見出し画像

「カワイイ」でなんとか女性エンジニアを増やせないか。

※個人的な意見や体験を含みます。気楽に読んでもらえたらうれしいです。


IT男女格差の現状

IT業界(若しくはSTEM全般)では女性の活躍に関する議論が依然としてアツい。
ITに力を注いでいる国ならどこでも、業界内での男女格差の縮小を目指して今でも試行錯誤を続けていると感じる。
確かに、この業界における女性の割合は著しく低い。確かめるようにググってみるとトップの検索結果に出てくるのが、

Women make up only 34% of the workforce in science, technology, engineering and math (STEM)

https://www.aauw.org/resources/research/the-stem-gap/

「科学、技術、工学、数学 (STEM) 分野の労働力に占める女性の割合はわずか 34%」とのこと。
北米でこれくらいなら日本は相当やばい(低い)んだろうなぁと思って調べてみたら、

女性のテック人材が増えている。日本のIT(情報技術)技術者に占める比率は2021年に22%となり、この10年で7ポイント高まって欧米と同水準になった。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0814O0Y3A500C2000000/

日本も意外と跡追いするように邁進している様子。
他にも、2023年度のマイナビニュースに掲載された記事から抜粋した図表:

「情報通信業就業者に占める女性の割合 国・地域別トップ10」日本は圧倒的最下位
「情報通信業就業者に占める女性の割合 国・地域別トップ10」https://news.mynavi.jp/article/20230310-2612871/

それでもまだまだ他国に比べたらギャップが激しい現状、、、

STEMと言っても範囲が広いので、ここからは E(エンジニアリング)の領域、特にソフトウェア周辺の分野にフォーカスしたい。

体験・体感談

私自身つい最近カナダで大学を卒業したばかりだが(22年度卒業)、コンピューターサイエンス(CS)にいた頃は、女学生は少数派でも思ったより多くいるように感じた。ちゃんと増えてるようだしあんまり懸念する必要ないんじゃね?とも思った。しかも全員が最初からITにものすごく興味があるわけでもなく、「なんとなく」や「年収・市場価値が高いから」の理由で入学してきた子も多かった。以前ならあまり手を付けにくかった分野も、今では「なんとなく」で入れるほど、女学生を含めて一般的にこの業界に参与しやすくなってきていると思う、、、

と、直感でテキトーなことほざいていてみただけで、自分がITに触れ始めたのなんて数年前(最近)だし、10年スパンとか長期単位での女性のSTEM注目度・増加率の変化を残念ながら体感したことはないため、その事実については統計にしか頼れない🤥。

在籍していた大学では、CS・エンジニア女学生を増やそうと奨学金での支援や『Women In Tech』などの女性中心の学内組織への資金提供など、経済的手段での牽引・育成をたくさん行っていた様子だった。他の国の事情はよく分からないけど、カナダ(北米)のほとんどの大学ならSTEM系の教育に対してもう何十年も似たような政策が続けられていると思う。

アメリカの)統計調査を見ると、数十年前に比べたらSTEM分野で活躍している女性は多少なりとも増えているみたい。様々な政策を通して頑張ってきたおかげなのかもしれない。しかし、ある程度増加した後は、停滞しているように見える

また、女性開発者は一定数いても、Low-level programming(ハードウェアに関する奥深い知識が必要になるほどの低層レベルなプログラミング、Rustやアセンブリなど)を専門としている女性はほとんど見かけない。自分は大学でCSを専攻しながら現時点(フリーランス)に至るまでいくつものITイベントやカンファレンスに参加させてもらって、多種多様な経歴を持つ人々と交流をしてきたが、これまでの経験から感じたことは、女性プログラマーといっても一般的なソフトウェアやWeb系開発が主流であり(自分含め)、セキュリティや組み込みシステム、フィルムウェアなどの分野では女性が携わることが非常に少ないということ。

私のカレさんも某企業でサイバーセキュリティの仕事をしているが、彼のセキュリティチームに今まで女性は一人もいたことがない+求人を出してもなかなか飛び込んでこないらしい。

