ゴミ出しの日

9時前には収集車がやってくるから、起きたら何をするよりも、玄関にまとめたゴミ袋の封をして、サンダルに足を通して玄関を開けて運んでいく。寝巻き姿で外に出ることに抵抗はないとはいえ、できれば人に会いたくはない。7時半にはそういう人しかいないと勝手に思い込んでいる。

外に出ようと身構えるときは、当然のようにスマートフォンとイヤホンを持ち歩いていて、玄関を抜けた途端に、音は自分の手元で制御できるようになる。

そんなに重たくないのに大きく見えるゴミ袋を運んでいるときは、なりふりも構わないし、悦に浸る自分もいらない。何も持ちたくない。ゴミを運んだら帰り道は風に大きく揺らされたい。寝癖を鏡に反射させて確認する前に、手で頭を一周させて予想してみる。襟足の外側へのハネは手で触るよりも鏡で見た方が面白い。だからワンクッションそこに用意する。

朝活とは程遠くて、ただ生きているとゴミを溜めると何かと不便なだけだから、定期的に、それも決まった時間と日にちに持ち寄らなきゃいけない。

嫌々社会に身を寄せなきゃいけない。

とまで言ってしまったら、自分はただ反逆者でありたいという欲を自分で満たしたいだけの、かまってちゃんである。承認欲が人並外れているタイプの。

大それたことは煙たがられがちだから、自分には無理だと忌避しながらも、みんなと同じだね、と言われたらムッとして、解消もできずに帰りの電車でも反芻して、引き摺ったまま自宅のドアを引いて、缶のチューハイをあけて。

また今日も、缶・ビン・ペットボトルのゴミの日の朝がやってきた。



自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。