クリームソーダには少女と大人の郷愁がシュワリはじける
鮮やかな緑色に丸いアイスクリームがポコン。
小さな気泡が下からのぼってきて、はじけている。
クリームソーダって食べるのかな?
飲むのかな?
なんていうのが正解なのか、わからないんだけど。
その色を見ると夏!って感じる。
初めていただいたのは、小学校の時。
母は、濃い色で、冷たくて、甘い、そういうものをあまり食べさせなかった。そういうところだけ、制限をした。
だから、ごくたまに父と出かけた時。
生まれて初めて頼んでみた。
私にとっては冒険で、大人の味。
いつもはアイスクリームか、せいぜいチョコレートソースのかかったサンデーだった。
パフェも量が多くて食べきれなかったから。
ミント味が苦手で、緑色の飲み物が飲めるかどうかドキドキしたけれど、どうしても頼んでみたかったのだ。
おしゃれで、涼し気な姿にあこがれて。
つば広の帽子をかぶった、ワンピースの女の人みたい。
その頃に読んでいた本の挿絵を思い出す。
ああ、あの本のタイトルは何だっただろう・・・。
目の前に置かれたクリームソーダ。
はじめに濃いピンク色のチェリーをそっと取って、お皿に置く。
大事に取っておくのだ。
そして、長いスプーンでアイスクリームをひと口・・・のはずが、コポコポとアイスクリームが沈む。
「ん」と唇に力を入れて、ぐっとスプーンを差しこむ。
あ、ひと口取れた!
ペロリ。
冷た~い。甘~い。
少し、なんだろう、スウッとした味がする。
ストローを差し込んで、ひと口。
コクン。
シュワッ!
口の中がプールみたい。
水よりもみずみずしい。
少し、鼻がツーンとする。
でも・・・おいしい!
気に入ったのは、アイスクリームの底にソーダがくっついてソーダシャーベットみたいになっているところ。
シャリシャリ・・・シュワシュワ・・・緑色の味。
最後にチェリーをパクリ・・・安心する、味。
食べ終わった時。体がひんやりしていた。
でも汗をかいたような、不思議な心地で。
「大人になった」気がした。
そのあとで食べたのは、高校時代。
学校帰りに友達とおしゃべりしながら、時どき楽しんだ。
ちょっとしたぜいたくなひと時だった。
大人になって、忘れていた、あの味。
もう何年も食べていない。
なぜだろう。
急に頼んでみたくなったのは。
目の前で、あのさわやかな緑色と白のコンビネーションを見たくなった。
口の中を清涼感で満たしたい。
体中をソーダ色にしたい。
背伸びをした少女気分で。
クリームソーダ、お願いします。
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