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目指すは、カメレオン先生。

カメレオン俳優の先生版。カメレオン先生。

カメレオン俳優と呼ばれるような名俳優さんは、ドラマや映画などで、たくさんの人に感動や笑いや癒しをもたらしたり、また時には人生の残酷さ、悲しみなどを表現したりと、多彩な演技で視聴者を魅了してくれます。そして、多くの人に愛される存在ですね。

保育・教育の現場でも、子どもたちに好かれている先生って、カメレオン俳優のように、その時々で言葉や声色や表情や動きを変え、子どもたちの心の機微に絶妙に寄り添ってくれます。

私は、保育の知識が特別に多いわけではありません。様々な研修を受けさせてもらい、自分自身でもいろいろと勉強してきましたが、よく理解できていない保育理論なども正直あります。

でも、子どもたちの心に常に寄り添うことに関しては、この10年全力をかけてきました。そのおかげで、子どもたちとの関係作りには自信をもっています。今も療育施設で、子どもたちとかかわりながら、自称カメレオン先生として頑張っています。

保育者は、ぜひ、このカメレオン先生になって欲しいのです。

今日は「目指せ!カメレオン先生」ということで4つのステップをご紹介します。

カメレオン先生への道のり

1 見る

まずは、子どもたちを見ることです。きちんと見ることは簡単なようでいて、難しいのです。自分の先入観や価値観を一旦外して、この子は何を感じているのだろうか、何を楽しんで、何を嫌がって、何に戸惑っていて、何に面白さを感じているのだろうか、ということを細かく知ることから始めます。

1クラス30人など、多くの子どもたちがいるクラスの先生は大変だと思います。そういう場合は、今日はAちゃん、明日はBくん、とターゲットを決めて、保育の中でできるだけターゲットの子に注目して、行動や表情を見てみてください。

2 聞く

次は、聞くこと。子どもたちの声をよく聞きます。聞く、って意外とポイントなんです。先生の中には、”私が指導するぞ”という思いが前面に出ていて、子どもたちの声を遮るほどの勢いとボリュームで指示を次々と出す方もいますが、それでは子どもたちのせっかくの声が先生の耳に届きません。

大きな声で「先生〜!わかりませ〜ん!」などという子の声は、もちろんよく聞こえるかと思います。でも聞くことが習慣になってくると、ぼそっと「…あれ、こうだっけ、あぁ、なるほど、そういうことか」なんてつぶやいている子の声の方が耳に入るようになってきて、これがなんとも面白くて可愛くて、結構癖になります。子どものつぶやきには、その子なりの考え方や個性がにじみ出ているのです。

3 演じる

1と2で子どもたちの様々な姿や様子を把握できたら、次は、見て聞いたことを、子どもとシンクロするように、先生も同じように演じます

「見て見て!すごいでしょ!」と興奮気味に伝えてきたら、子どものその興奮を受け取り、シンクロして「うん!すごいね!頑張ったんだね〜!」と認めてあげると、きっと喜びます。

一方、控えめに「…先生、これなんだけど…」などと伝えてくる時には、先生も同じ温度感で「見せてくれてありがとう。これは何かな?教えてくれるかな」などと、子どもの様子に寄り添うようにそっと声をかけてあげます。

大人でも、楽しいことを伝えた時は、その楽しい気持ちを共有してほしいし、辛いことがあった時は、その辛い気持ちに寄り添ってほしいし、一緒に考えてもらえたりしたら嬉しいですよね。

それと同じように、子どもたちの行動や表情を大切に、同じ空気をまとって、同じ気持ちを演じてあげることがポイントなのです。

先生が主導するのではありません。子どもたちが悲しい表情をしていたら、先生も泣きそうになるのです。子どもたちが不思議がっていたら、先生も一緒に不思議がります。

余談ですが、私は新卒で幼稚園教諭1年目の時に、多くのベテランの先生方に、「1年目なんだし、もっとこう、明るく、元気よく保育してくださいね」と言われました。

どうやら、「◯◯ちゃん!!おはようございまーす!!」とあいさつしたり、「みんな〜!!次はこれをやるよぉ!!やってみたい人〜(^O^)!!??」みたいなのを求められていたようです(笑)

時には、こうやって盛り上げ役になることも必要なのですが、こればかりをしていると、1も2も丁寧にすることが難しくなり、子どもたちの空気感に合わせることもしにくくなります。

4 役を増やす

3まで無理なくできるようになれば、カメレオン先生はもうすぐそこです。

1〜3を繰り返す過程で、子ども一人ひとりに対して「この子にはこんな演じ方」という方向が見えてくるし、子どものその日の気分や様子などによっても演じ方を変えられ、寄り添いやすくなっているはずです。

クラス全体に対しても、同じように1〜3を行います。なんとなく、今日はみんなそわそわしているなぁという日があったり、逆になんだか落ち着いているなぁという日があったりしますよね。その時々の雰囲気や温度感を感じて、先生も一体となります。

そして、個々やクラス全体に対してカメレオン的対応ができると、今度は、先生が先に演じることで、子どもたちが先生の表情や様子を感じ取るようになります。

これらを繰り返していくと、子どもたちは「自分たちのことを分かってくれる先生」「同じ目線にいてくれる先生」という認識になっていきます。

そして、先生がいろいろな表情や感情や動きや言葉を、子どもたちの様子や場面に合わせて演じていくことで、子どもたちも安心して自分の様々な思いが出せるようになっていきます。先生への信頼も増します。先生が大好きになるのです。

そして、先生と子どもたちとの関係が濃く、確かなものになってくるので、先生も充実感が増し、またクラス運営も楽に楽しくできるようになっていきます。



私は、担任をもっていた時、この1〜4のステップを行なっていくことで、子どもたちと関係を作り、自分自身もクラスの一員として一緒にいろんな経験ができることがとても有意義でした。世界で一番素敵な仕事だと思っていました。

紆余曲折あり、今は担任としてクラスをもっているわけではありませんが、またそういう機会があったら、どんなに楽しいだろう、と思っています。

保育園や幼稚園も、すぐには通常運転に戻らないかもしれませんが、園に子どもたちみんなの笑顔が戻ったら、ぜひ、たくさんの保育者がカメレオン先生として、子どもたちとの素敵な時間を過ごして欲しいと思います。


未来を担う子どもたちの健やかな成長を願って…。大切に使わせていただくことを約束します!