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リクルートのリボン図ビジネスの戦略の肝!ネットワーク効果とは?

こんにちは。chima(ちま)です。

今回は、戦略論の第2弾として、「ネットワーク効果」についてお話していきます!

改めて、自己紹介です。
株式会社リクルートで新規事業の立ち上げ、新規事業責任者・PdM、組織マネージャーなどを経験したあと、独立。
今は自身で立ち上げる予定のプロダクトの準備だったり、WEBコンサルだったりをしています。

リクルートや現職で学んだインターネットビジネスに役立つ情報を発信していけたらなと思い、noteをはじめてみました!
「5分でサクッと」を目指し、できる限りシンプルに、濃縮した記事を書いていきます!

はじめに

前回のnoteにて、戦略とは、読んで字のごとく「戦いを略す」ためのシナリオであり、「戦いを略す」ためには、「持続的かつ強力な優位性」を築きあげ、競合を戦いの土俵からおろす、というお話をしました。

そして、「持続的かつ強力な優位性」の要素として、4つの要素を紹介。
詳しくは前回の記事を見てみてください!

今回は、その要素の一つ、ネットワーク効果についてさらに掘り下げていきます。

簡単にいうと、サービスを利用するユーザが増加することで、それ自体の効用や価値が高まる効果。

記事のタイトルにもありますが、これは、僕の古巣のリクルートのリボン図ビジネスの戦略の肝です。

リボン図とは、下記のリボンのような図で、リクルートの展開するマッチングビジネスでは、これを活用して戦略や組織などの様々な議論が展開される(最近では外部にも公開されているので、ご存知の方も多い)。

リボンズmod

もちろん、ネットワーク効果は、リクルートの事業だけでなく、多くの事業の戦略に絡んでくる要素で、これを抑えておくことはめちゃくちゃ大事です!

2種類のネットワーク効果

一口にネットワーク効果といっても、いろいろな種類のものがありますが、大きくは2種類で考えておけばOK(呼び方は、これが正しいかはわからない笑)

(1)ネットワーク外部性
(2)相互ネットワーク効果

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厳密には13種類に分けられるようで、James Currier, NFXによって書かれた記事が有名(原文日本語訳)。

それぞれ簡単に説明します!

(1)ネットワーク外部性

人が集まっているものを使わざる得ない仕組み。
そして、人が集まれば集まるほど価値が増幅し、よりその流れ・勢いは増していく。

例えば、身近なものでいうと、LINEや、TwitterなどのSNSが当てはまります。

日本人とコミュニケーションを取るために、カカオトークは使わないですよね?皆が使っているから、LINEを使わざる得ない。

また、誰も集まってないSNSなんて使わない。
人が集まれば集まるほど、やりとりが活発化され、コンテンツも増え、その価値は増幅し、それを使わざる得なくなる。

イメージとして、ユーザが増えた分だけ価値が+1されるのではなく、上記図のように、ユーザとユーザの間を結ぶ線の分だけ価値が増えるため、加速度的に増えていく。

マイクロソフトOfficeとかもこれ。
皆がパワポ使ってて、ビジネスパートナーがパワポだから使わざる得ない。
たとえ、キーノートの方がカッコいいと思ってても、人が集まり、ネットワーク外部性が成立しているから、使わざる得ない。

(2)相互ネットワーク効果

マーケットプレイス型のような買い手(需要側)と売り手(供給側)の2面構造に当てはまるネットワーク効果。

売り手が集まれば、買い手が集まり、買い手が集まれば、売り手が集まる。その正の循環が構築されると、どんどん価値も増幅されていく。

リクルートのリボン図ビジネスはこれに当てはまりますし、AmazonやZOZO、メルカリなどもこちら。

ビジネスのタイプによって(1)、(2)どちらが当てはまるのかは異なりますが、このネットワーク効果が成立し、価値が高まると、持続的かつ強力な優位性になりえます。

ソフトウェアの世界であれば、機能やUIは簡単にパクれるけど、これは簡単にはパクれない。
だって、集まるほど価値が高くなるんだから、後発サービスなんて使わないし、普通にやっても差は開く一方。

本当に強固なネットワーク効果が築かれると、誰も真っ向からの戦いは挑めなくなり、戦いが略されていく。まさに戦略!

