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はじめましての方へ。 自分のお気に入りたち。
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#文学

詩『タダシイニンゲン』

「言わなきゃ分からないよ」
無口な私を無理やり喋らそうとする先生。
元気よく手を挙げて積極的に発言するクラスメイト。
タダシイ。
みんなの前で自己主張ができない私が間違っている。

「今、女子高生の間で話題のスイーツ!」
私を除外する、テレビ番組の編集。
大袈裟なリアクションをとるタレント。
タダシイ。
女子高生なのに、流行りについていけない私が間違っている。

「全てが嫌になった。幸せそうな

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詩『シャボン玉と煙、私とあなた』

煙草味のキスに嫌悪を抱く、自分に酔う
「私、ちょっと大人っぽいかも」

酸いも甘いも、酸いも酸いも、経験したい
だってまだまだ若いから
何も決まってない操作自由な私の未来
今はシャボン玉をおっきく膨らますことだけ
考えていたい
まぁるくなったシャボン玉を、いつか空に飛ばせたらそれでいい
割れた後のことは、まぁそれはそのとき考えればいいじゃん
そのときの風に任せるのみ
目的地は未だ知れない
あなたの

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詩『夏までに』

夏までに、この恋を終わらせよう。
夏までに、引越しをしよう。
夏までに、伸びっぱなしの髪を切ろう。
夏までに、本を返そう。
夏までに、絵の続きを完成させよう。
夏までに、すべてを終わらせよう。

夏雲に置いてかれぬよう
夏までに、すべてを終わらせる。
夏空の真下にいつもいたいから
夏までに、すべてを終わらせる。
夏がやってくるその前に。
夏までに、すべてを終わらせよう。

夏までにこの恋を終わらせ

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詩『りんご』

リンゴのような赤い頬
「女みたいだ」
いつもからかわれてる
言い返したくても
僕の頬はどんどん赤く染まっていくだけだから
なにも言わない

顔の火照りが冷めるまで
みんなの興味が冷めるまで
大人しく耐えて待つんだ

なんで赤くなっちゃうんだろう
別に恥ずかしいわけじゃないのに
照れてるわけでもないのに

からかわれるのがイヤだから
僕は人を避け始めた
一人を好むようになった
一人はとても気楽だった

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