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アルツハイマー病治療剤承認!何が凄いのかを一挙解説します!

本日発表された大きなニュースを記したいと思います。私の祖父は認知症が原因で亡くなったので、非常に思い入れのある分野として取り上げさせて頂きます。

■ 治療剤としては世界初の薬剤
■ 市場規模が圧倒的に大きい
■ エーザイの強み最大化
■ 業績がV字回復

FDAにてエーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療剤「アデュカヌマブ」が承認されました。

https://answers.ten-navi.com/pharmanews/21231/

アルツハイマー病とは脳の中のアミロイドβタンパクがたまり、それが原因の一つとして神経細胞が死滅して脳が委縮する進行性の脳疾患です。

全世界で罹患者約3000万人おり、2050年には倍増するとも言われており市場規模としては極めて大きい分野です。

臨床試験によると、脳内に蓄積されたアミロイドβタンパクの減少が有意に示され承認に至ったようです。

元々アルツハイマー病関連の薬はエーザイの「アリセプト」を筆頭にいくつか発売され後発品も出ています。

しかしこれらの適応を見ると「アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」と添付文書に記載されており、あくまで「病気の進行を抑制する薬」として使われてきました。

つまり「治療剤」はまだ世に無く、各メーカーがこぞって開発を進めるも、臨床試験で優れた成果が出ないため日の目を出ずに終わっていたのです。

今回の「治療剤」の承認は世界初となり、世界中から注目が集まっています。

ここまで読むと、日本人としては「国内メーカーの快挙!」として非常に喜ばしいニュースです。

一方で、アメリカでは冷静な見方がされています。

臨床試験をみると、末期のアルツハイマー病患者を対象に第3相試験が2回実施され、うち1回で認知機能低下の抑制がみられたが、もう1回では効果がみられませんでした。

一方で、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβタンパクの脳内蓄積は抑えられるとの確かな結果が出ております。

専門医の間では意見が分かれているのが実情で、日本のメディアは前向きにPRしておりますが、ニューヨークタイムズにおいては、「治療剤が効くか議論が行われている最中にもかかわらず承認された」という見出しになっています。記事の中である専門家のコメントとして、「二―ズの大きさが承認の一線を越えた」という皮肉な表現もあります。

今後も臨床試験は続くので、今後の試験による最終解析によって、最悪承認取り消しもあり得るそうです。

また価格ですが、バイオジェンによると年間$56,000に加え、投与前の脳検査に数万ドルがかかるそうです。日本でも同様の薬価がつくとすれば、日本円で年間600万円以上、月額50万円以上に及びます。

投与患者は70歳以上の可能性が高く、高額療養費制度を利用して自己負担1万円台の患者が多くを占めるかもしれません。しかし、それでは国の医療費を圧迫するという見方もできます。

ただ総じて、新たにアルツハイマー型治療剤の「承認」という大きな壁を越えたことは、歴史的に貴重な瞬間であることは間違いありません。

ちなみに、当薬剤を「エーザイ」から開発されていることにも非常に意義があります。

エーザイは認知症治療剤のリーディングカンパニーです。

上記の「アリセプト」の開発・販売から得た経験を活かし、エーザイ認知症プラットフォームの確立を推進し、医療機関、診断薬開発企業、研究機関やバイオベンチャーに加え、民間保険、金融、フィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設などと連携して、「認知症エコシステム」の構築を目指している企業です。

私が就活していた2012年当時、エーザイは新薬の種も少なく、アリセプトの後発品発売の影響で売上が下がっていました。それが要因か、企業説明会の時に採用担当者から就活生に贈った言葉は「覚悟」でした。

キラキラした社会人を夢見てた私にとって、いろんな意味でインパクトのある言葉だったので、今でも覚えています。

決算資料によると、アルツハイマーだけでなく抗がん剤もまだまだ成長が見込めるように見えます。

エーザイの益々の発展と株価に目が離せませんね!

ご精読ありがとうございました!

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