてくれる言葉たちは、どうすれば手に入るのだろう。

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