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戦略とは「戦いを略す」こと、リクルートとキングダムから学ぶ戦略論

こんにちは。chima(ちま)です。

PdM・新規事業チップスの記念すべき初note投稿では、「リクルートとキングダムから学ふ戦略論」というテーマを書いていきます!

自己紹介です。
株式会社リクルートで新規事業の立ち上げ、新規事業責任者・PdM、組織マネージャーなどを経験したあと、独立。
今は自身で立ち上げる予定のプロダクトの準備だったり、WEBコンサルだったりをしています。

リクルートや現職で学んだインターネットビジネスに役立つ情報を発信していけたらなと思い、noteをはじめてみました!
「5分でサクッと」を目指し、できる限りシンプルに、濃縮した記事を書いていきます!

はじめに

PdMの仕事は、一口にいえば、Why(どんな理由で)とWhat(何を作るのか)に責任を持つことです。

そしてそれらを適切に決めていく上で、重要となってくるのがプロダクトの成長戦略。

戦略がすべての前提となり、そこから様々な施策を実行し、プロダクトを成長させていく。

ただ、この「戦略」って正しくはどういったものを指すのだろうか?
「戦略」って言葉は、なんかカッコいいし、頭の良さそうな感じがするので、僕も新人時代からよく使っていました。
ただ、誤った使い方をしてしまっていたこともしばしば…

今回は、そんな「戦略」に関して、僕がリクルートだったりWEBコンサルで学んだことをベースに自分の考えを発信してみたいと思います!

戦略とは「戦いを略する」こと

もうこれが答えなのですが、戦略とは、読んで字のごとく「戦いを略する」ことです。

戦略とか戦術って、もともとは戦争から生まれた言葉です。
下記のような図を見たことないですか?

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話はそれちゃうんですが、戦争から生まれた言葉って話を聞くと、僕は漫画キングダムを思い浮かべてしまいます笑

キングダムの秦 vs 趙にて、鄴(ぎょう)を落とすために秦軍総大将・王翦が展開した兵糧攻め。
これにより鄴は戦いを続けることが困難に。
これも兵站をうまく利用し、戦いを略した「戦略」の一つと考えれます。

キングダムって戦略〜兵站まで全部でてくるし、チームを引っ張るリーダー像みたいなのも学べるので、最高です!

話は戻りますが、この戦争から生まれた「戦略」という言葉、この戦略の天才として有名なのが徳川家。家康さんとか家光さん。

例えば、有名な戦略は、大名配置と参勤交代。
牙をむく可能性のある外様大名を江戸から遠い場所に配置したり、参勤交代の大名行列により兵站(軍資金など)を削ります。
さらには、外様は遠い場所からの移動となるため、よりコストがかかって弱体化するというスーパーコンボ。

これにより、江戸幕府に楯突く体力を削り、勝ち目をなくし、戦いを略している。まさに「戦略」なんです。

ちなみに、織田信長とかは作戦・戦術の天才って呼ばれてますね。戦う場に立たせたら奇想天外な戦い方で敵を蹴散らす。桶狭間とかが有名。

インターネットビジネスにおける戦略とは

ここでビジネスの「戦略」の話に戻りますが、本質は参勤交代とかと同じ。
ビジネスでも、戦略とは「戦いを略する」ことです。

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インターネットビジネスやってると、どうしても、CVR向上のためのUX改善とか、WEBマーケのROAS最適化ロジックとかを考えがちです。
でも、それらはぜんぶ戦術にあたります。

ではどうやって「戦いを略する」かというと、「持続的かつ強力な優位性」を築きあげ、競合を戦いの土俵からおろすのです。

この優位性に関し、よく、自社は競合と比べ、◯◯という機能やUXに差分があるとかいう話が展開されがち。

でもそれらは「持続的かつ強力な優位性」ではないです。
なぜならインターネットビジネスは、同質化、いわゆるパクるという行為が簡単にできてしまうから。

(補足ですが、最近では、リアル産業と融合し始めているため、パクることのハードルはあがりつつあります。ただ、それでもパクりやすい世界であることは変わりありません。)

考えてみてください。
リクルートだったり、Zホールディングス(Yahoo x LINE)のような大企業が潤沢な兵站(金・ヒト)を元に、同じ機能を装着したWEBプロダクトを開発し、パワープレーに出てきた時、跳ね返せますか?

