言葉を響かせ音を書く
聞き流すだけのBGMで止まるのは大人らしくない。
浅くて中身がないだけの空洞では、つまるものがないと危機感を覚え、意識して音楽を聴き入るようになり、生の音を感じられるライブに足を運んでから、楽器や演奏というものに対しての興味が湧いてきた。
楽器の演奏経験は、義務教育で配布されてきたそれっぽい笛や鍵盤ぐらい。
教科書通りの暗号を自分が奏でられていたかどうかは定かではないが、別に成績は良くなかったから、きっと上手くもなければ、ミッションをこなすことすら危うかったのだと思う。
強いて言えばリズム天国シリーズが好きだったぐらいだ。
チャレンジしたことないものが近づいてくると、何かとセンスや、先天性のもので楽器の得意不得意って決まっちゃうんじゃないかと言い訳をしながら、音楽は聴く側に徹していた。
それはもちろん、できるはずがないという諦めと同時に、ただでさえ余裕がない私生活で、新しい趣味を生み出そうという発想を押し込めていたという理由がある。
聴くに徹するも楽しい。でも、なんか深みのない音楽に対する愛は、素っ気なさと都合の良さを感じる。雰囲気で良いしか表せないのに。
音楽が好きだなんて(笑)
と冷笑する自分が心の中には存在していた。音楽好きと公言できるものではなくて、ただ平均より音楽に接する時間が長いだけと言われても反論はできない。
久しぶりに友人と連絡して、現状を軽く報告がてらやりとりしていると、ベースを始めたと言われた。
とあるバンドのベーシストに憧れて、突如として始めてみたらしい。
なんだよそれぇ〜。かっこ良すぎるし、粋な趣味だねぇ。ベースかぁ。おしゃれだよね、響きが。
聞き手に回るほかなくなった。こちら側から発せられるものがなかったのだ。
わたしには何ができるのだろうか。いや、何を始められるのだろうか。
まだ何も浮かんでいなければ、強烈に胸を打ったものもない。
つべこべ言って焦るのも禁物。プレイリストにまとめた好きな曲をシャッフルで適当に流しながら本でも読もう。
自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。