オペラの記録:バイエルン州立オペラ、プッチーニ作曲《ラ・ボエーム》(12月19日、ナツィオナールテアター)
12月19日、バイエルン州立オペラのプッチーニ作曲《ラ・ボエーム》を観ました。
場所はミュンヘンのナツィオナールテアター。
まだ連日の雪が残っています。
この写真の女性、ストッキングでハイヒールですが・・・
よく劇場に長靴を履いてきて、クロークでヒールに履き替え、コートと一緒に長靴を預ける人もいます。
普通、クロークの前には大きな鏡があり、そこで身なりを整えています。
劇場入り口の階段から下を見たところ。
クリスマス・シーズンのオペラ公演は、フンパーディンク作曲《ヘンゼルとグレーテル》、モーツァルト作曲《魔笛》が双璧ですが、《ラ・ボエーム》も加わることが多い。
バレエはもちろんチャイコフスキー《くるみ割り人形》。
そして大晦日になるとヨハン・シュトラウス《こうもり》。
プログラム。
バイエルン州立オペラで《ラ・ボエーム》が初演されたのは1907年5月26日でした。
世界初演が1896年2月1日トリノ(指揮はトスカニーニ)だったので、それから10年あまり経過していました。
このプログラムは1979年10月、バイエルン州立オペラで《ラ・ボエーム》500回公演を記念して作られましたが、1993/94シーズンの《ラ・ボエーム》再演に際し、アルフレート・ブソッティというミュンヘン在住の個人の寄付で再製作されました。
確かに、とても充実したプログラムだと思います。
ところで、プログラムは公演の一部です。大変重要です。
その内容で公演のレベル、劇場のレベルがわかります。
総責任者はもちろん劇場インテンダントですが、ドラマトゥルク部長が内容に責任を負います。
目次とプッチーニ。
目次で内容が充実していることがわかります。
そして、プッチーニ・・・本当にハンサムです。
12月19日のキャスティング表。
『ラ・ボエーム』とは『ボヘミアン』のこと。
ボヘミアン、というと、最近では映画の《ボヘミアン・ラプソディー》を思い出しますが、この作品でもクイーンのように、男性の若者4人が出てきます。
病死するのはフレディ・マーキュリーではなく、ミミ。
そういえば、フレディは一時、ミュンヘンに住んでいました。
Stollbergstrasse 2 にあるアパートメントを借りていました。
最近、このアパートメントを買った人は「フレディが住んでいたとは知らなかった」そうです。
さて、男4人は詩人(ロドルフォ)、画家(マルチェッロ)、音楽家(ショナール)、哲学者(コッリーネ)。
ここに女性2人、ミミ(お針子)とムゼッタ(歌手)が絡みます。ロドルフォとミミ、マルチェッロとムゼッタという対照的な2組の恋人たちがいます。
音楽家と哲学者はモテない?!というか劇作上登場人物が多くても良くない。
結局はミミが病死してしまうのですが、テーマを2人の悲恋として解釈してしまうわけにはいきません。
19世紀末のパリ。
親の支援もなく自分で糊口をしのがなければならなかった若い女性たちは、生活環境も悪く、病気になりがちだった。お針子では暮らしていけず、そして、今でいう援助交際に頼った若い女性たち。
金の力で女性を買った金持ちの男たち。
そして夢と自尊心だけは大きいが、全く無力な芸術家の卵たち。
私自身は若者4人が馬鹿騒ぎをする第一幕と第四幕の屋根裏部屋のシーンの演出が気になります。
ステージ写真を掲載したかったのですが、取れなかったので、プログラムに掲載されたデザインを以下に載せます。
まず第一幕と第四幕。1969年新制作、ステージ美術はルドルフ・ハインリヒ。
第二幕。有名なカフェ・モミュスのシーン。
第三幕。
これはミミが死ぬ場面のプッチーニのスコアです。
ミミの部分にはドクロが書かれています。
以下のリンクにアクセスすると現在のステージ写真を見ることができます。
https://www.staatsoper.de/stuecke/la-boheme/2022-12-25-1700-13254
FOTO:©️Kishi