もちろん、低層レベルで活躍している女性技術者はたくさんいるが、全体的にみて JavaScript、Python、Java などのプログラミングの上流部分に特化した仕事や専門に従事する女性プログラマーが圧倒的に多いように感じる。

Programming Language Iceberg taken from Reddit Post.
Programming Language Iceberg: Reddit

IT業界での男女格差を説明する理論は既に複数提唱されていて、一例として社会的なステレオタイプ、偏見、女性ロールモデルの不足、キャリアの発展における機会不均等論などが挙げられている。これらの障壁を取り除こうと、少なくとも北米では上で述べたような教育での支援や、女性の採用に優遇措置を取っている企業が多いが、一定数の女性開発者を確保してもなお、彼女たちの離職率は依然として高い状況にある様子。


ここまで言及したことを踏まえて格差の事象を三つにまとめてみる:

❶ IT業界における女性の数が長い間横ばいであること
❷ 上層レベルでの女性開発者は比較的多いが、低層レベルでは稀であること
❸ 女性開発者を増やせたとしても離職率が高いこと(①につながっている気がする)


イメージ戦略

長い間、様々な政策が導入されているにも関わらず、女性開発者の数が停滞している現状から考えると、おそらく私たちは問題の本質をうまく見抜けられていない。
手っ取り早いためなのか(?)何年経っても企業や教育機関は、量や金銭的な対策だけに傾注しているように思える。ある程度女性開発者を確保した後は、彼女たちの力を借りて格差の本質を理解するのに注力し、土台を築くべきだと考えるが(量質転化の法則てきな)、、、

一番注目されている論点はやはり、IT業界に対する認識の問題(ステレオタイプ・偏見)に深く関わっていると思う。女性がIT業界に魅力を感じないのも、昇給格差や慣れない職場環境による女性の離職率が高いのも、「オタク気質のたまり場」というIT業界に対する女性からのイメージと、「女は機械に興味がない」という女性に対するIT業界(男性)からのイメージが相互に助長しあっているためなのではないか。
(また、女性開発者の大多数がなるべくハードウェアから離れた上層部分での開発を選ぶのも、あまり機械的な要素に深堀りしなくて済むところにあるのでは。)

オタッキーなことは悪いことではないし、ファッションやコスメティックスに詳しい人もオタクと言える。ただ、IT業界でのオタク像といったら社交下手で除け者というネガティブなイメージが強い。実際自分も子供の頃は、毎日パソコンと戯れてばかりの父親を見て、もっと華やかな職業を夢見た私は決して「つまらなさそうなカタカタ系」の仕事には絶対に就かないと誓ったほどである(不覚にも今ではそんな父親に似たり寄ったり😃)。

そんな比較的ネガティブなイメージを払拭し、女性でも憧れるような「華々しい」イメージを形成させるためには、それなりのロールモデルが必要だと思う。すでに行われている政策に加えて「ITアイドル」のような存在が広く認知されたら影響力は大きい気がする。

日本には様々なアイドルが存在する。マッチョ29才気玲佳などかつての筋肉アイドルが活躍し、筋肉・健康・ダイエットに対する人々の見方が変わってきたり、おばちゃんアイドルや元受刑者アイドルなど、それぞれのイデオロギー?を掲げたアイドルが登場し、あらゆる印象を与えてきている。必ずしもアイドルという枠組みにとらわれなくても、ITのバックグラウンドを持ち、かつ女性から憧れやすい著名な人物が登場すれば、既存の「オタク気質」といった認識の壁を取り除くのに役立つのかもしれない。ITアイドルのように「オタク度」(高度な技術専門的能力)とその人なりの輝かしいスタイルやカリスマ性が融合すれば、ビジュアルやセンスに 比・較・的 訴えかけやすい女性に対して、女性がIT業界で活躍する場をアピールしやすくなる

