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わたしの10年もの

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ふと気づけば長く使っている、「10年使える」「10年使いたい」と感じたものを紹介します。
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記事一覧

わたしの10年もの 〈6〉

わたしの10年もの 〈6〉

北村妙子さんのガラスポット

気に入ったものを色違いでそろえることを「色ち買い」というらしい。

服や小物など、これぞと思ったデザインを色違いで買うという人が、雑誌やSNSを見ているとたびたび登場する。それと同じく
「保存用に同じものをもう一つ」
なんて言う人もいる。好きなアーティストのCDとか、廃番になったら困る愛用品とか。どちらにしても、そういう人に出会った時、小さな羨望と嫉妬を抱かずにいられ

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わたしの10年もの 〈5〉

わたしの10年もの 〈5〉

岡山・蒜山のがま細工のかごバッグ

かばんの中身はおもしろい。

ティッシュに絆創膏にモバイルバッテリーと、困った時の四次元ポケットのように万全に持ち歩く人もいれば、小箱のような華奢なバッグをきらりと携えるだけの人もいる。

どちらでもない私はなんとも中途半端で、大人の女性の持ち物チェックとしては大したサンプルにならないのだけれど、荷物は身軽なほうだ。出先で「あれ持ってくればよかった」と思い至るこ

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わたしの10年もの 〈4〉

わたしの10年もの 〈4〉

鎌田克慈さんの乾漆のボウル

在宅ワークのお昼ごはん、何食べてますか?

私の定番は、冷凍ごはんをチンして目玉焼きのっけ、昨晩の残りの何か。
その日の夕食用を兼ねて、お味噌汁を作ることもある。

ふだんから自宅で仕事することが多いので、テレワークが進んでも働きかたはさほど変わらない。あまり動かないからおなかも空かないし、料理や後片付けの手間も省きたいので、大抵は写真のような昼食になる。

こんな簡

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わたしの10年もの 〈3〉

わたしの10年もの 〈3〉

〈ARTS&SCIENCE〉のストール

服や小物で「それいいね、どこの?」と聞かれた(聞いた)時に、一瞬しーんとしてしまう答え。それが〈アーツ&サイエンス〉。「そりゃいいわ!」という全面同意と全面降伏(お財布的な面で)の入り混じった、つかの間の“しーん”を乗り越えて。

リアルに私が10年近く愛用しているのが、〈アーツ&サイエンス〉のギンガムチェックのタッセル付きストール。まだ京都の路面店がなか

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わたしの10年もの〈はじめに〉

「一生ものだから」と自分に言い訳をして、アンティークの腕時計を買ったことがある。一日の始まりに手巻きでネジを巻くと、手首の揺れで自然にカチコチと時を刻み、電池の交換がいらない。おばあちゃんになっても使うだろうと思っていたけれど、ある日壊れてしまったまま、いつしかスマホが時計代わりになった。時代は変わるのだ。

「一生もの」とか「永遠のスタンダード」とか、そういったうたい文句を目にすると、懐疑的な

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わたしの10年もの 〈2〉

わたしの10年もの 〈2〉

岡田直人さんのうつわ

「実家のうつわ」といえば、それぞれに思い浮かぶ絵柄や形があるだろう。私の場合は、ピンクと水色の唐草模様の銘々皿、隅に草花が描かれた長方形の刺身皿、もちろん、ヤマザキ春のパン祭りの白いプレートも。母は料理上手だったが、うつわに贅沢することに後ろめたさがあったのか、ものを捨てられない性格だったせいか、食器棚の多くをいただきもののうつわが占めていた。驚いたことにそれらはまだ現役で

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わたしの10年もの 〈1〉

わたしの10年もの 〈1〉

〈POSTALCO〉のカレンダー“ONE YEAR WALL”

一年の終わりに、翌年の真新しいカレンダーに切り替える瞬間はすがすがしい。それだけのことなのに、暮らしも気持ちもまっさらになったような気分になる。だからこそ毎年違うデザインを楽しみたい人もいるかもしれないが、わが家の場合、家族の一年の予定がぎゅうぎゅうと書き込まれたこのカレンダーがまっさらに更新されるとき「いよいよ新しい年がやってくる

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