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【広告展覧会・10の視点】 第七章 ネーミングしなけりゃ意味ないね。

クリエイティブディレクター(CD)の仕事の半分は「却下すること」だ。制作中の表現には様々な意見が寄せられる。その全てが正しいとは限らないし、仮に正しかったとしても、その反映で別の弊害が生じることもある。CDは全体最適に導くために、嫌われながら却下する。
一方、ネーミングには意見調整があまりない。採用/不採用が全て。故にコピーライターのDNAが純粋に凝縮する。名前をつけるということは、モノに意味という概念を付加すること。哲学的に言えば、名前=存在、存在=名前。私のDNAを継いだ3人の子供達をご紹介します。



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メンバーブック別冊「コスメミュゼ」ネーミング

輸入化粧品・専用カタログのネーミング。海外から美しいものを集めた場所、美術館をイメージして名づけた。
「cosmetic(化粧品)」+「musse(美術館・仏語)= Cosmemuse(コスメミュゼ) 

商品やサービスに名前をつける際、気をつけなければならないのは「すでに他社に使用権を抑えられていないか」という点(商標登録)。いわゆる普通の単語は、すでに他社の商標(ネーミング)として特許庁に登録されていると思ってほぼ間違いない。
そこで、ちょっとひねった単語を採用したり(英語じゃなくてギリシア語の単語とか)、コスメミュゼのようにコピーライターが造語を考案したりするわけである。※まれに、苦労して考えた造語がすでに登録されていた、なんてこともあります。



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会員専用冊子「メンバーブック」ネーミング

これは逆に、なぜか商標登録されていなかった例。販売員(メンバー)専用パンフレットのネーミング。本当は造語などに活路を見出さず、すでに消費者の頭の中にある言葉をそのままネーミングとして使えたら、そちらの方がベストである。このようなシンプルなネーミングを提案する場合の注意事項は2点。

他社の商標ではないことをあらかじめ確認しておく。
・「何も考えずにこんな簡単な案を出しているのではないか」と勘ぐられないように、さまざまな別案も提示し、一周まわった末にやはりシンプル案がベストと結論づけた、と説明する。

一方で、世の中にはない全く新しいサービスや商品が発明された場合、シンプルすぎるネーミングではその新しさが伝わらないので造語にするケースも多い。巨費を投じてプロモーションすれば、その造語が一般名称化することもある。
※例 温水洗浄機能付き便座=ウォシュレット(TOTOの登録商標)



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社内勉強会「RACU(ラク)」ネーミング

私が主催していた社内勉強会のネーミング。名前の由来は、当時の設立書に記載したので、以下ご参考までに。

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もともと社内勉強会だった「RACU」ですが、幅広いジャンルのクリエイターの方との異業種交流会として、今後も続けていければいいなと思っています。次回の開催時にはぜひ、あなたもご参加くださいね。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。(第八章に続く)

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