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~探究で危機を乗り越え学校魅力化~文部科学大臣表彰:津南中等教育学校

新潟県で探究学習に関わる人で、知らない人はいないほど有名な津南中等教育学校。自然豊かな津南町にある新潟県立の中高一貫校で、1学年は80人の2クラスが定員です。

文部科学大臣優秀教職員(組織)として表彰され、2024年1月16日に東京大学での表彰式に参加しています!

探究学習プロジェクトチームとして、「地域との連携・協働による探究活動の実践と、学校の魅力化の推進」を行っている点が評価されたそうです。

私も9月から探究・キャリア教育コーディネーターとして関わっていますが、探究活動にチームとして取り組む姿勢に、いつも学ばせて頂いています。

津南中等教育学校は、希望者が2020年から右肩上がりで、2023年の入学希望者は枠をオーバーしています。でも、実は定員割れが続き、募集停止の危機を経験したこともある学校なんです。

大学入試だけではなく、探究活動を通して学校と地域と協力し、学校を魅力化した、津南中等教育学校の活動について紹介します。


デンマークのノーフュンスホイスコーレにて

大阪出身。教育大学卒業後、大阪で高校英語教師に。海外の社会と教育を学ぶため、スペインへ渡航。日本語教育能力検定(注釈)を取得し、スペインの私立小学校に勤務。その後、デンマークに渡り、ノーフュンスホイスコーレで日本文化教師を務める。帰国後、新潟県の地域おこし協力隊・ニイガタコラボレーターズに着任し、2023年9月、十日町市に移住。


1. 廃校の危機から発足:津南中等教育学校を支援する会

津南中等生がよく利用するまちなかオープンスペース「だんだん」

今や探究界で名高い、津南中等教育学校。実は2016年から定員割れが始まり、一度は生徒募集停止の危機に陥ったこともあるそうです。

このまま何も対策を取らないと廃校になってしまうかもしれない。

魚沼地域唯一の中高一貫校であり、津南町唯一の “高校”にも値する、津南中等教育学校を守らないといけない。

この地域で育つ子ども達の可能性を広げるためにも、「津南中等教育学校を廃校にしてはいけない!」ということで、津南中等に関わる卒業生や、町役場の方々、地域の方々、様々な分野の人が一致団結して「津南中等教育学校を支援する会」が発足。

この団体は、地域が一体となって津南中等生の活動を支援することを目的にしており、学校の活動を地域で支援する体制を支えています。

今では、探究学習で取り組みたいことがある生徒達は、「津南中等教育学校を支援する会」にプレゼンをして支援を得たり、活動を応援してもらうこともあるそうです。

2.探究への情熱とエネルギーに溢れる先生

 津南中等教育学校の小山先生

私が初めて津南中等を訪ねた時に、初めてお会いした校長先生と教頭先生、そして小山先生。

6年間の探究学習「津南妻有学」について、誇らしく愛情をこめて説明して下さった姿が素敵だなという第一印象でした。

今や学校の先生方や地域の方々はもちろん、学校外部の様々な方も関わっている「津南妻有学」ですが、小山先生は津南中等教育学校の探究学習の立ち上げから長年関わってこられました。

小山先生はいつも目の輝きが印象的で、明るく声をかけて下さいます。探究関係で関わっている方は100人を超えるらしく、お忙しい中積極的に活動していらっしゃいます。

小山先生が8年前に津南中等に赴任した時は、探究学習はあまり知られておらず、土台もありませんでした。

そんな中、生徒対象アンケートの「津南中等生ということに誇りを持っているか?」という質問で、肯定的な意見のパーセンテージの低さに衝撃を受け、何かしなければと衝撃を受けました。

前任校で探究学習の立ち上げに関わった経験もあり、着任2年目で津南中等でも探究学習を推進していくことを決めたそうです。

やはり、始めた頃は周りの先生方の理解を得るのが難しかったことも。ただ、探究を通して生徒がいきいきしていく姿を見て、先生方も協力してくれるように。

そして、「津南中等教育学校を支援する会」も発足し、地域と連携した探究学習へと更にレベルアップ。

小山先生自身も、外部とも関わっていく中で、探究に関わる大学教授や地域の方、探究と教育のために活動している方、地域コーディネーターの方など、貴重な出会いをされたそうです。

沢山の様々な方の支援があって、今の「津南妻有学」があるとおっしゃっていました。

3.地域と外と繋がる探究:探究学習チーム防災NEXUS

津南中等教育学校の生徒さんは様々な探究プロジェクトを進めています。

津南中学校で防災の出張授業をする探究学習チーム「NEXUS」

外部の専門家の方や地域の方々に協力を得たりしながら、考えたプロジェクトを実戦するのはなかなか難しいですが、津南中等の探究チームは実際に活動し、次の代にも引き継いでいます。

いくつかチームはありますが、その中でもマイプロジェクトアワード2023新潟県Summitでオンラインの発表を聞き、出張授業にも同行した探究学習チームNEXUSを紹介します。

NEXUSは今が4代目で、防災をコンセプトに、地震から身を守るための訓練を実施したり、チラシを作成したり、啓発活動にも関わってきました。

今回1月24日に津南中学校で行われた4代目NEXUSの出張授業は、なんと7回目です。

NEXUSは「つながり」を大切にしており、防災を通して町の人や自分たちが繋がること、そして震災の記憶をつなぐことを目指して活動しているそうです。

緊急時に身を守るポーズの練習

出張授業では、地震に関する歴史や、「さるのポーズ」「ダンゴムシのポーズ」など、実戦的な地震時の身の守り方や、雪が降るこの地域での防災にも注目。

実戦的で防災意識が高まる授業で、教師顔負けの授業でした!


4.危機を乗り越え、魅力的な学校に

図書室も素敵で、探究学習関連の本がある!

今の津南中等教育学校は、学校や地域が一体となって探究学習に取り組む津南中等生を応援する体制があり、多様な探究活動をしています。

探究学習の「津南妻有学」で特色を出し、今や募集定員を上回るようになりました。探究と地域をキーワードに、地域と連携した探究活動を行ってきた結果なのではないでしょうか。

津南中等教育学校さんは他にも様々な活動を行っており、Noteでも探究学習を精力的に発信しています。この活動を支援したい方、興味がある方はぜひチェックしてみて下さい。

私も津南中等教育学校の探究学習をさらに盛り上げるために、協力させていただきます!




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