他にも、人物像ではなくともプログラミングで「かわいいもの」を作ったりして引きつける取り組みもアリだと思う。うろ覚えではあるが、『月曜から夜更かし』という番組で電気工学を学んでいるギャルが自分の鞄をデコって発光する鞄にしたというシーンがあった。普段我々がイメージするような「ザ・電気工学」を学ぶだけではなく、電気工学の中でも彼女みたいに創造性を発揮して、もっと女性でも楽しいと思えるような用途を出しまくれば、それなりに興味を引き付けられると思う。

例えば、ITに直接関連してないが、iPhoneやiPadにある「ショートカット」アプリを使ってデバイス画面のカスタマイズやオートメーションを習得したり(プログラミングと少し似ている)、Notionというノート作成管理アプリを使って自分なりのカワイイホーム画面やダッシュボードを作るために「データベース」の基本を学ぶ必要があったりする。これらはYouTube上でも手軽に探せるチュートリアルなどがたくさんあって、女性にも非常に人気がある。よって、似たような感じで「プログラミングでカワイイをつくる」チュートリアルみたいなものがもっとあってもいいかもしれない。WEBやモバイル開発なら十分「カワイイ」アプリやサイトががつくれる。
アセンブリとかのレベルになると、ようわからん、、、。

要するに、今時の格差対策は女性開発者に対するサポートは充実しているかもしれないけれど、女性がしっくりくるような事例や用途がまだ足りず、なかなかインスピレーションを与えることができていないのではないか。

※一概に女性はカワイイものが好きとは言えないので、あくまで大局的に見て女性がしっくりきそうなものの一例として、ということで。

効果と限界

イメージについて長々と述べてしまったけど、学校や企業が既存の政策に力を注いできている勢いで、テックでつくれる「カワイイ」側面もうまく浸透できれば、女性のIT分野における関心増加に寄与できそうだし、➁の奥深いレベルに至っても、それにふさわしいアイドルやロールモデルなどの形成によってもっともっと世間に知られるようになれば、同じ効果が得られるのかもしれない。
、、、にもかかわらず、①や③の根本的な解決にはまだなれていない気がする。たとえ「カワイイ」で多数の女性からの興味を引き寄せることに成功できても、その後の女性開発者たちが離職や離学をせずにいれるかどうかはまた別で、イメージ戦略だけでは本質的な課題には十分に対処できないと考える。

それでも、「女性はかわいいものが好き、デザインが好き、人形が好き、おしゃれが好き」「男性は車、レゴブロック、メカニカルなものが好き」という考えが、子供の頃から親や社会を通じて植え付けられているのならば、イメージを覆す唯一の方法は結局のところイメージそのものな気もする。生物学的な違いが確認されていないのならばなおさら。

不意にもジェンダーという根深いところまで来てしまったけど、未来の子たちにも「女子もメカニカルなものが好きになれる」という印象を普遍化させたいなら、若年層にウケがいい「アイドル」という存在も有効だよねと私は思う。先の結果は分からずとも「オタクというイメージに極度に固執されず、より多様な価値観やスタイルを受け入られるように促すこと」がイメージ戦略ならではできることなのかもしれない。

女性にとって(特に若いうちから)テクノロジーが自然+身近で楽しいものであるというイメージ・感覚に一度慣れれば、いっそう興味を持つきっかけが生まれ、自信をもって好きになれるし、根本的な格差問題の解消に近づく可能性はありそうな気がする。自分自身も女性として今やっている仕事になじめているかといえば、100%そうではない。時には、テック以外のことに心惹かれることもあったりして、まだまだこの業界での競争において自信を持っているとは言いがたい。

自分も女性開発者としてマシンにもっと興味を持てるように頑張りたい。


ちょっとくどくなりすぎた。


補足:気になってITアイドルみたいな存在が本当にいるのか調べてみた。

grabss、IT人材の不足解消へアイドルとエンジニア「二刀流」の働き方に挑む

いるじゃないの。
さらなるご活躍を応援しております、、、☆彡

そして偶然にもこのnoteを書き終えた日は、ちょうど International Girls in ICT Day (国際ICTガールズ・デー)だったという…!🤣🎉


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?