相互ネットワーク効果をもう少し深掘り

(2)相互ネットワーク効果を分解すると下記みたいな感じ。

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リクルートのリボン図ビジネスでは、この正の循環を作り上げるためにシナリオを描き、KPIを決め、それらを達成するための戦術を磨き、日々オペレーションを回す。

例えば、ゼクシィやホットペッパービューティなどは、かなり強固な相互ネットワーク効果を作り、不動の地位を築いています(もちろん、ブランドなど他要素との組み合わせも)

これらのように、圧倒的に強固な相互ネットワーク効果をいち早く築きあげ、他を寄せ付けず、戦いを略していくのが理想ですが、実際はそこまでうまくはいきません。

例えば、スーモはホームズと、じゃらんは楽天トラベルと、バチバチに戦っている(スーモはここ数年で頭ひとつ抜け出た感ありますが)

ただ、国内マーケットシェア一、二を競う競合はいるものの、他プレーヤーとの真っ向からの戦いは略せているし、戦う上での重要な武器にもなるため、やはりネットワーク効果の構築は重要です。

また、反対に競合の強いネットワーク効果に跳ね返されたケースも。
ポンパレモールは楽天市場やAmazonに、じゃらんゴルフは楽天GORAに、後発で戦いを挑むも、跳ね返され、すでに真っ向勝負からは降りている印象(関わってないのであくまでも予想)。

相互ネットワーク効果を成立させるための具体的な進め方・フレームの話はかなり長くなってしまうため、いつか別記事で詳細を書きます!

ネットワーク効果をつくる上での注意点

ここでは、2つ大事な注意点をお話します。

(A)スピードが何よりも大事
(B)価値の増幅曲線を意識する

(A)スピードが何よりも大事

ネットワーク効果が成立するビジネスならば、PMFし、スケールできる準備が整ったら、いかに早くネットワークを広く、強くしていけるか、スピードが何よりも大事です。

例えば、ヤフオクの黎明期、孫さんは「とにかく半年早く始めろ、何よりも早さを重んじろ」と命じたという話があります。
孫さんはネットワーク効果を理解していたからこそ、このような命令を出し、結果、eBayが日本で広まるのを防ぎました。

また、いくら早く始めても、スピードを出せず、ネットワーク効果が中途半端では、後発が猛追してきたら、まくられてしまう

例えば、メルカリvsフリル(現ラクマ)。
フリルの方が早く市場に参入しており、UXも素晴らしかった。
メルカリは後発で、フリルの機能やUIをパクってるように見えましたが、勝ったのはメルカリ。

メルカリは、後発ながら、フリルのネットワーク効果が中途半端なうちに、一時的な赤字は覚悟で、手数料無料だったり、TVCMも含めた大量のマーケティングを打ちまくって、先に強固なネットワーク効果を構築したんです。

(聞いた話では、その際、メルカリは、フリルに投資しそうな投資家たちを先に抑えて、フリルがバチバチの殴り合いにくるのを防ぐ兵站断ち戦略もとったそうです。)

(B)価値の増幅曲線を意識する

相互ネットワーク効果の話ですが、価値の増幅曲線を意識しないと痛い目をみます。

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例えば、Uberと食べログ。どちらも買い手(需要側)と売り手(供給側)の2面構造であり、相互ネットワーク効果が成立します。

ただ、売り手(供給側)が増えた時、買い手(需要側)からみた価値の増え方が異なるんです。

Uberは、多くのタクシー(供給側)が集まっていて、呼んだらすぐに来てくれないと価値がないから、タクシー(供給側)が集まるのは重要。

ただ、5分以内に来てくれれば、近くにタクシーが10台でも100台でもどっちでもいい。
つまり、供給が増えれば増えるほど価値が無限に高まっていくわけではなく、どんどん価値の増加具合は鈍化し、やがて飽和する(上記図の赤線)。

一方、食べログは、基本、お店(供給側)が増えれば増えるほど価値は高まっていくし、その高まり方は加速していく(上記図の黄色線)。

色々なものを食べたいし、様々な角度から選択できるバリエーション、つまりお店(供給側)の質や量の増加がそのまま価値になっていく(リクルートのビジネスも食べログタイプが多い)。

この価値の増幅曲線を意識せずに、ただスピードだけを意識してリソースを投じても、ネットワーク効果のみだと思ったほどの優位性にならず、痛い目をみてしまうケースも…

最後に

今回、戦略の重要要素である「ネットワーク効果」について記事を書かせてもらいました。

すごく有名だし、知っている方も多いと思いますが、知れば知るほど、考えれば考えるほど、奥が深いテーマです。

本記事でも触りしか書けなかった…

上記でも触れたように、相互ネットワーク効果を成立させるためのもっと具体的な進め方・フレームは、どこか別記事で詳細を解説してみたいと思います!

お楽しみに!

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