ライターになって3年が経った
ライターを名乗るようになってからまる3年。
記名で記事を書くようになってまる1年。
その間に何記事書いたかなんていちいち覚えてはいないが、まあ、それなりに数は積み重ねていると思う。
幸いなことにクライアントに恵まれており、そこから仕事の幅がどんどん広がっている。記事の報酬も、ようやく業界の常識の範囲まで上がってきた。
また、起業届〜確定申告にあたっては、独学で簿記の基礎知識を学び、黒字で事業利益を計上できている。
職歴が浅く、四半世紀近くほぼ専業主婦だった世間知らずにしては、上出来だとと思う。
しかし、諸事情から社会保険の扶養内に留めているため、今だに「自分は所詮プチ起業」という自覚は十分ある。
それに、記名記事があるとはいえ、今はまだ1メディア。一応もうひとつ記名で掲載予定はあるが、未だ掲載待ち。
そんな状態である自分がライターを名乗っていいのかな? という気持ちは根強く残っている。
しかしながら、どんなに安い仕事でも手を抜かない。書いた記事に納得がいかなければ、1記事まるごと書き直す。それがライターを名乗っている私なりの矜持だ。
始めたのが50代目前と非常に遅いのは、明らかなハンディキャップだ。体力的に無理が利き、伸び代が多い若い人と普通に勝負していたら絶対に勝てない。
それを乗り越えて細々とでもライターを名乗り続けるために必要なのは、歳を重ねて身につけてきた経験値を生かせる仕事を見つける努力、そして「この人に任せれば安心」という安定感を培うこと。当初からこの2つは死守せねばならないと、肝に銘じてきた。
だからこそ、普通なら投げだしても差し支えないようなド底辺の仕事でも、決して手を抜かずにやってきた。それを続けることで信用を積み重ね、「あなたにこそお願いしたい」という言葉をクライアントから引き出すことに腐心してきたのだ。
残念ながら、私には報酬と労力のバランスを上手に取りながら、内容的に問題がない記事を速く書く能力はない。
「数をこなせば速く書けるようになるよ」と言われたのでがんばってみたが、どういうわけか数を重ねるほど1記事にかける時間が増え、ますます筆が遅くなるばかりだ。
ライターを始めた頃と比べると、1記事の執筆にかかる時間は倍以上。3倍を超えるのも時間の問題だ。明らかに、報酬に見合わない記事も多い。
どうやら私は、他の人なら片手間に書ける記事でも、時間をかけて馬鹿丁寧に書くことしかできない性質らしい。ゆえに(納期厳守にもかかわらず)クライアントから「そんなに馬鹿丁寧な仕事をせんでもいい」と切られたことも1度ではない。
でも、捨てる神あれば拾う神あり。「とにかくじっくり丁寧に書いてほしい」というクライアントからのオファーがポツポツ来るようになり、今はほぼそういう仕事だけ受けられるようになった。
必ずしも報酬が高い仕事ばかりではない。労力がかかりすぎて割に合わない仕事だってある。
それでも手は抜かない。どんな記事でも、自分の今の能力で書ける最高の記事をクライアントに提供するのが私のポリシーだ。
報酬を考えれば、それはとても非効率だ。しかし、私にはそれしか能がない。この3年でそれは痛感している。
しかし同時に、そのような誠意が通じるクライアントがいることも知っている。それもまた、この3年で実感している。
こちらも相手も人間。たとえドライな仕事の場であっても、情を捨てて効率だけ追いたくはない。
だから、どんなに要領が悪かろうが、どれほど非効率であろうが、私は手を抜かない。誠意を武器にこのまま進み続ける。それこそが、私の最大の強みであると信じて。
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