見出し画像

「苦役」ではない仕事なんてこの世にあったんだ!と驚いた話

就活の頃、「仕事は死ぬほど辛いのが当たり前。辛くない仕事なんてどこを探してもない」と誰もが口をそろえて私に言ったので、今に至るまでずっとそんなものだと思っていた。

これまでパワハラセクハラ深夜残業などなんでもありのブラックな職場ばかりを経験してきたが、どんな理不尽な思いがあってもそれが当たり前だと受け止めていた。そのせいで体を壊したことも多々あったし、辛くなかったといえば真っ赤なウソになるが、その「苦役」こそがお金をもらうことの代償だと信じて疑うこともなかった。例えるなら父親のしごきを素直に受け、身体を壊しても頑張る星飛雄馬の心境というところか。

だから、1文字0.3円にも満たない案件でクライアントから理不尽なまでのFBを受けても、「まあ、お金をもらうってことはそんなものなんだろうな、世の中そんなに甘くはないわな……」と、思いつつ、淡々と自分のやるべきことを機械的にこなしていたという感じだった。なんといっても私の中では「労働=苦役」という図式がデフォルトだったのだから。

けれども、今の仕事は成果物の出来が全てだから、別にクライアントの顔色を見たり媚びを売ったりしなくてもクライアントが求める基準をクリアしていればそれなりに評価してもらえる。なにより、悪意の人に振り回されるような人間関係でストレスを感じることが本当に少ない。

正直言ってなんとこの仕事は精神的に楽なんだろう!と思った。私にとってこの仕事は、仕事以外のよけいな事で頭を悩ませる必要がないという点でかなりメリットが大きい。

その代わり、成果主義の歩合制みたいなところがある仕事だから仕事の手を抜けばたちまち切られてしまうという厳しさはある。また、クライアントの都合でいきなり単価がガクンと下がっても文句は言えない。納期が真夜中または早朝なんてこともよくあり、下手をすると体を壊すほど不規則な生活になりかねない。

でも、「仕事=苦役」が当たり前と刷り込まれている私からすれば仕事そのものの厳しさなどまったく当たり前のことだ。パートやアルバイトによくいるような、だらだらと仕事をする人間と同じ時間給では納得がいかない。

その点、この仕事は出来高制となるのでかなり平等な扱いを受けていると思う。それに、その日の機嫌でわけのわからない言いがかりをつけるクライアントがいたらその仕事を辞退し、次の仕事を探せばいい。ある種のそんなドライな感じが本当に楽だなあと思う。つまり、少なくとも私にとって今の仕事は「頭が壊れそうなほど忙しい!大変だよ~!」と思う事はあれど、精神的には「全く苦にならない」のだ。

私にとっては、「苦にならない仕事」なんてこれまで一度も経験したことがない未知の世界だ。だから「こんなに楽にお金を頂いてしまってもいいのだろうか?」という罪悪感すら覚えてしまい、「私の仕事は報酬額に本当に見合っているのだろうか?本来はもっと苦しんで仕事をしなければその資格はないのでは?」なんてよけいな心配までしてしまうことすらある。でも、それは「たまたまそのようなストレスの少ない仕事に恵まれてラッキーだった」と受け止めてもいいのだろうか?それならよいのだが。

それにしても、この世に「苦役ではない仕事」なんてあったんだな~と思うと、感慨ひとしおである。人に言うと「それって結構ブラックじゃない?」なんて言われることもあるが、私がそう感じていない以上Webライターの仕事は(今のところは)ブラックではないのだ。人生も後半に差し掛かり、職の選択肢もなくなってきた50代において、不安定とはいえこの仕事と出会えたことは本当にラッキーだったとしか言いようがない。

画像:「ぱくたそ」よりDL

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?