桃🍑は幸せのにおい、幸せのかたち

桃を見ると幸せな気持ちになれる。
香りにうっとりし、口に含んでとろける。

「桃色」の肌は産毛のある赤ちゃんのよう。
まあるい形も赤ちゃんのほっぺや、おしりみたい。

やさしくて、なめらかで、瑞々しくて。

でもそうっと触ると、どこか官能的でも、ある。

形も、色も、香りも・・・

熟した桃の、ツウと甘い汁がしたたり落ちる感じ。

桃の季節になると、いつも果物屋さんで、覗く。

そうっと持ち帰る。

「お母さん、いい匂い、桃みたい」
小さな息子に、ぎゅっと抱きつかれた。
幸福感に包まれた。

桃みたいなのは、息子だった。
小さくて、丸くて、かわいくて、瑞々しくて、いい匂いがして。

もう15年も前だけど。

幸せの記憶は残る。

大好きなのに、なかなか上手に切れなくて。
どうやって切るといいのか悩んでいた。

ある日、半分に割ってから縦に切ると聞いた。
でも、半分に割ろうとすると力を入れた部分から果汁があふれてくる。

だから割らないで、縦に切っている。

縦に包丁を入れて、ちょっと横に倒す感じで、切っていく。

白ワイン煮にしようとか、シロップに漬けようと思いながら、できない。
その前に食べ終わってしまうから。

桃の花も好き。
華やかであでやか。

桃源郷という言葉がある。

俗世間を離れた別天地という意味だけれど・・・でも色っぽい花。

桃は皮をむく前から、その香りで魅了する。
すうと薄く、すべらせるように皮をむく。

ひと口ほおばると、果汁がどっとあふれて、蜜でいっぱいになる。

やさしい、甘い、柔らかい。
とろける、うっとりする、ためいきをつく。

桃の季節が好き。

幸せのにおい、幸せの味

🍑桃のイラストはfuyukoさんからお借りしました。ありがとうございます。

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