その純粋さは、きっと天然記念物。


通っているホットヨガで、インストラクターの異動があった。
3/31でその店舗に来ることは最後で、4/1付けで他の店舗へと異動する複数のインストラクターさんたち。半分以上が別々の店舗へと異動していくらしい。

その中に一人、お気に入りの(?)インストラクターさんがいた。


2020年の8月に就職したばかりだというOさん。
就職に伴い、鹿児島から上京してきたという。


話は少し変わるが、私はセールストークが苦手だ。
聞くのもするのも苦手。
あの独特の
「買え」
「買えよ?」
「これ、いいだろ?」
「買え」
という傲慢な圧みたいなものを喰らうと、息苦しくなる。

ホットヨガに関連して、健康にいい(と勧められる)酵素ドリンクや、痩せる(と猛プッシュされている)ボディクリームなど、新しい商品があるたびにPRしてくる各インストラクター。
中には「ポイントが2000ポイント貯まってるので、それを使うと○○円になります〜」というおせっかいもいた(そのインストラクターもこの度異動となり少々ホッとしている)。

ホットヨガ自体は私に合っているようで、レッスンのあとは心身共にスッキリする。
だけど余計なアイテムやグッズは買うつもりがない私にとって、押しが強めのインストラクターたちをかわすことは面倒であり苦痛だった。




ここでさっきのOさんへと話を戻す。

そんな【元気な】インストラクターが多い中、彼女だけは違った。

まず、余計なセールストークはしてこない。
とゆうか、余計なことを話しかけてこない。
多分、人見知りなのか緊張してるのか「話したいんだけどどうやって話しかけたらいいかな…?」という空気を醸し出していた。
しかしリラックスしにいっている場所で無駄に会話したくない私にとっては(疲れちゃう)それが逆に心地よかった。
勝手だが、Oさんとは波長が合ってるような気がしていた。

天然っぽいところも魅力的だった。
まだ業務になれてないときは(入社1年目だから)慌てて間違いを訂正してテンパってる姿も、嫌味がなく可愛らしかった。

このように、ほんわかしてあどけない空気に私はいつも癒されていた。レッスンがある日は意識的にOさんのレッスンを選んだりもしていた。
(生徒は自由に自分が受けたいインストラクター、またはレッスンを選べる。)


こんな風に、いわゆる「推し」のインストラクターさんによる最後のレッスン日。

レッスンが終わると、Oさんが「今日が○○店での最後のレッスンになりました」と挨拶。

言葉を伝えようとするも束の間、泣き出してしまったOさん(予想はしていた。それぐらいピュアな空気の女の子だった)。

続く挨拶では、入社して上京したばっかりで右も左もわからなかったことや、そんな中コロナウイルスの影響で色々と規制がある中のレッスンだったこと、でも生徒のみなさんがやさしくてとても救われましたということ。
泣きながら話す彼女の言葉は、紛れもなく本心だっただろう。

「みなさんと一緒にヨガができてとても幸せでした。本当にありがとうございました」と、
まるでホットヨガ人生を卒業でもするかのような挨拶が終わった瞬間、自然と生徒たちから拍手が沸き起こった。

もう一度冷静になって振り返りたい。

辞めるんじゃなくて、異動なのに、だ。


かくゆう私も、周りが拍手していたから、じゃなくて、自然と拍手を送っていた。多分、自分一人でもしていたんじゃないかってくらい。

これって結構すごいこととゆうか、素敵なことだなぁ、と思った。


仮に私が同じ立場なら(妄想族なもんで)どうかなぁと考える。辞めるとかじゃなく、異動する場合。
そして今日初めて会った生徒さんもいるかもしれない中で、どんなに寂しくても、最後に涙を流すことができるかなぁ、と。
多分泣きそうにはなるかもしれないが、その後のいろんなこと考えて我慢するだろうなぁ…。

※実際、Oさんのレッスンは私が受けたやつの後にもう1レッスン残っていた(笑)


人前で自分の気持ちを優先して心のままに、
なんて、
多分もうしばらくやってないなー、とぼんやり思った。
大人になるにつれて、そういったことって忘れていくとゆうより「我慢する癖」を身につけちゃうから。

Oさんには是非、いい意味で垢抜けず変わらないでほしいなと思う。いっそのこと異動にも業務にもいつまでも慣れずに、店舗を異動する度に涙しちゃうくらいの子でいてほしい。勤務年数を重ねてもどこか抜けていて天然発揮するくらいでいてほしい。


帰り際、「O先生のレッスンが一番好きでした。今日も最後に受けれてよかったです」と伝えると

「本当ですか?!嬉しいです…
でも、今日も間違えちゃって…」と語っていた。


なんかもう、天然記念物みたいな子だなと思った。




久しぶりに超ド級の純粋さに触れて、なんだかホットヨガ以上のリラックス&デトックス効果をいただきました。
O先生、こちらこそ癒しをありがとう。
またどこかでお会いできますように。





若々しくかわいらしいOさんとの別れを惜しみ、
今日から一新された知らないインストラクターの名前とレッスン表を見ながら、

【元・九州から上京した純粋さん】であるアラサーは、

「どうかこれ以上押しの強い人が現れませんように…」と
早速 腹の中に黒いものを抱えて祈るのでした。



ナマステ〜。

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