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指導者・コーチ・監督必読@スラムダンクから学ぶ選手(部下、子供)の育て方を脳科学的に解説

こんにちは(^^)
【精神保健福祉士 ゆう】 です!

今回は漫画スラムダンクを題材にして、
「選手の育て方、伸ばし方」について、
脳科学オタクでもある私が、脳科学や心理学的に解説していきます。

この記事を読めば

・スポーツをされている方は、パフォーマンスが向上する
・指導者の方は、正しい指導がわかり、選手が育つ
・スポーツだけでなく、仕事や日常生活が豊かになる方法が分かる
・部下を持つビジネスマンであれば、正しい部下の育て方が分かる
・子育て中の方は、正しい子育ての方法がわかる
・人間の脳、身体、心について学べる(心理学・脳科学等)

というメリットがあります。

・指導していても、なかなかチームが伸びない
・自分の子供がスポーツをしているが、楽しそうじゃない、上達しない・・・
などの悩みをお持ちの方、加えて
スポーツをしていない方、ビジネスマンの方、子育て中の方など幅広い方にも為になるような内容となっております。

バスケット漫画を題材にしていますが、他の全てのスポーツにも同じように当てはまる内容を書いています。

ではいきましょう。


安西先生の指導の素晴らしさ

褒める→ドーパミン→やる気・意欲UP

湘北高校が強かった理由は、ずばり安西先生の指導です。
昔からスポーツ指導者の多くは、怒りながら指導しています。
今でこそ、かなり減ってはきましたが、昔は体罰は当たり前の時代でした。
ですが、安西先生はめったに怒らないですよね?
(過去編ではめっちゃ怒ってましたが)

むしろ選手を褒めて、やる気を出させている。
この指導スタイルは脳科学的に見て、
かなり心と身体によい影響を与えています。
例えば山王戦で、試合前にガチガチに緊張しているスタメンの選手、
ひとりひとりに言葉がけしていくシーン。

引用元 集英社

あとは君たちは強い!と選手に語りかけていたシーンも印象的です。
この褒めるということは指導する上でとても大切。

なぜなら脳には、「知性 ➡ 感情 ➡ 意欲」

脳のサイクル

というサイクルがあり、

例えば、だれでも褒められれば、感情的に嬉しくなります。
この時、脳からはドーパミン(幸せホルモン)というホルモン、脳内物質が出ています。
嬉しくなると、意欲が増します。
意欲が増して、やる気が出てくるともっと上手くなりたくなって、


どうすればいいかを本、ネットで調べる、
うまい人のプレーを見て勉強する、
周り(コーチ)の人に聞いたりすることで、情報(知性)が増えます。
情報が増えると、そうなのか!そうすればいいんだ!
という驚き、喜びの感情が起き、(感情)
またやる気(意欲)が増していく・・・という好循環が生まれます。

褒めるという事は、スポーツだけでなく、
仕事においても、教育においても、人間の能力を伸ばすのに大切。

褒める事で 
➡ 嬉しくなる (感情)
➡ やる気が出る (意欲)
➡ どうすればもっと上手くなるか研究する (知性)
➡ 新しい知識を得ることが驚き、感動、嬉しさにつながる(感情)
➡ もっと練習するようになる (意欲)
➡ 上手くなり、また褒められ、自信にもなる (感情)
➡・・・・・・・という好循環がうまれる

となります。


リラックス

この後の章でも少し触れてはいますが、人が最大のパフォーマンスをするとき、いわゆるゾーンに入っている状態はどういう状態なのかというと、

脳と身体がリラックスしている状態(副交感神経が働いているとき)のときに一番いいプレーができます。

100%目の前のプレーに集中している状態で、無駄な緊張もなく、
のびのびとプレーできる。
アイディアもうまれやすく、柔軟に色んなプレー・作戦を考えられる状態です。(この時の脳の状態を「α(アルファ)波」または「θ(シータ)波」と言います。)

逆に緊張、焦り、プレッシャー、雑念がわいている状態の時は、脳と身体が緊張状態(交感神経がよく働いている状態)にあり、いいプレーはできません。
頭の中で雑念がわき、思考しているため、100%目の前のプレーに集中できず、ミスが増えます。また交感神経が働いているため、身体・筋肉が緊張してしまい、動きがぎこちなります。身体が緊張すると、血管を締め付け、血流が悪くなり、脳への血流も悪くなることで、思考力が低下し、柔軟な対応、プレーができなくなっていきます。
(この時の脳の状態を「β(ベータ)波」といいます。)

では、α波の状態を作るにはどうすればいいのか?
先ほど脳のサイクルの所で「褒めると嬉しくなる」と書きました。
この嬉しいというのは、脳でドーパミンという物質が出るからです。
このドーパミンという物質が出ているとき、脳はリラックスしている、つまりα波になります。

