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ちまきの日記

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日々の思考の置き場所です。
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#読書

カジュアルに哲学するということ

カジュアルに哲学するということ

可愛らしい表紙が目に留まり、ふと永井玲衣さんの『水中の哲学者たち』という本を手に取る。1ページ、2ページ…とページを繰る。そこには哲学書にお決まりの気難しさはなく、日常の世界が、若者が精一杯絞り出した言葉で書かれていた。

永井さんは哲学対話を通し、等身大でカジュアルに哲学する。この本を読むと、普通の人の、なんでもない日常に、問いが、哲学が溢れていることに気付く。

どうやら哲学は、難しい理論を振

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読書の森公園

読書の森公園

「読書の森公園」という公園に行く。「読書」というインドアなイメージの言葉と、「公園」というアウトドアなイメージの言葉の組み合わせが面白いと思ったが、どうやら図書館に併設された公園だからこういう名前のようだ。

道すがら次女が自転車で寝てしまったので、妻と長女に先に入ってもらい、駐輪場で起きるのを待つ。暇なので周りを見回すと、何かが書かれた石碑があることに気がつく。近づいて読んでみると、井伏鱒二のエ

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透明に目を奪われる

透明に目を奪われる

透明に目を奪われる。「無」であり、同時に「有」である世界。twitterで 透明愛好家さん や tsunekawa/旅する喫茶/クリームソーダ職人さんをフォローしているのだが、彼/彼女ら(性別がわからない)が見出す世界を心から尊敬している。透き通った中にある輝きは、危うげな儚さを孕んでいて甘美である。

透き通った音楽も好きである。例えば、ラヴェルのピアノの小品や、シベリウスの交響曲。ラヴェルの作

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2021.02.01

2021.02.01

『八月の銀の雪』に収録されている最後の短編「十万年の西風」を読んだ。先日、風が強い日に、家族で凧を揚げに公園に行ったのだが、そこに、とても大きな凧を、非常に高く揚げているおじさんがいた。この物語の情景は、たまたまその時見た風景と重なり、私にとって妙に立体感を持って感じられた。そして東日本大震災から10年が経つ今、この作品の放つ意味は大きいと思った。