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【AUS留学】オーストラリアでコロナになったら…

”You gonna be positive!!”
搬送先の病院で、初めて会った看護師の第一声はこれだった。

自分でやった抗原検査がすべて陰性 (Negative) だったことから、にわかに「自分はコロナではない」と思っていた私の希望はすぐに打ち砕かれた。

病院であっという間に陽性が判明する。
それから看護師さんの仕事の早いこと早いこと。
PCR検査のために鼻に綿棒を突っ込む。体温を測るために、耳に体温計を突っ込む、採血のために腕に注射針を刺す。”Sorry”と少しは言うものの、淡々と仕事をこなしている。
そのとき38度台の熱があった私は、抵抗することも、嫌だともいえず、
人形のようになされるがままの状態であった。気づいたら腕にチューブがつながっていて、見上げると頭上に点滴があった。どうやら、生理食塩水を点滴されていたようである。


通常思考がままならない私のもとに、次はインド人っぽい医者が近寄ってきた。
そして、彼はこういった。

”How many times did you take this medicine??” 

私が自分で飲んでいた薬の処方箋を見ながら、「この薬を何度服用した」
と質問してきたのだ。
「何回飲んでいたっけ…」と力を振り絞って考えていると、、、

”HOW MANY TIMES??” "HOW MANY TIMES!!"
"ONE TIME, TWO TIME, THREE TIME, FOUR TIME…..!!!"


英語を理解していないと思ったのか、ものすごい形相で叫んでくる。
考える気力を無くした私は、適当に”seven”と答えたけれども、一日三回飲んでいたのだから、もっと飲んでいたはずだ。
それから、医師が「下痢はしたか、心臓に異常はないか」などさっきと同じ声量で私に尋ねてくる。
その時には、「いいコミュニケーションを取ろう」という私の思いは完全に枯れ果てて、首を縦横に振って答えることしかできなかった。

看護師の検査と医者の問診が終わった。二人とも私の病室を出ていくときに着用していたビニール製の医療着を脱いで、ごみ箱に捨てて出ていった。
なんだか、自分が汚い、ウイルスの塊のように感じて、悲しくなったが仕方のないことだ。

異国に来て3週間。日本で多少英語が得意だったレベルでは、ネイティブの会話には到底ついていけなかった。ましてや医療現場。医者は、医療用語をたくさん織り交ぜて話しかけてくる。聞き返すと、皆大声で話してくれるけど、怒られているように錯覚しまう。咳が出るせいで、普通の声も出せない。高熱でいつもの思考もままならない。コミュニケーションが全く成り立たなかった。
そして、心の支えだった家族も、恋人もそばにいない。誰も助けてくれないなかで、自分の体は、初めて出会う未知のウイルスと戦っている。

何もかもが怖くて、不安だった。
早く病院を出たいけど、病院を出てもオーストラリアだ。
日本で母親のあったかいご飯が食べたい。
恋人の耳に馴染んだ声が聞きたい。

…そう思っていると、大声で話しかけてくるお医者さんや、遠慮なしに検査を進める看護師さんが、本当に本当に怖かった。


陽性だとわかってから、家族、恋人、友人など各方面に
「コロナだった」
とメッセージを送った。

でも、どうしてかかったのか。どうして病院にまで行く羽目になったのか。今回のコロナ陽性には
「コロナだった」、この6文字で済まされない私自身の色んな思いだったり、周りの状況があったりする。まだ、自分の中で言葉にできていないので一つのnoteとして成立するか不安だが、とりあえず書いてみようと思う。

その思いは、続編にて。



続編は、
【AUS留学】こうして私はコロナになった…
お楽しみに!


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