なので一つは選手を褒めたりして、感情を上向きにしてあげて、
ドーパミンを出す状態にしてあげることです。


引用元 集英社


怒る・叱ることのデメリット

では逆に叱る、怒る指導は選手にどういった影響を与えるのか?
作中でライバルの陵南高校に、田岡先生という監督がいますが、
どちらかと言うと怒って指導するタイプでした。


引用元 集英社

叱られたり、怒られると、基本的には選手の脳からは、
不安や怒りを感じる、ノルアドレナリンという物質が出ます。

この脳内物質は、意欲を下げさせてしまう作用があります。

例えば、理不尽に人から怒られると、
やる気めっちゃ下がりませんか?


叱られたり、怒られたりすると、
=「攻撃されている、目の前に危険がある」と脳が認識し、
不安感(ノルアドレナリン)が出てしまい、だんだん意欲・やる気が下がっていきます。

これは大昔、私たちの祖先がまだ狩りをしていた時代をイメージすると分かりやすいです。「ストレス脳」という本にも書かれていますが、人の脳は「生き延びれること」を目的に行動しています。(生存欲求)


例えば、クマやトラなどが近づいてきたなどの脅威、危険を感じると、洞窟や草むらに隠れて、やり過ごしていました。
これは脳が危険を感じると、自分の命を守るために、脳から不安感(ノルアドレナリン)を出すことで、筋肉を緊張させ、敵に見つからないように逃げる、または隠れることを、脳がホルモンを使ってさせていたという仕組みです。

熊、トラ、ヒョウ、ヘビ・・・と昔は敵だらけ

この脳の仕組みは、数万年たった今でも私たち人間の脳にしっかり残っています。大昔も人同士の争いもあったので、人(コーチ・監督)に対しても危険・脅威を感じると、不安感(ノルアドレナリン)が同じく出ます。

指導者から怒られ、危機感を感じると、脳はその危険・脅威から、自分の身を守りたい、回避したいとなり、勝つこと・上達することよりも、早く練習・試合が終わり、その場を離れることを優先したい心理状態になっていきます。

ノルアドレナリンには意欲減退の他にも、緊張させる作用もあるので、
これが出ている状態でプレーしていても、
身体は緊張し、のびのびプレーすることができなくなります。

緊張している状態というのは、先ほども書きましたが、
交感神経により、筋肉が硬くなり、
動きがぎこちなくなります。
加えて血管の周りの筋肉が、血管を締め付けるせいで、血流が悪くなり、
脳への血流も低下してしまいます。
そうなると、思考力が低下するので、プレーの質が低下します。


よく緊張や不安で頭が真っ白になってしまう状態というのは、
頭に血液がいかなくなってしまっているからです。

まとめると
怒る・叱るという指導は
➡危険・脅威に感じる
➡不安感(ノルアドレナリン)
➡意欲・やる気が減る
➡その場から離れたくなる

ということが起こってしまいます。

怒る、叱ることのデメリット②

こういった状況が続くとどうなるかというと・・・
最終的には、そのスポーツが嫌いになってしまいます。

さきほど人間は危険を感じるとその場所は、
命のリスクがあるので避けようとすると書きました。

怒られる・叱られる
➡監督が嫌になる、やる気・意欲も減る。
➡練習前になると、「また今日もおこられるのではないか・・・」と不安になる。
➡そのスポーツが嫌いになる。
➡練習場を避ける、やめてしまう

ということが起きてしまいます。

作中の中で、陵南高校に「ふくちゃん」という選手がいるのですが、
監督から色々言われすぎて、怒りを爆発させてましたよね。

退部まではいかなかったですが、そういう指導が続けば他の選手であれば
やめていたかもしれません。

心理学で「パブロフの犬」という有名な実験があり、
餌を与えるときに、ベルを鳴らすのを繰り返すと、ベルが鳴るたびに、まだ餌が出てきてもないのに、唾液が出るようになるという実験があります。

他にも梅干しと思い浮かべただけでも、口の中の唾液が増えますよね。
何かの出来事が繰り返されると、それをイメージしただけで身体の反応がでるというもので、条件反射記憶と呼ばれています。

今出した例は「正の強化」といい、ポジティブな場面ですが、
ネガティブな場面も同じことが起こり、「負の強化」「負の罰」と呼ばれます。

例えば、道を歩いていて、急に犬が出てきて噛まれそうになったら、
その道を歩くのはもうやめておこう・・となりませんか?
これは負の罰といい、ある負の刺激に対して、罰を感じるようになり、行動を制限してしまいます。
同じく怒る・叱って指導することは「負の罰」になります。

