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映画「天外者」で登場した天外者たち

録画していた「チャンネルNECO」放映の三浦春馬主演「天外者てんがらもん」を観ました。

「てんがらもん」とは、鹿児島の方言で「すごい才能の持ち主」を意味する。

出典:ウィキペディア



映画全体の感想はというと・・・


良かった点

三浦春馬の演技に迫力があり、あらためて惜しいと思わずにはいられませんでした。
年を重ねていたら、さらに素晴らしい俳優に成長していたでしょう。

ラストシーンに感動しました。
五代の葬儀には約5千人の一般人が参列したと記録にありますが、この映画のラストも、お通夜に訪れた参列者たちの持つ提灯が、暗闇に延々と遥か遠くまで続くシーンで締めくくられていました。

それは心が浄化されるような美しさで、思わず目頭が熱くなります。


悪かった点

全体的なストーリーが走り過ぎ?
五代の一生をまんべんなく平たく流した感が否めない。

坂本龍馬との関りとして「いろは丸事件」の事にも触れるべきだったのでは?

海援隊の「いろは丸」とその5倍以上もある紀州藩の大型船との衝突事故で、賠償金請求を求めた交渉で、調停役として話をまとめたのが五代だったのです。

二人の関係がグッと深くなる様子を描いていたら、龍馬が暗殺された時の哀しみももっと感動的に描けたはず。

なんだかあっという間に出世して、あっという間に病気して亡くなってしまって、これでは基本的な歴史を知らない人にとってはおそらくチンプンカンプンだと思います。


大阪経済の恩人

大阪メトロ御堂筋線・淀屋橋駅を降りて、徒歩7分ほどの大阪取引所前にある「五代友厚 像」は有名です。

大阪内には他に5つも五代友厚の像は存在するのです。
この大阪取引所を基準にして、
・西へたった100mのところの「光世証券」前
・南へ1㎞の「大阪起業家ミュージアム」前
・南西へ1Kmの「大阪商工会議所」前
・天王寺区の「大阪ビジネスフロンティア高校」内
・住吉区の「大阪市立大学」内

注:文中の大阪市立大学は現在は大阪公立大学・杉本キャンパスです。「奥の枝道」其の一

五代友厚は薩摩藩出身ですが、晩年には籍を大阪に移して49歳という若さで没するまで、大阪の経済発展に大きく貢献しました。

明治2年~17年の15年間で上記の銅像のある大阪取引所を含め、14もの会社や施設などの創立に尽力したのです。

私も含めた大阪人にとって、「五代様」と崇める存在なのです。


やっぱり生き残った者勝ち

この映画で描かれた仲良し4人はその後の活躍を見ると、全員が「天外者てんがらもん」に相当します。

五代友厚、
坂本龍馬、
岩崎弥太郎、
伊藤博文。

このうち明治という新時代を見ることなく世を去ったのは坂本龍馬です。

龍馬の足跡や偉業に関しては、司馬遼太郎氏の小説「竜馬がゆく」によるところが多くて、真実かどうかはわかりません。

しかし、その他3人によるその後の活躍を見ても、やはり何をおいてもまずは幕末を生き残らないと話にならない。


五代は「外国との貿易」、龍馬は「西洋の武器の調達」という形で、長崎を拠点にそれぞれ海外と諸藩との仲介役を担っていました。

同じ立場であった二人はお互いに心の通じ合うところはあり、刺激を受け合っていたはずです。

もし龍馬が生きて明治を迎えていたなら、おそらく岩崎弥太郎が興す「三菱」はなかったかもしれません。
きっと龍馬が別のカタチの商社を創設していた可能性は高いのではないでしょうか?


今さらながらまた、つくづく歴史は生き残ったものが紡ぐもので、死んでしまっては結局は想像するしかなく、坂本龍馬の明治はどのようなものになったのだろうか?と思い巡らせてしまいました。


同じく、主演の三浦春馬さんも今後の活躍が大いに期待できる俳優だっただけに、惜しくて仕方がありません。

再び、ご冥福を心からお祈り申し上げます。









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