圧倒的読了感。そうだ、秘境へ行こう。#創作大賞感想
今回は、山門文治さんの『途中下車してみたら、そこは秘境だった。──JR水郡線矢祭山駅』の感想を書かせていただきます!
こちらの作品は、創作大賞2024にオールカテゴリ部門でエントリーされています!
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この作品を読んだ人には、もれなくプレゼントが付いてくる。それは、圧倒的読了感だ。「読了」とは「書物など、ある程度の長さのあるものを読み終えること」を意味する。
「そりゃ、ある程度の文字数があるんだから、読み終えれば読了感あるでしょ」と思われる方がいると思うが、山門さんの作品の場合、それが圧倒的なのである。
舞台はJR水郡線矢祭山駅。まさに秘境だ。おそらくこの作品に出逢う前に、この駅名を知っていたという方はほとんどいないと思う。
茨城県北部出身の僕ですら、ギリギリ水郡線という路線名だけは知っていて、無論矢祭山駅なんてものは聞いたことがなかった。茨城?福島?どっち?状態であった。
全然イメージ湧かないけど、そこにはおもしろいナニかがありそうな気しかしない。山門さんの言い回しをお借りするなら、まさに創作のネタとしては卑怯な秘境だ。
この作品を読んだ人はきっと矢祭山駅で降りたくなり、自宅の最寄駅から矢祭山駅までの経路を調べたであろう。僕もその一人。車で行くのは野暮だ。何としても電車で、あの水郡線で行きたい!と山門さんが思わせてくれる。タンブラーにコーヒーを入れて、サンドウィッチをリュックに忍ばせて。
そして僕の場合、矢祭山駅に出逢った山門さんに少しだけ嫉妬した後、なぜか対抗心がメラメラと湧いてきた。矢祭山駅は、山門さんの作品で多くの人に知れ渡ったはず。僕は、まだ誰も知らない秘境に行ってみたい。
作品の構成力、読者を引き込む文章力はさることながら、作品そもそもの企画力に脱帽した。完全に個人的な感想だが、創作の為の旅ではなく、旅を創作に昇華させた、という印象だ。
旅は「思い出」として大事にしまい込んでいてもいいし「ここに行っといで」と他者へ思い切り共有してもいい。
山門文治。noteユーザーなら、このクリエイター名を目にしたり、耳にしたりする機会があったはずだ。彼を天才noterと称している記事も幾つかあった。
僕もnoteをはじめて間もないタイミングで山門さんの記事を目にすることがあり、衝動的にフォローをした。山門さんのことはよく知らなかったが、本能がフォローした方がいい!と言ったのだ。それほどまでに、彼の文章には引力がある。
山門さんは今回の創作大賞で「本気でグランプリを狙う」と公言している。果たして、そう公言している人が他にどれほどいるだろうか。
そう思っている人はたくさんいるかもしれない。でも、それを言葉にして、noteで発信しているのが、山門文治なのである。
企画力も構成力も文章力も頭抜けているのだが、それら全ての根底にあるのが、創作に対しての本気の熱量なのだと思う。
この作品は読もう読もうと思いつつも、スキだけつけてしばらく放置していた。山門さんの本気の作品には、しっかりと準備をして(なんの準備だ)、時間をつくって向き合いたいと思っていたから。
僕にとっては一種の旅のような感覚。そしてようやく足を踏み入れることができたのだ。
───「山門文治の本気」という秘境に
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