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業界のアップグレードを怠り、自らの首を絞めてきた、地方の『IT業界』。

 1994年秋に『商用インターネット』が日本上陸。その存在と将来の展望について、賛否両論が盛んに飛び交った年でもあった。

 1994年の年末に熊本県内において、最初に『インターネット事業』を立ち上げ、1995年8月に接続&コンテンツプロバイダとして動き出したのが、筆者が代表をしている『ディー・アンド・エルリサーチ社』である。

 或る人は、「世界を変える!」(筆者も同意見を新聞社取材で発言/新聞記事に掲載)と言う人もいれば、「ネットは自分の業界には関係なく、採用しない!」と拒絶、批判的な人もいた。(当時の東京大手商社会長の発言)

 学者の中では、『セキュリティ面』を危惧する声が多く、「ネットショップは難しい!」と否定的な人もいた。ある面では正解であるが、現在、ネットショップは日常生活において、必要不可欠な『バーチャル・ショップ』と進化した。残念ながら、当時筆者が「ネットで世界が変わる、商売が変わる!」と言ったことへの賛同者は、熊本県内では皆無に等しかった。

 それから四半世紀を超えて、インターネット環境が進化を遂げてきた訳である。通信速度高速化、デバイス高機能化、そしてアプリケーション高機能化が三位一体となって、現在に至っている。それでも、まだまだセキュリティ面では完璧とは言えないのが、現在の『インターネットの世界』である。

 ところが、当時早期に着手した企業は、別会社を設立してインターネット事業に本腰を上げたところもあったが、年を追うごとに、先進企業と立ち遅れた後進企業に二分され、ジワジワと格差が生じきてきたように思えてならない。

 地方の印刷会社やその他ノンプロ業種がインターネット事業部を立ち上げ、試行錯誤していた。しかし、『インターネット業界』のまとまりや位置付けが曖昧であったこともあり、今でも、従来の業種の中の一コマと考えている人が圧倒的に多い。非常に視野狭窄な地方経営者が多いのは、地方における『インターネット業界』を育てなかったことが要因の一つと言える。そこは、筆者が猛省している点でもある。

 表題のように『インターネット業界』の存在をアップグレードならず、ダウングレードした結果でもあり、あちらこちらで『IT企業』と豪語してやっている業務内容は、ホームページのデザインとレイアウト、そして体裁。結局、印刷業務の一環であり、いつまで経っても『作って、なんぼ。』の世界を踏襲し、的外れな感覚を引きずっている。

 ホームページは『作って、なんぼ。』の価値を是として、『動かして、なんぼ。』の秘策が見えない地方中小企業の経営者が殆どだ。『ユビキタス時代』となり、日々全国民がスマホを片手にネットを利用しているにも関わらず、地方中小企業の、つまり情報発信する側の意識が遅れているために、機能不全となっている。

 それを助長してきたのが、『似非IT企業』なのだ。企業ホームページは『作って、なんぼ。』の世界で終わり、後は、クライアントへ『SNS対策』を丸投げし、効果のない『SEO対策』をぼかした状態で『金稼ぎ』している『似非プロバイダ』が後を絶たない。

 『自分の業界を格下げ』というものは、余りにも怪しい『似非IT企業』なるものが蔓延っているからこそ、『曖昧』なものとして、『価値なき』ものとして、従来の業種と同等の市民権を得ていないのが実状となる。

 時には、企業にとっては危機的状況であるサーバーエラーが生じても、それを預かる『似非プロバイダ』は、「原因を調べていますが、今のところ分かりません。」と他人事みたいに回答するところもあるようだ。地方経営者が『インターネットの中身』が分かるはずもなく、そこが『騙し』の手口なのかと勘繰りたくもなる。

 驚いたのは、あるプロバイダとの地方店舗の契約が7年契約。手付金十五万円で汚い写真が貼り付けてあるホームページが立ち上がっている。更に、毎月一万円ほどを7年間支払うと言うのである。これは、『作って、なんぼ。』の世界よりも悪質なる契約内容である訳で、それに気づかぬ店主は『勉強不足』としか言いようがない。

