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noteライブ「ライターの未来——だれもが書き手になる時代、あなたは何を書くのか」(石戸諭さん×古賀史健さん)感想

本記事では9月24日(金)20時よりnoteイベント主催にて行なわれたトークセッションの概要と私的感想について記載します。これは来月レポーターとして参加させていただくnoteフェスの予行演習的なものでもあります。

で、あなたは何を書くのか?

細かい説明は後回しとします。サブタイトルの「あなたは何を書くのか」。これに対するお二方の見解は要約するとこういうことです。

自身にとって解像度が低い、苦手な、無知である、そういうところに飛び込んでいって、その分野の先人たちに学ばせてもらい、たくさんコミュニケーションして記事にする。それが多くの人にとって刺さるコンテンツ。

(注:お二方の言説を私なりにまとめました。文言はお二方の発言内容とはまったく異なっていますが、そこは私のnoteなのでご了承ください)

いやめっちゃ分かるわそれ~!!
というか、これ何、私のためにサービストークしてくれたんじゃなくて?

まさしく私の書いてるnoteそのものやん!!

これなんかまさにそうですよ。あの有名なゲーム「人狼」をプログラミングでラズパイで遊べるようにしたドキュメントなワケですが、実のところまともにプログラミング経験なんてほとんどなくて、「人狼」に至ってはプレイすらしたことがない状況でこれを書きました。結果としてどこまでも初心者目線の記事になっています。むしろ初心者しか見ていない(笑)。

これもそう。昔お世話になった縁で「電子工作マガジン」の宣伝させていただいてますが、私自身は電気の知識なんてまるでなく、ハンダごてを握れば基板をハンダの海に沈めてしまうくらい不器用な人間です。これらの記事はそんな私が体当たりで挑戦して上手くいかなくて、泣きながらいろんな人に助けを求めてどうにかした七転八倒の記録です。


どうしてわざわざそんなものを書くのかって?
他の人が書いたものを読んでも分からないからですよ。

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世の中にはプログラミングについてたくさんの「やさしい」だの「超入門」だの「猫でもわかる」だのという本であふれているのに、私が読んで内容を理解できる本が全っ然なかったからですよ!!

なので、私は自分なりに結論を出しました。
初心者向けの内容は、初心者にしか書けないのだと。

その道のプロが考えた「初心者向け」という概念は、その人がどれだけ気を遣ったとしても、本当の初心者に届くものにはなり得ないのです。

そんなことはないだろうと思われるかも知れませんが、ことプログラミングに関する専門書籍をあらかた読む限り、私にはそうとしか思えません。例えば最近のプログラミング関係の書籍にはほとんど無配慮に「GitHub」という単語が登場しますが、これが標準的な日本語だと思っている時点でその人は初心者について何も分かっちゃいません。


余談が長くなりました。
以下、対談で私が共感した部分を挙げていきます。


ライターの地位とかギャラについて

お二方ともこのことについては意気投合なされておりました。
要約すると、こんな感じです。
(以下、あくまでもお二方の言説そのものではなく、私なりに要約した内容を記載していますことご承知おきください)

ライターの地位ってどうなの?

石戸さんの主張:
ライターの仕事っていうのは小説家とかに比べて何かと下に見られがち。むしろ誰でもできる仕事って思われてるんじゃないか?何でそうなったのかっていうとライターの仕事って何ってことを言語化できてないからなんじゃないか。古賀さんの本(後述)はそれを体系化したと思う。

古賀さんの主張:
ライターの仕事はアカデミズムの中に入れてない。大学で教えてない。著作に教科書って付けたのはそういうものを体系化したかった。

ライターのギャラについて(Q&Aより)

石戸さんの主張:
ライターは手足、替えが効く、いなくてもいい、そんな風に言われることもある。言われるほど軽くみられる仕事じゃない。難しいし希少価値のある仕事。キチンとしたマジメな仕事をできるライターって実は少数なんじゃないかって気がしていて、そういうのをうまく言語化することが大事。

古賀さんの主張:
雑誌というのはページいくらの仕事なんだけど、2000年くらいで雑誌のページ単価がどんどん下がってきた。Webの世界では1文字0.x円みたいな金額体系になっている。それに伴いライターの数は増えたけど、その分ライターの平均点は下がっているんじゃないか。そんな中で目立つことができれば、良い仕事が回ってくることもある。そういう良質な仕事をするライターを探している編集者はいるので、そこを信じて行けばいい。

石戸さんの主張:
それでもいい仕事が回ってこないなら就職するっていう手もある。いま結構いろんな企業が探してる。社員ライターや事業契約もひとつつの手。

これもめっちゃ分かります。私が職業としてライターを続けなかった理由がまさしくこれなので。

私はこのお二方のように稼ぐライターではなく、いくつかの雑誌で書かせていただくフリー…というかアルバイトみたいなものでしたが、まぁはっきりいってあれではメシが食えません(爆)。
ページ単価いくらっていうのは、他方から見ればオイシイ仕事に見えるかもしれませんが、書く以外の諸々の作業…ゲームだったら記事に落とせる程度までプレイする必要があるし、取材が絡む仕事なら先方とアポイントとってお会いしてお話ししてという「それ以外の時間」がたくさんあります。