流れとしては、
怒る・叱る
➡コーチが嫌いになる
➡練習に行くのが嫌になる
➡「バスケ」と聞いただけで、嫌悪感がして身体がひきつる

という心理状況に選手はなってしまうのです。

これはスポーツに限らず、学校・仕事においても同じです。
何かストレスがかかって、行きたくなくなるのは、今述べてきた脳のシステムがあるからです。

もちろん、選手が人として道徳的に悪いことをした、人の道から外れたことをしたときは、その選手の為を思って、怒る・叱る指導する必要はあります。(選手としてだけでなく、人としても成長させていく義務が指導者にはあるので)

しかし理不尽に怒る・叱る、コーチ自身の評価のために怒る、叱るなどの指導をしている場合、子供でもそれは感じ取れます、いや子供の方が感じ取る能力は高いかもしれません。

時々、少年サッカー・野球で指導者を見かけますが、少しのことで怒りながら指導している人がかなり多いです。怒った瞬間、場の空気は凍り付いたようになっています。無論、選手たちの身体も固まってしまっていますが。
そういった指導は、全くと言って選手の為にはなりませんので、改善していくべきです。


思い込みの力(天才ですから)


引用元 集英社

主人公の桜木花道はよく作中で
「天才ですから」と言っています。

初心者から入部し、経験者に臆することなく、立ち向かい、努力を重ね、メキメキと上達していきました。最後の山王戦での活躍もすごかったです。

もし桜木が
「いやいや自分は不器用なんで・・・」というような控えめなキャラだったらどうでしょう?



あそこまでの活躍はできなかったと思います。

普通は初心者だったら、試合に出るとなったら不安と緊張で
何もできないっていうのが普通ではないでしょうか?

ましてや山王戦となると普通の経験者でさえも、
緊張して普段のプレーはできないはず・・・

しかし桜木は全然それに臆することなくプレーしてました。

ここで重要なのは、思い込みの力です。
先ほど、不安や緊張状態になると、プレーの質が落ちると書きました。

行動するうえで、心の状態がブロックのように邪魔していることを
メンタルブロック」といいます。

自信がない人は何かをする時に、
・失敗したらどうしよう
・〇〇する自信がない、ヤバい
となってさらに不安になってなにもできなくなるんですが・・・

桜木にはそれがまったくないですよね。
それはなぜか?というと

自分を天才だと本当に思い込んでいる

から。

引用元 集英社


つまりメンタルブロックがないのです。

もう少し掘り下げると、
練習や経験がなくても、自分は通用すると思い込んでいるから、
試合に出てもそこまで緊張せずに、プレーできていると分析します。

桜木は身長も高く、筋力もあって身体能力は天性のものがありますので、
自分のことを天才だと思い込んでも普通だろうという人もいるでしょう。

しかし、山王戦で出てきた河田の弟いましたよね?
桜木より身長も高く、体重も上。体格的にとても有利です。
しかし彼の性格はとてもシャイで、自信がない。

引用元 集英社

あれだけ、身体がでかくても自信がない人もいるのです。
もし彼が「俺は体格も身長もあるから、すごい活躍できるぜ!!」と桜木のように本気で思い込んでいたら、プレーの質は変わっていたでしょう。

つまりまとめると、
自分のことをどう捉えているかで、心(自信)が変わる
ということです。

心が安定していれば、不安や緊張することは減ります。
脳科学者の茂木先生が成功者に共通することとして、
根拠のない自信」があると仰っています。

自信は自分を信じると書きます。
いかに今の自分をすごいと信じれるか、捉えられるかが大切。

指導者としては、選手の悪いところばかりを指摘していれば、選手は
「俺・私はダメな奴だ・・・」と考えてしまうでしょう。

そうではなく、良い点を褒めることで
「自分はできるんだ!すごいんだ!」という喜びに変わります。

そうなれば、先ほど脳のサイクルの所でも書いたように、
知性➡感情➡意欲の好循環に入ることになり、

・そのスポーツが好きになる
・勝手に自主練しだす
・指導者が指示する前に、自ら考えて行動する
・練習方法を工夫しだす

など、自主性・主体性も勝手に選手は身についていくことでしょう。


引用元 集英社 映画 スラムダンク


理想は指導者が指導しなくても勝手に選手が成長したい!練習したい!と思えるような心理状態を作ってあげることです。


今回はここまでです。

いかがでしたでしょうか?
最後のまとめにも書きましたが、
理想は誰にも言われなくても、自分で行動する人が一番伸びます。
その状態に持っていければ、指導者として最高ではないでしょうか。

感想や質問などありましたら、noteまたはX(Twitter)に書いてくださいね。
返信します。

今回は以上です!
読んで下さりありがとうございました。

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