キツネなシッポと遊びましょ、の話④
ボクは本当に反省が苦手らしい。
↓新シリーズ、キツネなシッポ編です。哀れな妄想癖のオトコが繰り広げるアホらしさ満載の空想活劇をお楽しみください。よければアルマジロ編もどうぞ。
しばらくして警察の方がやってきた。二人はボクを見るなり表情が固まった…
「先輩、お久しぶりです。」
キレイな女子警官が奥さんに話しかけた。え、そういう関係だったの。シッポ様はパタパタしていいものか、挙動に困っていた。
「イロイロ、大変ですね。」
彼女はコッチをみて奥さんにそう言った。
↓婦警さんのイメージです。日本テレビ、ドラマ「ハコヅメ」より
オイオイ、大変なのは空き巣被害なんじゃないのか。何でコッチ見て言うんだ?ボクの方が大変だって言うのか?
ボクの視線に気付いた彼女がウエーって顔をした。え、オマエ今ウエーって顔したな。オマエ絶対今ボクのこと言ったんだろ?彼女はそうだ、と言わんばかりの表情をした。どうやらボクらの恋はテレパシーで通じるレベルにまでなったようだ。
ボクらがテレパシーでの会話を楽しんでいる間に、奥さんが紅茶を用意してくれた。
「コレ、良かったらどうぞ。」
ボクの分は当然ない。彼女はボクを一瞥すると、奥さんと色々と話し出した。オトコ前な奥さんは後輩人気が高いらしい。
「先輩、どうして結婚したんですか?」
ど直球な質問だ。コッチを見る目が、なんでオマエなんかと、そう言っていた。ボクは大きなお世話だ、そんな顔で返してやった。彼女は今度はイーッって顔をしてきた。え、オマエ今イーって顔したな。どういうことだ。まだ合って間もないのに、何が分かるっていうんだ。ボクだって毎日鍛えられてるんだ。お陰で強靱な関節とメンタルを手に入れたぞ。クレーム対応なら部署内随一だ。いきなり関節を極めにくる客なんていないからな。今の僕ならトラとだって暮らせるぞ。総合武術が得意なトラなんて聞いたことがない。
「そうね、人生イロイロ、だから。」
奥さんはコッチを見てそう言った。その目はオマエ、まだハナシは終わってないからな。後でキッチリ締めたる、そう言っていた。怯えたシッポ様は直立不動のまま固まった。
「それにしても先輩、あのヘンなシッポ、何なんですか?」
「いいのよ、もう。元がヘンなんだから。もういいの。」
オイオイ、元がヘンってどういうことだ。ボクがイカれた変態ヤローだっていうのか?
まあ、そうですね…シッポ様はじっとうなだれたまま動かなくなった。
ボクのスマホがブルッとした。小池クンからのライン通知だ。カワイイ女子を両脇にして満面の笑みで映ってる画像が送られてきた。いいなあ、ホントならボクもその場にいたはずなのに…ふんふんしてたハズなのに。チヤホヤされてたハズなのに…ため息をつくボクに、フザけんなよオマエって女子二名分のテレパシーが届いた。彼女たちがボクを見る目は今まで以上に冷たかった。
イケメン警官は意識の戻ったカタコト黒マスクを拘束した。マスク越しの目がイケメン君に助けてくれてありがとう、そう言っていた。哀れなヤツだ。無謀にもゴジラに戦いを挑んだ罰だ。命があるだけありがたく思うが良い。黒マスクはコッチを見た。その目はもうオマエには二度と会いたくない、そう言っていた。イケメン警官もコッチを見てオレもそうだぞ、そう言っていた。
ボクらはいつの間にか、コトバを介せずとも意思の疎通が可能な関係になっていた。
(イラスト ふうちゃんさん)
良ければBGMとともにどうぞ。Vaundyさん、こんなトコでゴメンなさい。
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