ハイセンスな彼女
おしゃれ、洗練、ハイセンス。
ぼくにはとうてい縁のないキーワードだ。
「ここ、ハイセンスなのかな」
そう言ってきみは笑う。
ぼくたちは、スターバックスでコーヒーを飲んでいた。
「そうだと、思う」
ぼくはうつむきかげんで答える。きみは真っ赤な花柄のワンピースをきていて、まわりでマックのノートブックをかちゃかちゃやっている連中が時々ちらちら盗み見る。ぼくは他人の心はよめないけれど、あいつらが考えていることは痛いほどにわかる。
「なんで、あんなしょぼい男を連れているんだろう」
ぼくが考えていることを、きみが言った。ぼくは驚いてコーヒーが器官にはいってしまい、むせた。
きみはぼくに顔を近づけて、ささやいた。
「そんなこと考えないほうがいいよ」
「きみは洗練されているからいいけどさ」
ぼくが言うと、きみは笑った。
「こう考えたらどうかな」
コーヒーを一口飲んで、言った。
「ブランドもののアイテムと、古着をあわせて、おしゃれにみせるファッションみたいな感じだって言ったら、きみは安心するのかな」
「バランスが取れているってことかな」
きみはいたずらっぽく微笑んだ。
「きみが言わせたんだよ。私はきみが古着だなんて思ってない」
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