チリカス

元風俗嬢の会社員

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すきなひとの腕の中で眠ること

「嫁はもう家族やからな・・・女としては見られへん」 風俗店で働いていた頃に、耳にタコができるほど聞いたセリフだ。 「やから俺は風俗来てんねん、素人いかんくて偉いやろ?」 「ほんとに偉いと思う!今日はいーっぱいエッチなことしようね!」 風俗嬢は学びの多い職業だった。当時大学生だったあたしは「結婚しても別寝にしたほうが良い」と感じ、夫と寝室を分けている。 一緒に住み始めて1ヶ月半、平日はお互いの部屋で寝て、週末だけは夫の部屋で一緒に寝ていた。たまにあたしの部屋で一緒に寝たりも

    • 暇つぶしで子供を産む

      ずっと仕事が好きだった。しんどいこともあったけど、やりがいがあったし、楽しかった。 鬱病になって仕事を休んだ時も、仕事のことばかり考えていたし、仕事に行けないことが悲しかった。 この半年くらいかな、色々あって仕事が急につまらなくなった。 仕事に関わる勉強も全部やめたし、基本給だけ貰いに会社に行ってる感じ。 毎日つまらないわけじゃないけど、1週間に4日くらいつまらないし、週に2度は会社に失望する。 そういう時、赤ちゃんを産んでも良いかなって思う。 つまんない仕事するなら、赤

      • 子供を産みたくない理由

        別に子供が可愛くないからとか、そんな単純な理由じゃない。可愛くてたまらないから産みたくないと思っている。 子供を産みたくない理由は大きく2つ。 あたしに似て欲しくないのと、あたしに育てられて欲しくない。 あたし、自分のことあんま好きじゃなくて、あたしに似たら可哀想だと思う。 ブサイクだし、発達障害(ADHD)グレーゾーンだし、不登校だったし、鬱病だし、暗いし、頭も良くないし。 もし子供が顔で悩んだら、その時はあたしが稼いでなんとかする。 絶対あたしみたいに風俗したりしな

        • 義理の祖父が死んだ②

          おじいちゃん(義理の祖父)の通夜が行われた。 通夜の買い出しに行くとき、親戚に 「チリカスちゃんって、ペーパードライバーなの?これから赤ちゃん生まれるんだからしっかりしなきゃ」 と怒られた。 あたしと夫は互いが考えていることを察知したが、その場では流した。 通夜の会場で、みんなでお酒を飲んでおじいちゃんのアルバムをめくった。みんなの思い出を話で、おじいちゃんがどんな人かを知った。おじいちゃんはかっこよくて、ハチャメチャで、偉大で、もっと会っておけばよかったと思った。 お

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        すきなひとの腕の中で眠ること

          義理の祖父が死んだ①

          「じいちゃん、危篤らしいねん」 金曜日の15時頃、夫からラインが届いた。 「オトンは今日来なくても良いって言ってるし、仕事あるから土曜日に行ったら良いんちゃうかなって思ってるねんけど」 夫のオトン(義父)は人にとても気を遣う人だ。優しさで明日でも良いと言ってくれているのだろう。 「駄目だよ。今日行こう、上司に話付けてすぐに帰る」 私たちが普段20時頃まで働いている。でも、その日はすべての仕事を放置して定時退社した。夫の運転する車に乗り、あたし達は高速道路で2時間半飛ばしておじ

          義理の祖父が死んだ①

          ブスを治す魔法

          毎年正月、地元の集まりがある。20歳の時顔を出したが、それ以来予定が合わず、特別親しい友達はあまり乗り気でないので行っていなかった。 今年は暇だったので久しぶりに顔を出した。 誰が来るかわからなかったので、小中と仲良くしてくれていたマナちゃんを誘った。しばらく疎遠だったのに「会いたいって言ってくれるなら」と快諾してくれた。マナちゃんのことは個人的にすごく好きだったので「みんなで集まる前に二人だけで話そう」と誘ったらそれもOKしてくれた。 マナちゃんを最後に見たのは成人式。

          ブスを治す魔法

          謝るってなんだっけ

          好きなバンドが出るライブを見に行った。 あたしば芸術にはとことん疎い。音楽には特に疎くて、友達に誘ってもらってコンサートに行ったことはあっても、自分からライブに行くのは2回目。 1回目は同じバンドのワンマンライブ。つい先月のことだ。 何もわからず、何も考えずに行った。 ステージの上でひらひらと踊るボーカルに見惚れた。好きになって半年のバンドなので知らない曲もあった。あたしは音色とかハーモニーとかはあんまりわからなくて、歌詞でしか音楽を認識できないけど、それでも美しいと思った

          謝るってなんだっけ

          人前で愛を誓うか

          結婚式を挙げた。 好きな人だけをめいっぱい呼んだ。みんな遠くに住んでいても当たり前のように来てくれた。 人前で愛なんか誓いたくなかったあたしは、感動の結婚式なんかしなかった。友達、家族、みんなが笑ってくれて、一緒においしいものを食べて。それだけのパーティーがしたかった。実際にそうした。 バージンロードを父とゆっくり歩いたりしない。 親に伝えたい感謝を手紙にしたため、人前で読まない。 誓いのキスなんてもってのほか。 それを許してくれた夫に感謝。 依頼した企業の対応は素晴ら

