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大切な人と週末に食べるレモンケーキをめぐる、人と場面と私

「週末に大切な人と食べるケーキ」という意味のケーキ。

ウィークエンドシトロン。

レモンの果汁と皮のすりおろしが入って、まわりをレモン入りのアイシング(砂糖衣)で覆っている。

レモン風味の、さわやかなケーキ。
なんだか急に作ってみたくなった。

色々なレシピがある中、今回はこちらで。

栗原はるみさんのレシピ。

栗原はるみさんは最愛の夫・心平さんを今年亡くされて。
大きなショックを受けながら、いつまでも嘆いていてはいけない、と立ち上がった。
今、新しい雑誌を作り、また再び自分の料理を見直している。

一度だけ、栗原はるみさんにお目にかかったことがある。
もう20年以上前。
イベントの、数多い人の中であいさつをさせてもらっただけなのだけど。

家に栗原はるみさんの、初期の本「ごちそうさまが、ききたくて」があることから、レシピや番組のこと。

ちょっとお話すると、ほかのてきぱきした、しっかりした、プロの女性たちと違った雰囲気で。

「あら、うれしい」とふわりとした笑顔で答えてくださった。
そして、一生懸命に名刺を見てお話してくださる。

私のいうようなことは、何千人、何万人にいわれたにちがいないのに。

驚くほど、可憐で、自然体で、本当にかわいらしい女性だった。

亡くなったご夫君・栗原心平さんは、「初めて会ったとき、君は本当にかわいかった。今も、かわいいよ」という手紙を、はるみさんに残した。

愛されて、見守られてきた、女性。

同時に、気遣いと愛にあふれた、女性。

それまで知っている「プロフェッショナル」な女性と違うタイプの、プロフェッショナルな女性。

あっという間に、魅了された。
料理家としても、女性としても。


はるみさんのレシピで作ったケーキ。

大変なのは、レモンの皮のすりおろし。

レモンの皮と、レモン果汁を入れると、あとはかんたん。

焼き上がり。もう少し膨らませたかった。

上から粉砂糖をレモン果汁で溶いた、シロップをかける。

レシピでは粉砂糖が120gとあるけれど、さすがに多いだろうと、70gにしてみた。それでも多かった。50~60gで充分。余ってしまった。

タラっと下に垂れるくらい。上にはピスタチオを飾って。

いただくと、さわやかな、レモンの香り。
まわりのアイシング(砂糖の衣)が、あまずっぱいアクセント。
ナッツも時折、コリッと。

家族3人で、一切れずつ。
「へ~、さわやかな味だね」(息子)
「砂糖がおいしいけど、危険かも💦」(夫)

「平日は忙しくても、週末に大切な人と一緒に時間を過ごす」というケーキ。そんな、ひととき。


このケーキ、本屋大賞の候補になった加藤シゲアキさんのベストセラー『オルタネート』の、重要なひと品、でもある。
好意を持ちながら、すれ違いそうになる、ふたりの。

最新刊の『きのう何食べた?』にも出てくる。ここでは「檸檬パウンドケーキ」と紹介。知人に作ってもらって、ふたりで食べる。

どちらの作品も、大切な人と食べるシーンに出てくる。

ウィークエンドシトロン。
大切な方と、さわやかなレモンの香りを楽しんでほしい。

そんな気持ちで。



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