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2024年5月の記事一覧

カルロ・コッローディ「ピノッキオの冒険」(1883年)

カルロ・コッローディ「ピノッキオの冒険」(1883年)

ディズニーのピノキオを観たことがないので比較ができないのだが、こちらはかなり良い児童文学だった。
木の枝から作られたピノキオがありとあらゆる失敗を重ねながらも、彼を作ったジェッペットじいさんや、仙女たちに支えられて成長していく、という物語。

物語のトーンとしてはダークファンタジー的な雰囲気。
基本的にピノッキオを騙しにくるのは、子どもたちや動物たちで、結果的におとなのもとに売り払われたりする。お

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紫式部「謹訳『源氏物語2』」(1008年頃)

紫式部「謹訳『源氏物語2』」(1008年頃)

2巻では源氏の君の18歳から25歳までを扱う。
この巻では、有名な車争いや、その後葵上が六条御息所に呪い殺されるエピソードなどがある。また、幼女だった紫上が成長し、源氏の妻となる。
また、桐壺院が亡くなり、朝廷の勢力図が変わる。右大臣家が権力を持つようになり、左大臣家側である源氏も抑圧される日々を送る。
源氏の女遊びばかりだった印象の1巻に比べて、きちんと物語が展開しはじめている。

まだまだ先は

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ベルトルト・ブレヒト「三文オペラ」(1928年)

ベルトルト・ブレヒト「三文オペラ」(1928年)

ネットで「ブレヒト」を検索すると「ブレヒト 異化効果」という検索候補が出てくる。「異化効果」は知っているが、「ブレヒトと言えば異化効果」というほどのものだとは知らなかった。

そして、「三文オペラ」にも異化効果が仕込まれているという。
自分は全然わからなかった。このあたりは、知性と教養を身に着けることと、思考力を深めていく過程で、世界に対する解像度をあげていく必要がある。そういうことをやっていると

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