          人前で愛を誓うか

          涅槃で会えるなら

          大学3年生の夏、インターンシップにたくさん行った。何がしたいかわからないから、とりあえずなんでも参加した。 大学4年生の春、何がしたいかわからないままリクルートスーツを着た。水色の背景の証明写真には、アイプチをした自分を写した。 「就職活動の軸はありますか」 「はい、ブスで悩まない会社に勤めることです」 男どもはいつだって、自分たちが神様だと思い込んで女を採点する。 「同期の中で誰がタイプ?」 という話をする。 そういう時に、名前が上がらないのがあたし、ブス。 そういう

          涅槃で会えるなら

          風俗店より会社が怖い。

          先週の金曜日、先輩と相談して次回から議事録は後輩に書いてもらうことになった。後輩はかなり高圧的なタイプで苦手だったので、先輩をCCに入れて「次回(再来週)から議事録お願いいたします。」と送ったところ、ガチギレされた。 「なんで勝手に決めるんすか」 「勝手?あたしは今までこんな風に決められてきたけど・・・勝手かな?」 勝手と言われてよくわからなかった。丁寧じゃない?あたしは今まで当日に「議事録よろしく」と言われたことは何度もある。あたしは毎回「はい!」と言って素直に書いてきた。

          風俗店より会社が怖い。

          拝啓、怠惰な定型発達様

          6月の末、こんな記事を書いた。 働き始めてから、ずっと簡単な確認ができなかった。仕事に関する知識も少なく、会話も下手くそ、パソコンもあまり触れない。 部署には責めてくる人もたくさんいて怖かった。でも自分が悪いしずっと謝った。 自分はダメなんだ、この部署で1番できない人間なんだ、そう思って努力をしてきた。 確認ができないからエクセルを覚えた。と言ってもMOSレベルで大した操作はできないが確認ミスは減ったし、業務効率も上がった。 知識がないから勉強をした。 自分は人より仕事が

          拝啓、怠惰な定型発達様

          嫌いな人の記憶に残りたい

          高校の時、いじめにあった。 当時は何度も死んでやろうと思った。 死ぬほどつらかったのもあるが、復讐がしたかった。いじめてきたやつの名前を遺書に書いて週刊誌に送りつけてやろうとか考えていた。 当時の大人はみんな 「幸せになることが1番の復讐だよ」 と言ってきた。 あたしはそれを信じて復讐を開始した。 高校をやめてから、友達ができた。みんな優しくて、当たり前みたいに「おはよう」と挨拶をしてくれて涙が出た。 希望の大学に進学した。やめた高校の半数よりも偏差値の高い大学に。 すご

          嫌いな人の記憶に残りたい

          休職期間終了。金がないから復帰します。

          オフィスの真ん中で怒鳴られて、泣いてしまったあの日から1年が経とうとしている。 医者に「お金がないから早く復帰したい」と無理を言って、就労可の診断書を書いてもらった。上司にはすぐに連絡した。来週には復帰したい。 とにかく、お金がない。 薄給の割にはお金を貯めていたと思うが、結婚、引っ越し、新婚旅行・・・ 人生の駒を進めるのに、お金がい~っぱいかかった。 お金をかけた事に後悔はない。楽しかったし。 世の中には「男の方が多く」みたいなお金の価値観もあるが、あたしはそれがあんま

          休職期間終了。金がないから復帰します。

          仕事に恋をしているのかもしれない

          昨日「会社のお荷物になります!」というタイトルのnoteを書いた。 仕事を頑張るのをやめよう、仕事に重きを置くのをやめよう、そう決めた。 でも、今日は夢の中で、 「あたし、やっぱりこの職種としてさ、これを頑張りたいんだよね。あとこの資格も欲しいし」 と父に話しかける夢を見た。 あ~、やっぱり、仕事好きだったなぁ。 好きなものが必ず得意とは限らないよね。でも好きでいると辛いよね。それが趣味ならまだ良いんだけどさ。 好きなのよ、この仕事が。 この仕事を真面目にやっていると

          仕事に恋をしているのかもしれない

          会社のお荷物になります!

          昨年8月、ハラスメントにあい、そこから休職している。 休職してからしばらくは、転職活動に励み、そこで自分の力不足を嫌というほど実感した。 転職を一度諦め、資格試験の勉強を始めた。合格率10%を切る、難関資格にチャレンジしようと決めた。それが、大好きな夫と生きていくため、自分のキャリアのために最善だと思っていた。 でも、ぜ~んぶ、やめる!(笑) やりたい職種に就けた。仕事が楽しかった。 自分には風俗しかできないと思ってたし、真っ当な仕事に就くことができた喜びもあった。 この

          会社のお荷物になります!

          針が通らなくても

          「その難関国家資格を取って、今より給料が高い会社に転職できなかったら、自殺するしかないって思ってるってこと? それは、小さな穴に針を通すように難しいことかもしれませんね」 自殺防止ダイヤルのお姉さんに言われた。はっとした。 国家資格を取って、いい会社に転職して、お金をたくさんもらって、夫を幸せにしたいと思っていた。そのために、努力してきた。 でも、そんなの、あたしの能力では厳しいこともなんとなくわかってきていた。 働いていない自分を受け入れることも難しく、毎日自分を責めてい

          針が通らなくても