機能の充実を理由に、リクルートやZホールディングスが戦うのを諦めるでしょうか?

答えはNOです。
インターネットの世界では、機能やUXが優れているだけでは「持続的かつ強力な優位性」にはならないんです。

ではどんなことが「持続的かつ強力な優位性」となりうるのか。
それは単純化して考えると、以下の4つの要素に限られます。

①プロプライエタリ・テクノロジー
②ネットワーク効果
③規模の経済
④ブランディング

お気づきの方もいると思いますが、これらはピーター・ティール著の「ZERO to ONE」に載っている独占企業の特徴4つです。

これらの要素を成立させることが「持続的かつ強力な優位性」となり、競合を戦いの土俵から引きずり下し、戦いを略することができます。
それを狙うシナリオこそが「戦略」です。

決して、競合と機能やUXなどで差分をつくることが「戦略」ではないのです。(もちろん、それらはシナリオの中の一部になりうりますが、そのものを戦略とは呼びません。)

4つの「持続的かつ強力な優位性」の要素

ひとつひとつ簡単に説明します!

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①プロプライエタリ・テクノロジー

他人がやりたくてもマネできない技術。
先ほど、簡単にパクれてしまうと伝えたため、いきなり矛盾した話がでてきたと思うかもしれませんが、もし簡単にマネできず、圧倒的に優れた技術を持っていれば、それは持続的かつ強力な優位性になります。

ただ、前述のように、ソフトウェアの世界では簡単にパクれてしまうため、
どちらかというと、ハードウェアや工芸品などのモノ系があてはまる要素です。

②ネットワーク効果

これはインターネットビジネスにおいての大本命。
戦略の肝になるものだと思います。

一口にネットワーク効果といっても、いろいろな種類のものがあり、James Currier, NFXによって書かれた13種類のネットワーク効果の記事が有名(原文日本語訳)。

簡単にいうと、サービスを利用するユーザが増加することで、それ自体の効用や価値が高まる効果。
人が集まれば集まるほど効用や価値が増幅していく正の循環にのるため、強固なネットワーク効果が築かれると、後追いで戦うことが難しくなります。
そのため、競合が戦いを挑みづらくなり、戦いを略することができます。

このネットワーク効果は、リクルートのリボン図モデルの戦略の肝になっているため、また別の記事で詳細に説明したいです。

③規模の経済

規模を拡大させることで、単位あたりのコストが低減される仕組みです。

例えば、サービス業などのリアル産業だと、規模の拡大によるメリットは限定的ですが、ソフトウェアの場合、販売増加にかかる限界費用(生産量を1つ増加させたことによる総費用の増加分)はかなり低く抑えられるため、スケールメリットの恩恵は大きいです。

規模の経済を上手く成立させ、軌道にのせられれば、後追いで真っ向から挑むには、多くの血を流すことになりますし、勝率も低いです。
そのため、誰も挑まなくなり、戦いが略されるのです。

④ブランディング

第一想起をとることは非常に重要です。
結婚式を考える際、まずはゼクシィを思い浮かべる人は少なくないはず。

強固なブランドを築き、第一想起を獲得すれば、マーケティング効率などでも劇的に有利になるし、たとえ全く同じプロダクトが後追いで投入されても、その牙城を崩すのは非常に難しくなります。
そのため、誰も挑まなく、戦いが略されることになります。

さいごに

今回、インターネットビジネスにおいて、PdMや新規事業担当が考えるべき「戦略」とは何か、という切り口で記事を書かせてもらいました。

言われれば、当たり前と感じる部分も多いと思います。

ただ、常に意識して考えていないと、いつの間にかベクトルがずれてしまっているということが往々にあるんです。

「戦いを略する」ために、つまり「持続的かつ強力な優位性」を築くために、上記の4つの要素のどれを狙い、どう成立させにいくのか。
事業フェーズに合わせて、そのシナリオを常に考え、アップデートしていきたいところです。

その戦略をベースに、KSFやKPIが定められ、そこでやっと、それらを達成していくための戦術の議論がでてくるはず。

今回は、概念的な話が多めになってしまいましたが、別記事にて、上記でも触れたように、ネットワーク効果に関して、もう少し具体的な話も交えて解説します!

お楽しみに!

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