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アフリカマラウイの小学校にブラック校則はある?③【学級ルール&安全のきまり編】

前記事の【校則編】【髪型のきまり編】に続いて、マラウイの小学校の学級ルールをいくつか紹介したい。

学級ルール1

ムチンジ県ルッジ男子小学校の学級ルール

盗みはいけません。
・服装をしっかりします。
先生を敬います。
・騒いではいけません。
・不必要な発言はいけません。
・遅刻はいけません。
・他者の意見を尊重しましょう。

学級ルール2

リロングウェ教員養成大学附属小学校5年の学級ルール

先生を敬います。
・責任感を持ちます。
・学校のものを大切に扱います。
・教室をきれいに保ちます。
・時間を守ります。
・授業に毎日全て出席します。
・授業中は積極的に参加します。

学級ルール3

とある小学校6年生の学級ルール

・騒音は禁止します。
盗みはいけません。
・けんかはいけません。
壁から(掲示物など)何もとってはいけません。
・必要のない動きはいけません。
・欠席はいけません。
・乱暴な言葉遣いはいけません。
・報告なしの欠席は罰せられます。
・係の仕事をしっかり行います。
・先生の言うことに従います。

「壁からとってはいけない」は、日本では考えられないのだが、マラウイではよくあること。いつの間にか、掲示物がとられてなくなってしまうから、必要なルールなのだろう。

「先生を敬うこと」は、今の日本ではルールとしては見たことがない。敬われる存在になりたい、という先生側の希望はあるのだろうけれど。


最後に、校則とは別に「安全のきまり」を掲示している学校があったので紹介したい。

子どもを守る安全のきまり

デッザ県にある小学校の安全のきまり

・学校でけんかをしてはいけません。
下校の時はグループで歩きます。
・学校の敷地内で外部の人が物売りをすることはゆるされません。
川の近くで水浴びをしてはいけません。
・いかなる形の虐待も指導者に報告します。
・訪問者が授業中に生徒に会うときは校長に報告、相談します。

「下校の時はグループで歩く」については、補足しなければならない。日本の小学校にも、不審者対策や交通安全上の理由から、登下校をグループで行うことはある。それと同じルールに見えてしまうが、全くニュアンスが違う。

現在、マラウイでは増え続ける子どもの数に対して学校数、教師数が大幅に不足している。学校数が不足すると、1教室あたりの生徒数が増えるという問題の他に、遠距離通学を強いられる子どもが増えるという問題も同時に起こる。

通学路が長ければ長いほど、その途中で、特に女子生徒が性的暴行の被害を受ける可能性が高まってしまう。そして、望まない妊娠が原因でドロップアウト(早期退学)しなければならない、という問題にまでつながってしまっているのだ。SDG4(質の高い教育をみんなに)に反して、ジェンダーによる教育格差の原因にもなりかねない。

「川の近くで水浴び禁止」
ルールは、溺れる心配だけでなく、ワニやカバなど危険な動物がいる場合もあるから油断できないのだ。とは言っても、川で洗濯したり水浴びしたりしている光景も結構目にした。地域によって(ワニがいるいないによって)違いがあるのだろうか。

ムチンジ県ムクンダ村のルッジ川で洗濯と川遊び(2018年)

日本で話題になっている、まゆげを整えるの禁止や、下着の色指定など、あまりにも理不尽でブラック校則と言われるようなルールは、マラウイには少なかったように思う。

しかし、日本人の私には見えていないだけで、マラウイ特有の暗黙のルールが、実際にはあるのかもしれない。

こうして、学校のきまりを見てみるだけでも、日本との考え方や文化の違い、地域性が浮き彫りになっておもしろい。日本とは全く違うきまりから、日本の「当たり前」を、疑ってみるのもありかもしれない。

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