きっかけは春とともに

今日はいつもと違うからね、今に見とけよ〜

意気込み、アラームをセットして、布団の中をあたためて心地よい空間を形成する。これなら眠れると思った。見事に眠れた。

早く眠りについた分だけ早く起きる。ただそれだけのことなのに、早く起きていることに感動している自分がいる。

どうしても、今日だけは、と予定が入り、早起きをすることにした。締め切りみたいな使命感に駆られる予定というよりは、自分一人で打ち立てた努力目標に過ぎないが、これを見事に守り切った。

ショッピングは最近縁がなかった私が、珍しく欲しかったものがあって、そのアイテムが店頭に並ぶ初日だった。オンライン上では気づいた時には売り切れていて、ネットで楽に購入するという手段がなくなった。
もっと早く気づけたらな〜、でもそこまでアンテナ張ってられないしな〜、気づけただけよくやったって褒めてあげたいね〜。自分を甘やかして甘い蜜を吸っている。

それはさておき、オンラインで買えなかったんだから、そのお店に赴かなきゃいけない。最短距離で、でも久しぶりの外出だから他にやりたいこと、行きたい場所はないかを予めリストアップしておく。特になかった。何よりも最優先は人気アイテムを買うこと。

「任務完遂次第帰還する!いいな!」 
「はい!」

一人二役で点呼して、装いをバッチリにして、ちょっとオシャレしちゃって、AM11時、いざいかん。玄関の戸を開ける。今日は暖かい日だ、コートがちょうどいいぐらい。歩くのが最初は楽しかった。帰りは靴ずれして、ひきづるように帰ってきた。革靴で一丁前に出かけるのはよしたほうがいいです。

電車に揺られるのはいつぶりだ。あまりにも電車に乗っていない生活を続けていたから、1/fの揺らぎ以上に落ち着きを感じた。普段なら乗り物酔いするタイプなのに、今日は楽しみが勝っていた。スマホを落としそうになるぐらいに眠たくなる。

(電車の中って手持ち無沙汰になりません?みんな電車に揺られている時何してんの?SNS徘徊するのそんなに時間かかっちゃう?私が時間の使い方下手なだけ?寝たふりしないの?)

ちょっと足を伸ばして、目当ての駅に降りる。まっすぐまっすぐお店に向かう。大体正午を過ぎたぐらいには店に到着した。

あの、〇〇が欲しいんですけど、まだありますか?

ああ!ありますよ。ぜひご覧ください。

お店の分の在庫は(当然だが)残されているんだな、ネットで全部売り切ってしまうとかなくてよかったと一安心して、お目当てのアイテムを隅々まで確認する。そこそこの金額だったから、勢いでは買わない。
欲しくてたまらないとしても、一度冷静になるのも大事だ。

結構在庫あった。まだお店もオープンして少ししか時間が経ってなかったようで、接客をしてくれた店員さん以外の方々は、事務作業に追われていたり、どこかと電話をしている。

全員が全員こちらを見ている空間よりも、一人が対応してくれながらもときたまそっぽ向いてくれたりで放っておいてくれる空間の方が、私の気持ち的には楽だった。じっくり考える時間を与えてくれたおかげで、いい結論を導き出せた。


これください。

かしこまりました、ありがとうございます。」

チャリン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

(会計を済ませる音。今回現金は使ってない、あくまで雰囲気づくりのため。話を盛ってお送りしております。)

ありがとうございました〜。」

退店。

あってよかった〜。満足満足。

用事は13時には完遂していた。

「このまま帰るの、隊長?流石にもったいなくない?確かにガヤガヤと盛り上がって遊びに耽るには人の目があってできないけどさ、せっかくだからさ、、、。」

「そうだな、久しぶりに、あれ、やるか!!!」

「やった!」

あれ、あれとは、、そう、、、、、、カフェにいく。これです。

その後、ナチュラル由来(?)の、自然に優しそうなカフェに行って、極上のアップルジュースを飲みながら、読めずにいた本を読み進めた。

綺麗なカフェで透き通るような空気を吸い、心も自然由来に変わっていったところで、猫背を治して店を出た。

「楽しかったね、隊長。今度の休日はどこいこうか?」

「そうだな、今はちょっと考える余裕ないな、買い物して満足したし、ゆっくり考えような、それまではしっかりと守り抜くように。」

「はい!」

清々しい返事が聞こえてきて、二人の記憶は青空とちぢれた雲の間に消えていった。

なんだか今日は暖かい1日だった。

もうすぐ、春がやって来る。




自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。