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読書記録『なんで家族を続けるの?』

樹木希林さんと内田裕也さんの娘として生まれ、家族団欒を知らずに育った内田也哉子さんと、関係性の歪な両親の元で育った脳科学者の中野信子さんの対談

私自身も毎日のように怒鳴り合いの喧嘩をしていた両親の元で育ったので、興味深く読ませていただきました。

「相手に何一つ求めない」
例えば家事も「自分がしたいからすると思えば楽」

樹木希林さんの言葉

裕也さんは、稼ぎも入れない、父親らしいこともしない、借金も浮気もする。そんな夫の保険料も税金も払い続け、住まいも提供してきた希林さん。

よく耐えたなぁと思っていたけど、そもそも求めていないから平気なのだそう

この域に達するのは、なかなか難しいけれど「なんで〇〇してくれないの?」と腹を立てることにはならないですよね。

幸せすぎて離婚した希林さん

最初の結婚は幸せすぎて、息苦しくなって離婚したそう。でも、カオスな裕也さんとは、何があっても離婚しなかった。

裕也さんが勝手に離婚届を出しても、「あんなに嫌がってるんだから離婚してあげなさいよ」と自分の弁護士に言われても、首を縦に降らなかった。

そこには、ご本人にしか分からない想いがあったはず。

幸せの形も、家族や夫婦の形もいろいろで、「こうでなければいけない」ということはないし、人が決められるものでもない。

当人同士にしかわからないことってあるんですよね。私も、母が認知症になってから、そのことに気づきました。

父の姿が見えなくなると、不安そうに父の名前を何度も呼び、探す姿を見て、どんなに罵っていても、父と一緒にいると安心できたのだろうな

父も母が亡くなってから、遺影に話かけている姿を見て、本当はもっと話たかったのだろうなと感じました。

側で見ていた娘の私でさえ、計り知ることができなかったけど、お互いを思い合っていたのだと今ならわかります。

子供の時は、笑いが絶えない、仲の良い親子に憧れていたし、大人になってからは「なんで夫婦を続けているの?」と思ってきました。

家族という形のあり方を考える時間を長く過ごしてきて思うのは「正しい家族の形なんてない」ということ

良くも悪くも私たちは、親の影響を受けているけど、長い目で見たら「自分の器を育ててもらっていた」ことに気づきます。

一番成長させてもらえる親を自分で選んできているのでしょうね。

也哉子さんの繊細さと鋭さ、信子さんの豊富な知識と分析力、知性が溢れるお二人ですが、会話形式なので読みやすかったのと、樹木希林さんはやっぱり素敵でした。


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