【感想】アレッシャンドリ・パントージャ vs 朝倉海
2024年12月8日(現地時間7日)、アメリカ・ネバダ州ラスベガスで「UFC310」があり、メインイベントで「アレッシャンドリ・パントージャ vs 朝倉海」のUFCフライ級タイトルマッチが行われました。
結果はパントージャが朝倉選手にリアネイキッドチョークを極め、王座の防衛に成功しました。
朝倉選手は悲願のUFC王座戴冠はなりませんでした。
1R序盤、パントージャが強引に距離を詰めてきた時に放った朝倉選手の右飛び膝蹴りが本当に惜しかったです。
その膝蹴りのタイミングでパントージャに組みつかれてしまいましたが、冷静に組みを解くなど、動きは良かったです。
ただ、強引に前に出てくるパントージャの左フックをもらって寝技に引き込まれたり、パントージャのガチャガチャしたフックを被弾していたのが気になりました。
1Rのパントージャは左のパンチから右ミドルのコンビネーションや関節蹴りを多用していました。
一方の朝倉選手も膝蹴りやスーパーマンパンチ、右のストレートなどが走っていました。
1Rは五分五分の展開だったと思いますが、2Rはいっきに金網際に距離を詰められてバックを取られ、そのままグラウンドの展開に持ち込まれてリアネイキッドチョークを極められてしまいました。
チョークが完全に極まっていたのに、朝倉選手は最後までタップの意思を示さず、この試合に懸ける強い思いを感じました。
すごく感動した試合でした。
【日本人とUFC王者】
朝倉選手が勝てば日本人、そしてアジア人史上初のUFC王者という快挙だったのですが、残念ながら今回はお預けとなりました(※女子では中国のジャン・ウェイリーがアジア人初の王者となっている)。
日本人では、山本喧一(2000年)、近藤有己(2000年)、宇野薫(2001年&2003年)、桜井“マッハ”速人(2002年)、岡見勇信(2011年)、堀口恭司(2015年)の6人がUFCのタイトルマッチまで辿り着きましたが、全員王座獲得に失敗していました。
朝倉選手は日本人として7人目、UFCが世界最高峰の総合格闘技団体となった2007年以降では3人目の挑戦者として、今回UFC王座に挑戦しました。
結果は負けてしまいましたが「絶対に勝つ」という強い意思を感じる試合でした。
朝倉選手は今回、UFCデビュー戦がいきなりタイトルマッチという大抜擢で、これだけでもUFC側の期待の高さが窺えました。
ちなみに、日本人格闘家が初参戦でタイトルマッチに挑戦するのは、2002年3月の桜井“マッハ”速人(ウェルター級タイトルマッチ)以来、22年9か月ぶりです。
朝倉選手はもともと上位ランカーとデビュー戦をする予定でしたが、悉く対戦を避けられたとYouTubeで明かしていました。
UFC代表のデイナ・ホワイトもデビュー戦でタイトルマッチになった経緯について、「なぜかって? 誰も彼と戦いたがらなかったからだ」と発言しており、上位ランカーが朝倉選手との対戦を拒んだのは事実だと思われます。
それだけ朝倉選手の強さが脅威と思われていたのでしょうね。
朝倉選手はUFCデビュー戦、階級を1つ下げての試合、初めてのアメリカでの試合、初めての5Rマッチ、などが重なり、下馬評ではパントージャ有利となっていました。
加えて、UFC王座を2度防衛して目下6連勝中のパントージャが相手ということで、かなり厳しい戦いだったとは思います。
ただ、試合前の記者会見や公開計量を見ていても、朝倉選手は試合を盛り上げようとしているのが伝わってきて、本当にスターだなと感じました。
特に朝倉選手が入場する際、入場曲の冒頭でRIZINのテーマ曲とレニー・ハートのコールが流れてきた時は鳥肌が立ちましたし、朝倉選手は最高のエンターテイナーだと思いました。
【朝倉海の今後】
朝倉海選手は負けてからめちゃくちゃ強くなって帰ってくるので今後も目が離せません。
RIZINでも、マネル・ケイプに負けた後に扇久保博正選手を1RでKOしてRIZINバンタム級王者になりましたし、堀口恭司選手に負けた後は渡部修斗選手を1RでKO、扇久保選手に負けた後はバンタム級トップ戦線にいる元谷友貴選手を膝蹴りでKOしました。
今回も必ず強くなって帰ってくると思います。
また、UFCフライ級にはブランドン・ロイバルやブランドン・モレノ、アミル・アルバジなどの猛者がいますし、日本人だと上位ランカーに平良達郎選手もいます。
そういった強豪との激突も妄想が膨らみますね。
U―NEXTで解説していた扇久保選手も言っていましたが、本当に胸を張ってほしいです!
すごい挑戦でした。
YouTubeにも動画を投稿したのでぜひご覧ください🙇