終電の神様
こんばんは、chibirukuです。今日も皆さんお疲れ様です。読んで頂きありがとうございます。
今日ご紹介するのは、阿川大樹さんの「終電の神様」です。満員電車が人身事故で運転を見合わせる。そして、そこに乗り合わせた人々のそれぞれのドラマが描かれる、第9回エキナカ書店大賞受賞作品です。
帯にはヒューマン・ミステリーとあったがミステリー要素がそんなに感じられず、個人的にはヒューマンドラマ色強いよな、、、と思いつつ読み進めた。
私は地方出身なので車で移動することが多く、通勤にも電車を使うことがなかった。そして現在はカナダ在住なので、専ら車移動である。なので、この物語にはそれほど感情移入はしなかったが、毎日通勤で電車を利用している人たちにとっては応援歌のような作品だと思う。
どのストーリーもそれぞれのカラーがあって、それぞれの想いや苦労があって、あったかい気持ちになった。沢山の人が毎日電車を利用していて、そこでは毎日いろんな人の人生が少しづつ交錯してるんだよなと思い、面白かった。
これを読んでから、電車で乗り合わせている人々を見る目が、自分の中で少し変わったことに気付いた。現在隔離生活後東京におり、電車に乗る機会も偶々多いのもあるだろう。以前は一人で電車を乗る時、大抵の人同様、専らケータイを触っていたのだが、なんとなく人間観察をするようになった。
寝ている人、新聞や本を読んでる人、ケータイを触っている人、酔っぱらっている人、友人と談笑している人、音楽を聴きながら窓の外を眺めている人等など、、、その表情は実に変化に富んでいる。服装、髪形や持ち物で実に様々な年齢、職種、タイプの人たちが乗車しているのだとわかる。
その人たちの生活をほんのちょっと、想像したりするようになった。普通にしていたら、話すことも、恐らく関わることもない人々。皆、何食わぬ顔で平然としているように見えるけれど、他人からは想像できないような色んなものを抱えて生きている。
そして、社会はそんな沢山の様々な年齢、職種、タイプの人たちの集まりで出来ていること、自分もその沢山の中の一員であることに改めて気付き、なんとなくホッとした気持ちになるのだ。
電車の乗車時間をシェアすることで、人生のほんの少しの時間を誰かと共有している。
皆さん、本当に今日もお疲れ様です。
そんな声が聞こえてきそうな作品。
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