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2021年4月の記事一覧
ふつりあいにつりあってる
真夏日の青空の下に立つ避雷針は凶暴で、のどかな陽気とつりあっていなかった。
もちろんぼくらは嵐を望んではいなかったし、このふつりあいなのも悪くないと認めた。
世の中はふつりあいなのだ。ふつりあいなもの同士がつりあっている。
自然に魅了されて
大自然のつづき。
思いもよらない光景。ものすごい光景ではないけれど、日常とすこし離れた場所にある。それが自然のだいごみかもしれない。
ぼくは自然に魅了される。
アバンギャルドな日々
町の中に前衛的な芝居の舞台みたいな風景がぽろぽろとこぼれている。ぼくはたまに足を止めて、それを見入る。
アバンギャルドだと彼女はいう。
その言い方が妙に昭和めいていて、ぼくは思わず吹き出した。
空の趣味
空の色は青がいい。すっきり、濃い青。
「青空がいいって刷り込まれてるのよ」
彼女がいう。
彼女は少し曇っているくらいがいいという。
やれやれ、それでもうまくいっているのだから男女の仲は不思議なものだ。
待っててあげる
送電線に沿って歩いていくとどこにたどりつくのだろう。
そりゃ、日本中歩くことになるわよ、ときみが笑う。
しかも、何周も歩くのよ。
本当にそうだろうか。どこかに終点があったりしないだろうか。
ぼくが疑問を口にすると、きみは笑う。
たしかめてきたら?
私は一緒にはいかないけれど、ここで待っててあげるから。
どうやら長いこと待たせてしまいそうだ?
幻想街綺譚
雨の日に出かけるのは濡れるからいやだ、とぼく。
彼女は雨の日でも出かける。そこにしかない良さがあるのだそうだ。
男らしさを発揮して、ぼくは彼女と一緒に出かけた。その道すがら。
きらきらと光をおびた公園は、ちょっとした別世界だった。
不思議な光景
不思議な光景。
田舎の空き地に二階建てバス。
なぜここにあるのかはまあいい。
ぼくらは、その組み合わせにじんわりとした驚きを覚えた。
「あのバス。まだ動くのかしら」
彼女が言った。
そうそれはぼくも気になるところ。
こんな田舎を二階建てバスが走ったら。
「それはそれで楽しいだろうね」
彼女が言った。