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春3割冬7割の風が吹いて

本屋をゆっくり回り、気になる度に手に取り中身を確認して、「なんか違うな〜」と首を傾げて元のあったところに返す。想定外の出会いを期待して毎回本屋に行くけれど、本日は前からほしかった本だけを買った。

本屋を後にして、その足のままカフェに向かう。新作の春仕様のドリンクを一つ注文しようとすると、レジを担当のスタッフが喉を枯らしていた。
ガラガラ声のまま接客されて、心配が上回って注文どころじゃなくなって、支払い方法を選ぶところであたふたしてしまった。

後ろには誰も並んでいなかったが、電子マネーは11円残高が足りなかったから、その場で一番早いと踏んだ現金で支払った。
会計を済ませて、ドリンクを受け取る。春仕様のドリンクを見て、春の到来を感じた。しかし屋外は冬のど真ん中であり、束の間の現実逃避となった。


新しく買った本はまだ読まない。積読の山を解消してからだ。横入りを当然のようにする奴は除け者にされる世の中だ。当然のことである。


超雑談力を最後まで読んだ。

雑談力改め、傾聴力と題しても良いかもしれない。与えられた素材を伸ばして伸ばして整えてをコントロールするのは、聞き手側に委ねられている。
会話を滞りなく続けるには、それだけ聞き手側が鍵を握っていることになる。

実際に本の中にも、「3割自分の話、7割相手の話が雑談のベストバランス」とも書いてあった。相手の話を遮らずに、ちょうどいい盛り上げを加えながら出しゃばらない。その術が書いてあった。

言葉選びで、使いやすくて相手に不快感を与えないものをチョイスして、ジェスチャーとリアクションで、相手に向き合っているとそこはかとなく伝えていくのが大事になるようだ。

人に対しての興味が湧かず、話のタネが思い浮かばないし、適切な盛り上げもできない。」というわたしのかねてからの悩みも、かなり軽くなって靄も薄くなってきた。
読んだばかりで実践にはまだこぎつけてないが、「試したいな〜、おしゃべりしたいな〜。」と、会話に対する姿勢が変わった。雑談のスキル云々を得たのもあるが、会話をしたくなってきたのが、この本を読んだ上で一番の収穫だ。
これも本を読んだからこそ得られる感覚で、読破した感覚を思い出した。

「これだ、この感覚!!!!!!!!!!!」

各々がカフェのテーブルで静かにしている中で、1人かっこつけながら、心の風通しが良くなっていた。

カップの中の春風味のドリンクは残りわずかだったが、最初の一口よりも味が濃かった。

本が最後のページまで到達して、ドリンクを飲み干し、アウターに袖を通してカバンを持ち上げ、トレーを返却台に置いて店を後にした。

風通しが良くなって爽快感に満たされていると、冬風が容赦なく吹きつけてきた。

爽快感は不快感に変わり、防寒として有用な手袋を装着して足早に帰った。



自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。