旅楽団 36

【36 歩道橋のマーケット】


年老いた鎌イタチのサルサは、青い板張りの床からもう一脚椅子がヌルヌル音を立てながら浮き上がらせる。
そして僕に椅子をすすめてくれたんだ。
「ありがとうございますぶ」僕が椅子に座るのを待って、鎌イタチはゆっくりと語り始めたんだ。
「立って話すにはお前さんは、ずいぶん背が高いからね」大きいと言われて少し照れくさく思う僕。
「ほぅ、お前さんはなんだか困っているだね。助けてあげられれば良いのだけれども。どれ、このサルサ爺が見てやろう。わしのヒントでわかればいいがね。あら、お前さんのヒントもなかなかのものじゃないか。さて何にせよ見てやろう。うんうん、無くしものだね。あれは嫌なものだな。ほぅほぅ、珍しいものを無くしたみたいだね。この爺に見えるところではね。へぇ。形の見えないものを形にするものなのだとか言っているようだよ。なんだろうね、これは?お前さん方にはそれがなんだかわかるかね?」
そう言って僕らの顔を見渡す。
僕は本当によくわからなくて
「全然見当もつかないです。ぶ。どんなものなんでしょう?他にも何かわかりますか?ぶ」するとサルサ爺は、僕の方をジッと見て
「ほぅほぅ。君の持っている道具の中に何やら都合の良いものがありそうだねぇ。遠くを見るものかな?」そう教えてくれたんだ。
そのヒントを教えてもらったあと僕らは、おいしい梅の葉っぱまでいただいた。
僕らは丁寧にお礼とお詫びをしてサルサ爺の家を後にしたのさ。
当然玄関から出るときに、表札へのお詫びも忘れなかったよ。

僕らは外に出てサルサ爺の家の上の歩道橋に上がっていく。
息と違って帰りになると、この歩道橋は結構大きくなっていて、深いものに変わっていたんだ。どうやら時間で変化するようだった。
そしてその中央にちょっとした広場が出来上がっていて、そこで僕は背中に背負っていたランドセルの中から道具を広げる。
そしてその中から、[ちくわぶ]を選んだのさ。
マイタケはそれを見て、
「やっぱり上等なものだね。その[ちくわぶ]は」そう言って、しきりに感心していた。
[ちくわぶ]も悪い気はしていない様だったよ。
僕らは丸星図で、今いる場所に合わせた後、[ちくわぶ]を持って歩道橋からあたりを見渡す。
すると、[ちくわぶ]の穴からのぞく世界には遠く[ドキュメント・イル]の華やかな町の様子がうかがえたんだ。
それを見て僕はマイタケに
「すごいよ、ぶぅ、見てごらんなさいよ。あの景色」
そう言ってマイタケに[ちくわぶ]を渡したんだ。
マイタケは[ちくわぶ]を目に当てがうなり、
「ねぇ、子豚君[イマ・市]のはずれの海に赤い道があるんだよ。その上に蜘蛛みたいなのがバタバタ走っているよ」少し驚いた様子で教えてくれたんだ。それを聞いた僕は、広場に広げてしまったランドセルの中の道具をランドセルの中にしまって
「マイタケが見たものを見に行こうよ!ぶぅ!」

その時、2回目のマンゴーばねがバイーンと飛んだんだ。


ひとまずストックがなくなりましたので これにて少しお休みいたします。 また書き貯まったら帰ってきます。 ぜひ他の物語も読んでもらえると嬉しいです。 よろしくお願いいたします。 わんわん