まぁぶっちゃけちゃうと、コスパが悪いんです。
それで将来本当に安心してメシ食えて、家族とか養っていけるのかよと。

加えて言うと、社会的な信用もあまり良いとは言えないです。
貴方が自分の娘を嫁にやるとして、相手が一般的な会社で働いている人とフリーのライターとだったら、どっちが安心できますか?っていう身もフタもないお話しです。

なので、そのあたり考えたら、ライター続けることに未練はありましたが、私には堅気の会社に就職するという選択肢しかありませんでした。
その後も実はごにょごにょ…という話は一応ナイショですw)

なので、会社に入って企業内筆者になるのも手っていう石戸さんのご意見は「これ私のことかな?」という共感もありました。私の会社は電子機器メーカーなので出版とかには一切縁がないのですが、製品やサービスのリリース文書だったりメルマガだったり書いており、結局いまでもライターみたいな仕事をしてたりします(笑)。

だけどこれって我が国の悪しき傾向的な部分もあると思うのですよね。これ言っちゃうとパワーワード過ぎるの承知ではあるのですが、

輜重輸卒が兵隊ならば蝶々トンボも鳥のうち

って戦時中も言われてましたよね?
何でもそうなのですが、基本的に技術者ってよほど突き抜けていないと一段下に見られる傾向があるように思います。

ちょっと愚痴っぽくなりましたね。職業ライターになれなかった人のヒガミだと思って読み流してもらってOKです、ここは。


何を書くべきかは読者が決めてくれる

これはトークセッションのテーマである「あなたは何を書くのか」に沿った内容と思います。

漫画家の西原理恵子さんの例が出たのですが、

古賀さんの主張:
西原さんはいろんなジャンルのマンガをやりたかったらしく、実際にいくつかやってみたのですが、麻雀雑誌に麻雀のマンガを書くと次の依頼がどんどんくるのに対し、ファッション雑誌にファッションの内容を書いてもお声がかからない(笑)。そのことから、得意ジャンルは他人が見つけてくれるものだと結論されたという。自分でこれがやりたいあれがやりたいと考えても得意なところにはいけず、むしろ他人が勧めてくれたところに行く方が得意なところに行ける。

という内容のことを古賀さんが仰られていました。あぁなるほどなーと思いつつ、「でもそれにはまず反応してくれる読者がいて、何がウケているかが分かるような仕組みが必要だぞ?」というところに思い至ったのでした。

私の場合は、しいて言えばこのnoteではスキの数だったり閲覧数だったりで読者?の反応が一応分かったりするのですが、これがいまひとつ「何でこの記事が人気?」とかが不明瞭だったりするのですよね。むしろnoteの場合はフォロワー数≒閲覧数なところがあるので、「PVが少ない=記事がウケる」には必ずしも繋がらないのかなぁという部分もあります。まぁ書く者としてそのあたりの数字は常に気にしているところではあるのですけれども。


これ以外にもインタビュー論とか筆者としての個性の話とかいろいろ面白い話が満載なので、興味ある方はいまからでも聴講してみてくださいな。


最後にお二方の略歴と著作を紹介して本記事の締めとしたく思います。

石戸諭(いしど・さとる)
1984年、東京都生まれ。ノンフィクションライター。立命館大学法学部卒業後、2006年に毎日新聞社に入社し、2016年にBuzzFeed Japanに移籍。2018年に独立してフリーランスのライターに。2020年に「ニューズウィーク日本版」の特集「百田尚樹現象」で「第26回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」、2021年に「文藝春秋」掲載のレポートで「PEPジャーナリズム大賞」を受賞。週刊誌から文芸誌、インターネットまで多彩なメディアへの寄稿に加え、フジテレビ、朝日放送などへのテレビ出演と幅広く活躍中。著書に、『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象 愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)。
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(以上Peatixサイトより引用)
古賀史健(こが・ふみたけ)
1973年福岡県生まれ。九州産業大学芸術学部卒。メガネ店勤務、出版社勤務を経て1998年にライターとして独立。著書に『取材・執筆・推敲』のほか、31言語で翻訳され世界的ベストセラーとなった『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』(岸見一郎共著)、『古賀史健がまとめた糸井重里のこと。』(糸井重里共著)、『20歳の自分に受けさせたい文章講義』など。構成・ライティングに『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』(幡野広志著)、『ミライの授業』(瀧本哲史著)、『ゼロ』(堀江貴文著)など。編著書の累計部数は1100万部を超える。2014年、ビジネス書ライターの地位向上に大きく寄与したとして、「ビジネス書大賞・審査員特別賞」受賞。翌2015年、「書くこと」に特化したライターズ・カンパニー、株式会社バトンズを設立。次代のライターを育成し、たしかな技術のバトンを引き継ぐことに心血を注いでいる。その一環として2021年7月よりライターのための学校「batons writing college」を開校する。
note twitter
(以上Peatixサイトより引用)


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