 また、通信キャリアについても、疑義の念を持つ筆者がいる。実は、1995年にインターネット接続は『IIJ』と契約していた。しかし、毎月の通信費が六十万円であったので、かなり負担が大きく、費用対効果もなく、数年後にKDDIに切り替えることにした。

 これが最初の躓きというか、疑義の念第一号である。実は、『IIJ』との契約当時、筆者の会社はネットのレベルでは、『NTT』と同格の『Cクラス』であった。よって、独自IPアドレスを144個保有していたのである。

 ところが、『KDDI』に切り替える時に、その144個のIPの内、128個を『KDDI』が取ってしまったのである。今思えば、これは法的に問題がありはしないかと思ったが、法は後付けの日本であるからこそ、このような『蛮行』が赦されたのではなかろうか。いや、誰一人としてその仕組みが分からず、事件として訴追した人がいなかったのかも知れない。

 勿論、後発の後発だった『KDDI』の契約を早々に解除し、最終的に現在の『OCN』と光専用回線(1対1)で契約を結んでいる。しかし、これもまた、16個のIPを半分以上削られてしまったので、その仕組みが今でも理解不能となっている。更には、『DNSサーバー』における、セカンダリーをどうしても『OCN』に紐つけることになったのも、首を傾げるばかり。

 日本の法規は後付け、後付けばかり。『個人情報』云々の明記とか何とか言っているが、筆者は『インターネット事業』を開始した1995年以来、それは当然のことであり、モラルである考え、現在まで実践してきたので、今でも敢えて表示する必要はないと考えている。

 何故なら、言葉で文字で何とでも言えるし書けることを表示したからと言っても、それを運営する会社やスタッフ全員の意識が高いレベルにて統一されない限り、『個人情報』について厳守しているという担保はない。

 熊本県内でも、接続プロバイダの店長クラスの人間が、クライアントの女性の携帯電話を隠し持ち、ストーカー行為にて解雇されたという情報を得たくらいなので、表示だけでは、筆者は信用できぬと考えている。如何に、日々のモラルある、且つ、健全なる『インターネット事業』を行っているか否かが重要な問題である訳だ。

 これから先も、『インターネットの世界』は秒進分歩の勢いにて、進化を遂げるに違いない。ただ、一番重要なことは、無償で楽しく利用できる『SNS』の裏世界へ手を染めないことである。事件事故にて、命を落とす人もいるけれども、『SNS』で絶命したなんぞ、こんなに馬鹿らしいものはない。本当に腹立たしいばかりだが、『脇を固めてSNS!』を念頭に、日々利用されることをオススメする次第。

 デジタルがアナログに総合的に勝てない理由は、face to faceと遠隔ビデオ会議と比較すれば、すぐ分かる。何でも、移動せずに便利だから云々とは、仕事の『楽』なものを選ぶ方に傾き、『努力』をせずして金儲けといった具合になってしまう。だから、現在の若き人の一部には、『楽して儲かる仕事』を仕事として羨望しているのである。それは、大きな勘違い、履き違えと言っても過言ではない。『信頼』はそんなに容易に手にすることはできないのである。

 全てに、AI(アーティフィシャル・インテリジェンス/人工知能)ばかりに頼っていると、本当に、我々の脳みそは萎縮するばかりで、知能の低い人間が次から次へと産まれくる可能性も無きにしも非ずと考える。

 筆者の拘りは、簡単にできちゃう『デジタル』よりも、手を煩わせる『アナログ』なものを最重要視している。

 例えば、デジタル腕時計よりも機械式腕時計を心底好み、ミラーレス一眼レフカメラよりも昔ながらのミラー付きペンタプリズム付きのファインダーが自然であり、触っていても、匠の技を感じながら撮影できるので、作品への気持ちも熱くなる。

 AIやその他進化するロボットは、短時間処理を要する業務支援、介護支援や肢体不自由な方々へのサポート、非力な人へのパワーサポートなどに活用すべきであると考えている。

 人間の脳みそをAIへコピペできる時代も来るかも知れないけれども、ある程度のところで止めておかないと、『原爆・水爆・化学兵器』と同様に、倫理観のない世界が罷り通ることになり、気づけば『猿の惑星』になりはしないかと危惧する次第。

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西田親生@D&L
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