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【創作論】本気でプロになるぞ!と決めて、まずやったことは、エロとの決別だった話

 どーも、筑前です。残暑厳しい日が続いておりますが、いかがでしょうか?
 筑前は8月いっぱいまで原稿に追われていまして、今は次作の準備期間を迎えています。ただ、現在3社に初稿を投げていますので、これが一気に戻ると、くっそ忙しくなりそうです。

 さて、今回の話題は表題の件です。
 僕が本気でプロにになる為に、作品からエロ(濡れ場)と決別した話をしたいと思います。
 なお、正確に言うと、エロと過剰なグロ(暴力)です。

 まず僕はアマ時代に、そこそこ濡れ場を作品に加えていました。
 それは無意味な、言わば読者を悦ばせるポルノ的な濡れ場ではなく、それなりに意味を持たせていたつもりで、その濡れ場で登場人物の精神を描こうとしておりました。
 またグロ(暴力)とて同じです。痛そうな描写を綿密に描くことによって、何かが作品に得られる、他の作家との差別化が図れると思っておりました。

 そんなある日、僕がある作品を読んでいると、濡れ場をさっさと読み飛ばしていることに気付きました。
 更に別の作品では、読んでいるこっちが痛くなりそうな、過剰かつ詳細な暴力描写に至ると、眉を顰めて、これも読み飛ばしていました。
 恐らく、両作品の作者もエロもグロも、意味を持たせて描写したことでしょう。ですが、僕はどちらも読み飛ばしてこう思ったのです。

「この描写、邪魔だな」

 作品自体は、凄く力が合って面白かったです。個人的にも高評価ですし、事実売れています。だからこそ、このエログロが邪魔、ノイズに感じてしまいました。
 エロもグロも、もう少しさらりと流せたら、或いはそもそも入れる必要があったのか? と疑問が湧きました。少なくとも、僕の眼からは、敢えてチャレンジして入れる意味は感じませんでした。

 エロもグロも、読者によっては嫌悪感を抱きかねないものです。濡れ場が多ければ、女性読者の支持が少なくなるかもしれない。
※時代小説に於ける女性読者の支持は重要で、如何に女性読者を取り込めるのかが鍵。

 では、僕がエログロに込めた「登場人物の精神性を描写する」「他作品との差別化を図る」が、一部の読者の嫌悪感と引き換えに得られるリターンは、どれだけのものが期待出来るのか? リスク(読者の嫌悪感)に比べて少ないのでは? という考えに至りました。

 むしろです。結局、エロもグロも僕自身の自己満足でしかなく、どちらも無くても作品は十分に成立していました。

 僕はエンタメ小説を書いています。老若男女問わず、時代小説の面白さを広く伝える、エンタメ作品を目指しています。
 そんな僕の方針に、エログロは不要でした。多くの人に読まれなくては目的は達成出来ず、一定数の読者にはノイズになってしまうエログロを排除することに、何の迷いもありませんでした。

 そうしたエログロ(グロは多少残りましたが、書籍化作業でカットしました)を排除して出来上がった作品が、「谷中の用心棒 萩尾大楽」でした。
 それが出版後、文学賞にノミネートされ受賞したところを見ると、きっとこの方向転換は正解だったかと思います。
 初めて読者の存在を意識して書けた作品で、デビューし文学賞作家にもなれたので、これは迎合ではなく成長だったと思います。

 また、お付き合いする出版社も増え、数名の担当者と話をした時も、「エロはいりませんからね!」と言われたので、恐らく僕の作品の方向性には必要ないのでしょう。

 ついでに余談ですが、これでも僕はハードボイルド作家を自称しています。そして一昔前、日本のハードボイルドと言えばエロと暴力は付き物でした。そうした固定観念を変えたいとも思っています。
 チャンバラですから多少の暴力は仕方ありませんが、女性軽視と捉えかねないエロは切り離したいと考えています。あと、「男の美学」も。
 これは別でいつか書きたいのですが、「男の美学」という言葉が嫌いなんですよねぇ。 僕の作品に「男の美学」は無いです。あるのは、「覚悟を決めた、人間の生き様」です。
  自分を貫くこと、貫こうとすることこそが、筑前流のハードボイルドかなと。そこに性差はありません。男だけの占有物でもありません。自分が自分であろうと望む。それが、僕のハードボイルドなので。

 と、話は大きく逸脱しましたが、僕がエロを書くことは、そうしたオファーがなければ書くことはないでしょうね。書いても「朝チュン」ぐらいですね。

 以上が、僕がプロになると決めてから、変えたことです。
 なお、これは僕の選択です。エロが駄目た!とかそんな意味ではありません。あくまでも、僕の作品には不要だったという話です。

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