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蓄積夢

後ろめたさと数々の悔いを刻んだぶんだけ、人としての時間を記憶していく。
濃密で忘れ去ることができないご褒美のような財産だけでなく、空っぽで犠牲にしてきた無の時間も含まれる。

寂寥に言葉にも表したくない0の日々を積み上げて、またひとつの24時間パックを開封し、空になった入れ物を迷わずゴミ箱に押し込む。

夢であればどれほどまともな生き方ができたんだろうか。
何かのきっかけで「刺激を受けた、やってやる」と宣言したところで、寝て起きれば忘れて、首の力を抜いて枕にあとは委ねて二度寝する。夢のようにさっぱり忘れ去りたいつもりなのに、夢日記なしに記憶にこびりつく気色悪い超次元物語に狂いそうになる。


一年あれば、人間は変われるらしい。

言うまでもないことを敢えて言葉にされた。人を啓蒙するのに、名言のようにきれいで歪さが一切ないコーティングを施された言葉を向けられたときは悲憤した。

日々微かな変化を先導したり、ときには半ば強制的に手を引かれたりしている。365回も試行すればなにかしらの変化はあるものだ。

なのに、「目立った成長をしない人間はゴミだ」と言いたがる人生悠々自適至上主義の発言は上澄みの薄味でしかなくて戻しそうになった。

日々の鬱憤は全てまとめて、一塊にして放り投げるのだ。

日付が変わった。ゴミ箱のかさが増す。

自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。